JUNO/ジュノ
最初はなんと上映7館からスタートし、口コミで大ヒットした作品。キャスト・スタッフ共には殆どが無名だったが、アカデミー賞4部門にノミネートされ、見事に脚本賞を受賞。ちなみに脚本家ディアブロ・コーディはこれがデビュー作だそうな。 |
すごくアメリカらしいなぁ |
ジュノ(エレン・ペイジ)は高校生。16歳の秋、薬局のトイレから出てきたジュノはショックを隠せなかった。同級生のポーリー(マイケル・セラ)と興味本位にしたセックスで妊娠してしまったのだ。親友のリア(オリヴィア・サルビー)と相談したジュノは、とりあえず街の産婦人科で堕胎手術を受けることにする。
ところが、いざ病院にいってみると気が変わった。そこで一計を案じたジュノ、産むだけ産んで、養子に出すことにする。両親に打ち明け、父親と共に養父母となるマーク(ジェイソン・ベイトマン)とヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)のもとを訪ねた。
産む決心はしたものの日に日に大きくなっていくお腹。学校ではみんながジロジロと見ていく。そしてお腹の子の父親であるポーリーとは大喧嘩。ストレスは溜まる一方だ。しかし時は否応無く流れ、出産の時がやってきた・・・。
確かにあまり有名な俳優は出演していないのですが、実は主演のエレン・ペイジはこの作品の前から知っていました。私は海外ドラマも大好きでよく観ているのですが、カナダのドラマ『リ・ジェネシス』というバイオテロを扱った作品の主人公の娘役で出演しています。
結構奔放な娘役で、役柄的にもジュノに良く似た感じだったせいもあり、ジュノの予告編を観たときにすぐに気付きました。ちなみに調べてみると『X-MEN:ファイナル ディシジョン』にも出演していたらしいですが、流石にそれには気付きませんでした。
さて、作品ですが、とても爽やかで素敵な物語です。アメリカらしいなぁと思ったのは、両親に打ち明けた時の反応と、“産むだけ産んで養子に出そう”という発想ですね。日本でも似たような境遇で『14才の母』という志田未来ちゃんが主演したドラマがありましたが、どちらも結局“産む”という選択をするものの、日本のほうは悲壮感が漂います。
観ていて思ったのですが、新しい生命に対する畏敬の度合いというか、捉え方が日本とアメリカでは根本的に違うように感じました。これは日本人とアメリカ人の宗教観とも無縁ではないのでしょうね。少なくとも日本では「少女の妊娠=未成年のセックス=ふしだら」的な感覚がどうしても付きまといます。
アメリカでももちろんそれはあるのでしょうが、性に対する意識が日本人とは違いますし、ある意味凄く合理的な考え方をしますから、「妊娠してしまったものは仕方ない。それなら次はどうするか。」と考えると、“養子に出す”という選択肢が出てくるのもそれほどおかしなことではないのかもしれません。
ジュノは日に日に大きくなっていくお腹を抱え、ポールのこと、マークのこと、男と女が一生添い遂げることの難しさを知り、人間として成長していきます。母親にはなれなかったけれども、一人の女性として一段と魅力的になっていくジュノの様子を観ていると、何かとても清々しい気持ちになりました。エレン・ペイジの今後の作品に期待したいと思います。
個人的オススメ度(ちなみに『リ・ジェネシス』面白いです!)
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