素敵な人生のはじめ方
主演・プロデュースがアカデミー賞俳優、モーガン・フリーマン。なんとこの作品は日本未公開作品です。モーガン・フリーマン程の俳優が主演・プロデュースしていても未公開なんてことがあるんですね。ちなみにこの作品の後『最高の人生の見つけ方』、『ウォンテッド』、『ダークナイト』と立て続けにヒット作に出演しています。
>>『素敵な人生のはじめ方』公式サイト
名優の暖かさにつつまれる秀作
こんな秀作を日本未公開とはもったいない。よく分からないアイドルを出演させた映画を公開するぐらいなら、こちらの方が断然人間性を豊かにしてくれると断言できます。登場人物はたったの2人で有名俳優役のモーガンフリーマンとスーパーの店員スカーレット役のパス・ベガ。しかしこのたった2人のやり取りにただひたすら引き込まれていきます。
物語はいたって単純。演技の研究のために立ち寄ったスーパーの有能なレジ係・スカーレットが建設会社の秘書の面接を受けに向うのですが、不安に駆られるスカーレットにフリーマンが様々なアドバイスをしていく。要はコレだけ。しかし名優・フリーマンの演技がとにかく素晴らしい。何ともいえないあの笑顔は全ての人を魅了します。
スカーレットに対して、時には人生の先輩としてアドバイスを送り、時には友人として励ましを送る、その一言一言がとても暖かい優しさに満ちているのでした。また、フリーマンはスカーレットが面接を受けるまでに立ち寄る場所で様々な人々と出会います。軽妙な会話でそれらの人々とすぐに打ち解けるフリーマンを見ていると、これは演じているのではなく彼自身なのではと思えてきました。
原題は「10 items or less」これはスカーレットが担当していたスーパーのレジのルールで、「10個以内」という意味。この原題は劇中に出てきます。面接を控えたスカーレットを励ますために食事をしているとき、お互いに好きなこと・嫌いなことを10個づつ言い合うというシーンがあります。フリーマンは劇中でそれを“ゲーム”と呼んでいましたが、要は洒落の利いた会話で彼女の緊張を和らげるんですね。
本作のベースにはアメリカ社会ではまだまだマイノリティが幸せを掴むのが難しいという現実があるのではと思います。ヒスパニック系で、何の経験もないスカーレットが建設会社の秘書になる、これがどれだけ大変なことか。しかしフリーマンは敢えて言います。「君の人生はまだまだこれからじゃないか。」と。これは彼女を通して、マイノリティの人々に向けて語られた言葉ではないでしょうか。
ラストシーン。家まで送ってもらったフリーマンは彼女に言います。「これでお別れだ。」そこで潔いほどにバサッっとブラックアウト。この終わり方にも好感がもてます。むしろこの方が暖かい余韻が残る終わり方です。辺に2人の恋愛に話を持っていかれたりしたら興醒めもいいとこですからね。(笑)是非DVDを借りて、ちょっと愉しく、暖かい気持ちになってください。
個人的オススメ度(キスシーンの無い映画は久しぶりです。)
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