DIVE!!
主演は林遣都。『バッテリー』でデビューし、現在上映中の『ラブファイト』でも主演をつとめています。そして共演が『砂時計』の池松壮亮、更に現在上映中の『赤い糸』では主演をつとめる溝端淳平。コーチ役で瀬戸朝香も出演しています。水モノでは何といっても『ウォーターボーイズ』がありますが本作は如何に?
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描ききれていないから伝わらない
坂井知季(林遣都)は幼い頃に富士谷要一(池松壮亮)の飛び込みに魅せられ、今は要一と同じMDC(ミズキダイビングクラブ)に所属している。MDCは深刻な財政難でオリンピック選手を出さなければ解散することになっていた。そこで新たに元飛び込み選手の麻木夏陽子(瀬戸朝香)をコーチに迎えることに。夏陽子は一目で知季の才能を見抜く。それは並外れた瞬間視力だった。その日から夏陽子の猛訓練が始まった。
ある日クラブに新しいライバルがやってくる。天才ダイバーを祖父に持つ沖津飛沫(溝端淳平)だ。知季、要一、飛沫の3人は互いに切磋琢磨しながらオリンピックを目指すことに。しかし、そんな3人に降りかかる様々な出来事。三者三様の想いを抱えながらも一生懸命練習を積む彼らに、そしていよおいよオリンピック代表選考試合の日がやってきた-。
林遣都くん、池松壮亮くん、そして溝端淳平くん。3人の演技は中々のものでした。林くんはちょっと弱々しくて「これはアスリートとはいえないんじゃん?」と言う感じですが、元々の設定は平凡な中学生ということなので、まあ“あり”ということにしときましょう。基本的に『砂時計』の池松くんがきっかけで本作を観てみようという気になったので、そういう意味では期待を裏切らない演技だったと思います。
しかし、作品そのものとしては凡庸でした。とにかく脚本が決定的にダメ。青春群像劇ですからそれぞれの熱い想いはあって当然ですし、ベタな展開になるのも仕方ありませんが、全てにおいて描き方が中途半端すぎます。そのせいでそのベタなストーリーに乗っかれませんでした。もっともいくらなんでもベタにも程があるだろとは思いましたが。
知季は平凡な中学生の設定で、故に恋人とデートしたり、クレープ食べたり、両親も特に期待をかけるようなそぶりを見せません。しかし!オリンピック代表選考会ですよ?8人しか残れない決勝で同じクラブから3人残っているうちの1人ですよ?いくらなんでもこのストーリー展開はスポーツを舐めすぎです。
後半重要な役になってくる飛沫は、そもそも祖父との関わりが何も描かれていないため、どうしてそこまで祖父にこだわるのかが全く不明。何しろ一番重要なキャラのベースとなる部分が解らないから、その後、津軽に一度は帰った彼が再び戻ってくる動機、スワンダイブにかける想い、それらが全然伝わって来ません。津軽で突然出てきた女性は一体誰なのよ?彼女?公式サイトを見ると彼女との説明がありましたが、それにしては取る行動が姉のようであったりして混乱させられました。
そもそも一番大事な要素であるダイビング。このスポーツがどんなスポーツで、どれだけハードであるかが描かれていない点が大問題です。一生懸命トレーニングしているシーンでその熱が伝わってくるのは、皮肉にもプールサイドで腹筋等のトレーニングをしてい場面だけ。飛び込んでいるシーン自体はそれがどう大変で、どういう努力をしているのかが解りません。結局そこがきちんと描かれていないとオリンピック選考会で知季が足が痙攣してしまったり、飛沫が腰を痛めたりしてもどうにも取って付けたようにしか観えないんですね。
ちょっと期待していただけに非常に残念でした。若い才能ある俳優がせっかく揃ったんです、もっと丁寧に作って欲しかったです。
個人的オススメ度(元選手だけあって瀬戸朝香は競泳水着が似合いますね!)
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