ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌
シリーズ二作目となる本作、出演者は一作目と変わらず、鬼太郎をウエンツ瑛士が演じています。猫娘・田中麗奈、ねずみ男・大泉洋、子泣き爺・間寛平、砂かけ婆・室井滋の4人も健在。これに加えて今回の敵のボス、ぬらりひょん役で故・緒形拳が出演しており、本作が映画での遺作となっています。
>>『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』公式サイト
ジャパニーズファンタジーの可能性
かごめ歌を聞いた女性が忽然と姿を消す・・・比良本楓(北乃きい)は友達からその話を聞いてもまったく信じていなかった。しかし学校から帰る途中、その歌は聞こえてきた。逃げる楓の前にねずみ男(大泉洋)と鬼太郎(ウエンツ瑛士)が現れる。翌日、楓の手にうろこが現れた。ねずみ男に連れられて、楓は鬼太郎たちを頼ることにする。妖怪図書館で調べた結果、どうやら犯人は濡れ女(寺島しのぶ)だということが解った。鬼太郎たちは濡れ女を封印するために5つの楽器を手分けして集めに出かける。
楽器は無事集まったが、そこで明かされる濡れ女の秘密。そう、元々濡れ女は妖怪だったが人間の男と愛し合い人間として生活していた。しかし、村人は不漁の原因を彼女に押し付け無理やり封印してしまったのだ。人間に復讐心を抱く濡れ女、ぬらりひょん(緒形拳)はそんな彼女を利用して人間を滅ぼそうと計画していた。計画をしった鬼太郎たちはぬらりひょんが待つ冨士の樹海へとむかった・・・。
原作の水木しげるさんは現在調布市に在住してらっしゃいます。元々当ブログ名の調布も、私が市民であることから付けていますので、作品そのものにはとても愛着を感じています。もっともそれ以前にアニメ版は初期のカラー版を夢中になって観ていたクチですので、正直実写に違和感は否めないんですが。(苦笑)
それはさておき、一時はどうなることかと思いました。ぬらりひょんが登場するまで、特にちょうど封印のための5つの楽器を集めをしているあたりでは「こりゃとんでもない駄作かもしれん・・・」と絶望的になり、観るのを止めようかと思ったほどです。ぬらりひょん登場以降はなんとか持ち直し、B級映画としてソコソコ楽しめる展開になりましたけど。
実は私は本作の可能性にはとても期待していました。洋画ではいわゆるファンタジー映画として一つのジャンルが確立しています。最近では『ナルニア国』シリーズや『ライラの冒険』など、人間以外の存在が活躍する夢のあるお話です。しかし、それは日本の文化・風土には馴染まないですから、ジャパニーズファンタジーの分野として本作の持つ可能性はとても大きいと考えています。
本来原作はもっとおどろおどろしいですが、主役の鬼太郎をハーフのウエンツに任せている時点で、現代風のアレンジが加わることは構わないと思っていますし、猫娘や砂かけ婆、子泣き爺らも見事にハマリ役。ただ、それにしても、前半はひどすぎました。猫娘のダンスシーンだとか、琵琶牧々のくだらないしゃべりだとかは本線には全く関係ないどうでもいい話です。
本作の楽しみ方の一つとして、登場する様々な妖怪(声も含む)を誰が演じているのかを見極めるという点があります。つまり「え?これあの人じゃん?!」という発見ですね。そのために多くの著名な俳優・タレントが出演していますが、結局彼らを登場させるシーンを無理やりにでも作らなければならない、だからどうでもいいシーンでも入れざるを得ない、恐らくそういうことなのでしょう。
こういうやりかたをしている限りは所詮B級映画の枠をでないですし、いつまでたっても洋画のファンタジー作品に匹敵するようなモノはうまれてこないです。ざっと観るだけでも実力ある俳優・タレントが多く出演しているのですから、もっと自然に彼らを活かす脚本を考えて欲しかったと思います。そうすることで、逆に彼らを発見する楽しみも増すと思うんですね。何も無理やり胸元を強調した狸(星野亜希)を登場させなくてもいいでしょと。
後半、鬼太郎やその仲間たちが実際に戦い始めてからはテンポもよくなり、ワクワクしながら観ることが出来ました。ちょっと人間を悪者に仕立てるのにクドさを感じるところはありましたが、CGキャラのぬりかべなんかもいいですねぇ、ただ「ぬりかべ~」っていいながら前進してくだけで、取り立てて戦ってる(んでしょうけど)感じもしないのに何故か笑えます。個人的にはもっと子泣き爺の活躍が観たかったですね。
さて、本作は名優・故緒形拳さんの遺作と言うこともあり、彼の登場シーンはどうしても感慨深いものがありました。改めてここに心よりご冥福をお祈りします。
個人的オススメ度(鬼太郎はウエンツより小池徹平じゃないだろうか・・・笑)
| 固定リンク
最近のコメント