幻影師アイゼンハイム
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魅入る、観入る、見入る |
完全にやられました。面白い!アメリカで徐々に人気が拡大して22週のロングランになったそうですが、この作品ならばそれも納得。同じ手品師をテーマに扱った『プレステージ』は2人の天才マジシャンの争いを描いた、人間の負の気持ちが表に出てくる作品でした。今改めて出演者を見比べると、『プレステージ』の方が明らかにお金がかかってると思われます。(笑)
それはさておき本作もまずはアイゼンハイムのマジックのシーンからスタートします。アイゼンハイムの場合はマジックというよりイリュージョンと言うほうが相応しいかもしれませんが。
そのイリュージョンシーンの完成度、これがまた非常に素晴らしいです。もちろん映画ですから実際には何でも出来てしまいます。それを解って観ていながらなおかつ、普通に驚かされるリアリティがそこにはありました。
舞台に立っているのはアイゼンハイムただ1人。エドワード・ノートンの演技に自然と引き込まれ、我々は知らず知らずのうちに観客の1人になってしまいます。そしてこの観客のひとりになってしまうことが、本作品を観る上での最大のキーワードと言えるでしょう。
本作は事実上たった4人の出演者で話が進んでいくのですが、この4人のストーリーに対する関わりを表すと幻影師アイゼンハイム>警部ウール>皇太子レオポルド>公爵令嬢ソフィといえます。各々が各々の立場で役割があり、それを果たすことで物語りは一つの結末へ向って進んでいきます。
ただし、最後まで観るとこの4人の中で一人二役を負っている人物が2人いることに気付きます。1人は当然アイゼンハイム。物語の主人公でありながらプロデューサーでもあります。そしてもう1人は警部ウール。彼はアイゼンハイムに好意的でありながらも敵役であり、そして我々と同じ観客でもあるのです。
あぁ、書いていて非常にもどかしい!既に観た方であれば言わんとすることは解って頂けると思うのですが、とにかく書き過ぎたら本作の面白さを間違いなくスポイルすることになるのでいつもより慎重に書いています。(笑)
途中、公爵令嬢ソフィは皇太子邸で謎の死を遂げます。アイゼンハイムは皇太子がソフィを殺したのだと主張しますがそれは聞き入れられませんでした。そして彼はソフィの幻影を呼び出すイリュージョンを披露し始めるのですが、それが冒頭書いたマジックシーン。この時点でアイゼンハイムはウールから、今度ソフィを呼び出したら逮捕すると警告を受けていますが、それを無視します。
そんな彼が呼び出した幻影のソフィは言います。「自分を殺した人物はここ(劇場)にいる」と。それを聞いた私は、変装しておしのびでその場に居た皇太子のことを指していると同時に、駆け落ちを持ちかけたアイゼンハイムが自分自身にも責任があるのだと、ソフィの死の責任を感じているのだと思って観ていました・・・。
この辺りまでにしておきます。結末は自分の目で観た方がいいです。間違いなく最後は笑っているはず、警部ウールと共に。
個人的オススメ度(気分爽快♪)
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