イキガミ
原作はヤングサンデーに連載されていた同名の漫画。松田翔太くんの映画は今年6月に公開された『花より男子ファイナル』以来です。実は原作を読んだことはないのですが、劇場で薄い冊子が配られていました。漫画の抜粋になっていましたが、この映画のプロローグ部分が良く解り、こういうサービスは今後もやってもらいたいものです。やはり事前にちょっとでも予備知識があるとないとでは楽しみの幅が違ってきますから。
>>映画『イキガミ』公式サイト
それでは感想です。
「生きるとはなんだろうか?」
国民に死の恐怖感・緊張感を持たせることで国家の繁栄を図る“国家繁栄維持法”。この法律に基づいて、この国に生まれた子供たちは、小学校入学とともにナノ・カプセルを潜ませた予防接種を受けることが義務付けられていた。カプセルが入っている確率は1000分の1。カプセルを注入された子供は18歳から24歳の間に必ず死ぬ。
この死の予告証を通称“逝紙(イキガミ)”といい、丁度死の24時間前に配達されることになっていた。今年25歳、つまり死の恐怖から解き放たれた藤本賢吾(松田翔太)はそのイキガミ配達人だった。同じ夢をもつ友・森尾秀和(塚本高史)を捨てて、一人スカウトされメジャーデビューを果たした田辺翼(金井勇太)、そんな翼の元に配達されるイキガミ。
国会議員・滝沢和子(風吹ジュン)はイキガミが届いた息子・直樹(佐野和真)までも選挙の道具にして当選しようとする。事故で視力を失った飯塚さくら(成海璃子)の兄・さとし(山田孝之)はヤクザな仕事に手を染めてまでさくらを守ろうとしていたが、イキガミが届いたことで自分の角膜をさくらに提供しようと決意する。
それぞれに残された時間はわずか24時間。それぞれの生き様を見るうちに、賢吾の心に大きな変化が沸き起こっていく。一体生きるとはなんなのだろうか・・・?
冒頭に書いた冊子には、具体的にどのようにナノ・カプセルが入れられるのかだとか、それをどのように運用して予防接種をするのかまで描かれていました。知識として知っていることはマイナスにはなりませんが、もちろん知らなくても十分楽しめる作品です。
死ぬことそのこと自体よりも、イキガミが配達された3人それぞれが残された時間をどのように生きたのかを描いていて、作品の本質もそこにあります。もちろん3人を取り巻く人々、そしてその3人にイキガミを配達した賢吾までも巻き込んで物語りは進んでいきますが。何なんだろう、観ながら自然と「生きるって・・・」と考えさせられてしまう作品でした。
さて、ストーリーの展開上で謎のまま残されている部分もいくつかあったりします。思想犯とされた人間はどのように転向(洗脳と言ってもいいかもしれない。)させられるのか。賢吾の上司が言った言葉「今はまだ胸のうちに秘めておきなさい。」とか・・・。これらが明らかになるのは続編なんでしょうか、それとも漫画を読みなさいってことなんでしょうかw続編が出来るものなら観たいです。
ところで、本作の主題歌「みちしるべ」は劇中最初にイキガミが配達される田辺翼と森尾秀和のコンビ“コマツナ”の歌として出てきます。「生きるとはなんだろうか?」という歌詞は作品のテーマそのもので、心に響く歌でした。劇場では本編終了後のスタッフロールでこの歌が流れますが、誰も席をたたなかった位です。きっと観客それぞれが色々な想いを抱きながら観ていたのだろうなと感じました。
面白かったというと言葉が合わない気がしますが、それでもやはり言うならば“面白かった”です。
個人的オススメ度(山田くんいい芝居するなぁ・・・。)
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