潜水服は蝶の夢を見る
以前から観たいと思っていた作品でしたが、やっと鑑賞出来ました。主演はマチュー・アマルリック。ちなみに1月24日公開の『007 慰めの報酬』ではボンドの敵役として出演します。本作は実在の人物・ジャン=ドミニク・ボビーの同名の小説を書き上げるまでの実話を映画化したもの。
>>『潜水服は蝶の夢を見る』公式サイト
人は蝶である事に気付かない

開始と同時に引き込まれました。スタートしてから12分少々の間、なんとジャンの目線のみの映像です。このジャン目線はこの後も主体的な手法として使われるのですが、彼の置かれた絶望感を感じるにはこれほど適した演出はないでしょう。強烈なオープニングゆえ、良い意味でちょっとショックを受けました。
ロックト・インシンドローム、意識ははっきりしているにもかかわらず、体の自由が全く利かない状態・・・。考えただけで気が狂いそうです。今この作品冒頭シーンを思い出すだけでも、また心臓の鼓動が速くなります。叫び声をあげて、頭をかきむしりたい位なのにそれすら許されないのですから。
普段我々は蝶であることに気が付いていません。しかし、本作ではジャンの目線=私たちの目線であり、蝶であることがどれだけ幸せなことなのか、友人、恋人、家族がどれだけ大切なものなのか、そんな当たり前のことを鋭く突きつけて来ます。
文字通り絶望的な状況でもジャンは生きる希望を持ち続けます。それが自伝を書くことでした。彼はELLE誌の編集長まで勤めた人物ですが、結局は元気なときも今この状態でも変わらず、創造することが彼の生きるモチベーションになっていたのですね。
終盤、彼の体の調子がちょっとだけ良くなり、全く口が利けなかった状態から、唸ることが出来るようになります。その時彼は、希望に満ち溢れて興奮気味の自分の心臓の鼓動を蝶の羽音に例えるのですが、まさに蝶となる夢が見え始めた直後、彼の容態は急変します。あまりに救いのない展開にしばらく絶句でしたが、しかし彼の本はちゃんと出版されました。
彼は夢見た蝶にはなれなかったけれども、蝶はしっかりと羽ばたいたと言えるのではないでしょうか。
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