ペネロピ
主演はクリスチーナ・リッチ。最近では『スピードレーサー』に出演していました。共演のジェームズ・マカヴォイはこれまた昨年公開の『ウォンテッド』そして、つい先日鑑賞した『つぐない』にも出演。最近の彼の活躍ぶりは目覚しいものがありますね。ただ『ウォンテッド』はいまひとつでしたけど・・・。
>>『ペネロピ』公式サイト
何故か豚鼻のほうが愛らしい♪
豚の鼻と耳を持って産まれて来たペネロピ(クリスチーナ・リッチ)は、イギリスの名家・ウィルハーン家の一人娘。5代前の祖父が使用人を孕ませた上裏切り自殺に追い込んだことで、使用人の母親の魔女から女の子は豚の鼻をもって産まれてくるという呪いをかけられていた。呪いを解く方法は彼女の“仲間”が永遠に彼女を愛さなければならいというものだった。両親、特に母親はペネロピのために何人もの名家の男性をお見合いに集めるのだが、皆ペネロピの顔を見ると逃げ出していった。
そんなペネロピの写真を撮って新聞ネタにするために、マックス(ジェームズ・マカヴォイ)はお見合いに潜入した。中々姿を現さないペネロピと会話を重ねる日々、マックスは徐々にペネロピに惹かれていく。そしてある日ペネロピが彼の前に姿を現した。驚きの表情を隠せないマックス。一度は家を飛び出たものの、再び戻って来た彼にペネロピは結婚してくれるように頼む。もし呪いが解けなかったらその時は死ぬとまで言うペネロピの願いに対するマックスの答えは「出来ない」だった。実はマックスが断ったのにはある事情があったのだ。
一方ショックを受けたペネロピは、家出を決意する。初めて見た街の様子、見るもの聞くもの全てが新鮮だ。友達もでき、楽しい毎日を送っていたペネロピだったが楽しい日々は長くは続かなかった・・・。
当初はもっと重い話しかと思っていたのですが、意外にもラブコメディタッチでした。前半はペネロピが家から出ないため家の中が舞台、そして登場人物もペネロピ・両親・執事・結婚相談所の女性とお見合い相手の男性。まさにシットコム的な演出になっています。
ただし本作は楽しく描かれた作品ではありますが、実際にはかなり人間の本音・本質をテーマにしています。ペネロピはお見合い相手の男性には化物扱いされたかと思えば、物語後半ではその存在公になってからは街の人々からはある部分愛されます。しかし母親の言うとおり「しゃべる豚人間」が珍しいだけなのかもしれません。使い古された言葉ですが「人は外見じゃなくて中身」これをいかに表現するのか。その点、本作は非常に秀逸でした。
不思議なことに最初に豚鼻のペネロピを見ると、劇中の人々と同じく我々観客も「むぅ」と感じるのですが、物語が進んでいくにつれとても可愛らしく感じるようになってきます。なんでだろう・・・、ペネロピって凄く純粋でいい子なんですよね。あと眼がとても綺麗なんです。つまり、ペネロピの本質=中身が私たちにとても解りやすく伝わってくるからかもしれません。
むしろ呪いが解けた後のペネロピのほうが当たり前すぎて愛らしさがないと感じました。もちろん客観的に見て美人だし可愛いんです、なにしろ要はクリスチーナ・リッチその人ですから。ただしそれも演出的な狙いでしょうう。実際劇中の登場人物も豚鼻のペネロピを懐かしがるシーンがありますし。
それから、彼女を追いかける新聞記者・レモン役ピーター・ディンクレイジは産まれた時に小人症を患ったとのこと。ペネロピの存在をリアルに体感してきた彼自身をペネロピを追いかける記者役に配役したところは恐ろしくシュールさを感じます。
さて、本作はストーリー展開のテンポの良さ、ちりばめられた笑いのポイント、実に申し分なく、面白い作品でした。しかしただ一点だけ残念なのが、ジェームズ・マカヴォイの扱いです。彼には秘密がありますが、それに関してはここでは書きません。ただペネロピが本当に好きなのは彼であり、彼もペネロピに惹かれているはずなのに、途中からぱったりと出番が減ってしまいます。
特にペネロピの呪いが解けた後のストーリーでは何だかとって付けたような存在で、前半お見合いのシーンにみられたような、彼とペネロピとの心の交流を描くシーンが殆どありません。確かにペネロピのプロポーズを断っているので、関係としては最悪なのでしょうけども、ペネロピの呪いが解けるというストーリー展開上の大目標にもっと積極的に関わってきて欲しかったです。
個人的オススメ度(ジェームズ・マカヴォイは役の幅が広いですね。)
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