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2009年1月27日 (火)

エレジー

Photo_7アカデミー賞ノミネートのペネロペ・クルスと、アカデミー賞俳優ベン・キングスレーの共演。監督は親日家のイザベル・コイシェ。村上春樹をこよなく愛し、次回作『Map of the sounds of Tokyo』は菊池凛子主演で制作する予定だそうです。ちなみウィキペディアによればにエレジーとは「Elegy」と書いて悲しみを歌った詩などの文学、楽曲をさすのだとか。

>>『エレジー』公式サイト

儚い美は日本人の心

あらすじへ

昨日の記事に書いた『レボリューショナリー・ロード』と比べると、大作感は比べ物になりませんが、対照的にこれ以上ないぐらいわかり易い作品でした。30歳の年齢差カップルを描いたこの作品ですが、「運命的な出会い」「一番の親友と常に相談」「彼女の過去を気にする」「自分だけが年齢差を気にしている」など、誰しも一度ぐらいどれか経験しているはず。それだけに作品に対しての距離はぐっと近いものになります。

Photo_9 特筆すべき見所はなんといっても「ペネロペ・クルスの乳房」。あえて“乳房”と書きましたが、“バスト”でも“胸”でもなく、日本語のこの単語が一番しっくり来ると思います。デイヴィッドは劇中彼女をゴヤの絵画になぞらえますが、確かに素晴らしく美しい。デイヴィッドでなくても触れてみたい、そう思わずにはいられない乳房です。

デイヴィッドはコンスエラに一目惚れし、彼女を抱きたいと考えます。日本風に言えば、“肉欲”そのものなのですが、不思議なことに劇中描かれるセックスシーンにはエロスを感じませんでした。芸術を愛する老教授が絵画を愛でるが如く、コンスエラの肉体を愛でている。“肉欲”も突き詰めると“美”に昇華するのでしょうか。このあたり、さすがは女流監督イザベル・コイシェの真骨頂です。

Photo_10 デイヴィッドと別れてから2年後、コンスエラが再び彼の前に姿を現した時、彼女の体はがん、それも乳がんに侵されていました。自分の美しい体を最も愛してくれたデイヴィッドの元で、彼女は自分の姿を写真に撮ってくれるように頼みます。静まり返る室内で一瞬の恥じらいを見せながら上半身裸になりあの“乳房”が露になります。このシーン、ただひたすら美しい。

特に言葉はありません。あるのはただ静寂のみ。気がつくと涙を流している自分がいました。桜の花の儚い美しさを知る日本人は、彼女の儚い美しさも自然と理解できるはずです。彼女は言います。「乳房が無くなっても私とヤリたい?」デイヴィッドの返答は沈黙でした。この瞬間からデイヴィッドは彼女を芸術品としてでなく、一人の女性として愛することに決めたのではないかと思います。

Photo_8 さて、素晴らしい演技で私を作品に夢中にさせてくれたベン・キングズレーとコンスエラ・カスティーリョですが、忘れてはいけないのはこの人、デニス・ホッパーです。要所要所でデイヴィッドにアドバイスを送るのですが、至極真っ当なことを言うんです。ともすれば作品全体が芸術的思考に陥り、マンネリしがちなところを、彼の現実的思考での発言が引き締めます。そんな現実的思考でありながらも彼は詩人であるという役どころ、これがまた面白いです。

イザベル監督は親日家ですから、日本的文化の影響は当然受けているでしょう。彼女のセンスは日本人に受け入れやすいと思います。最初に書いたとおり、作品そのものは地味だと思いますが、この心地よさは病みつきになりそうです。(笑)

個人的オススメ度Photo_2(ペネロペじゃなくてペネロピも可愛いよ♪)

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受信: 2009年1月27日 (火) 09時52分

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受信: 2009年1月27日 (火) 10時04分

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受信: 2009年1月27日 (火) 10時14分

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受信: 2009年1月27日 (火) 22時20分

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受信: 2009年1月27日 (火) 23時33分

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受信: 2009年1月28日 (水) 00時55分

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監督:イザベル・コイシェ  CAST:ベン・キングスレー、ペネロペ・クルス、デニス・ホッパー 他 初老の大学教授、デイヴィッド(ベ... [続きを読む]

受信: 2009年1月30日 (金) 21時06分

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受信: 2009年1月31日 (土) 11時06分

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30歳の年齢差のある男性教授と女子学生の恋愛を描いた作品です。 [続きを読む]

受信: 2009年1月31日 (土) 12時07分

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「エレジー」を観てきました〜♪ 大学教授のデヴィッド(ベン・キングズレー)は、講義だけじゃなくテレビにも出る有名人、コレまで心よりも身体を重視した恋愛を楽しんできた。或る日、30歳も年齢の離れた教え子コンスエラ(ペネロペ・クルス)の美しさに魅かれ、彼女を口説き落とす事に成功する・・・ 人気Blogランキング      ↑ 押せば、年下の恋人ができるかも!? Blog人気ランキングに参加してます。 ご訪問の際は、是非ポチっとワンクリックお願いします〜♪ ... [続きを読む]

受信: 2009年2月 1日 (日) 09時12分

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たとえ恋愛経験豊富でも・・・・・。 いつも恋するときは、初恋と同じ?なるほどね。どんなに多くの恋を経験しても、そのことが活かされるものではないのだ!要するに相手が変われば、その恋愛のかたちも違うから・・・・。もうこれで恋はお終いなんて、失恋や別れを経験しても、また恋はやって来る。そしてまた出会い、恋に落ちる。結局同じことを繰り返すのだ。恐れず目の前の恋に突き進みましょう!決して恐れずに・・・・。 1月27日、東宝シネマズ二条にて鑑賞。今回は年の差30歳の男女の熱烈でしかも静寂な愛の物語。女子学生... [続きを読む]

受信: 2009年2月 1日 (日) 23時52分

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□作品オフィシャルサイト 「エレジー」□監督 イサベル・コイシェ □原作 フィリップ・ロス(「ダイング・アニマル」) □脚本 ニコラス・メイヤー □キャスト ペネロペ・クルス、ベン・キングズレー、デニス・ホッパー、パトリシア・クラークソン、ピーター・サースガード、デボラ・ハリー■鑑賞日 1月25日(日)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 男と女のと30歳の年の差を超えた愛を描く本作。 大学教授のデヴィッドを演じるベン・キン... [続きを読む]

受信: 2009年2月 2日 (月) 12時21分

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官能的な肉体を持つ、親子ほどに年の離れた若い女に心乱される老年の男。 フィリップ・ロスの短編小説「ダイング・アニマル」をもとに、「死ぬまでにしたい10のこと」のイサベル・コイシェ監督が作り上げた世界は大人のための愛の物語。 物語:年齢差30歳、生まれも育...... [続きを読む]

受信: 2009年2月 4日 (水) 00時30分

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原題:ELEGY監督:イサベル・コイシェ出演:ペネロペ・クルス、ベン・キングズレー、ピーター・サースガード、デニス・ホッパー、パトリシア・クラークソン公式サイトはこちら。<Story>著名な大学教授デヴィッド(ベン・キングズレー)は、今日もテレビで自分の著...... [続きを読む]

受信: 2009年2月 4日 (水) 02時04分

» エレジー [いとしこいし ~いとしいこいしいものごとのおぼえがき~]
エレジー  1/28(水)@TOHOシネマズ イヴと手を繋ぎたくてモジモジしてるウォーリーに「今かよっ!」と、イラっとしてしまうワタシなのに、コンスエラ(ペネロペ)と関係を持ちたい一心でベラベラと喋りまくり褒めまくり次の予定をたてたがるデヴィッド... [続きを読む]

受信: 2009年2月 4日 (水) 11時19分

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文学的な深みをそのままに、繊細な感情表現、美しい映像と音楽によって紡がれた芸術品に。 TV出演もする初老の大学教授ケペシュは、キューバ系の学生コンスエラの美しさに惹かれて・・・。普通なら、60を過ぎた男が30も年下の若い女との愛欲に溺れるドラマを見たいとはあまり思えないのだけど、スペイン出身の女性監督イザベル・コイシェがメガホンを取ったとなれば話は別。主演もスペインのペネロペ・クルスだなんて奇遇で素晴らしい取り合わせだと思ったら、先に出演が決まっていたペネロペがコイシェ監督を推薦したのか、一緒... [続きを読む]

受信: 2009年2月 5日 (木) 20時25分

» 「エレジー」(2008) [inuneko]
ガンジー対ペネロペ・クルス! 年甲斐もないベン・キングズレーが、一言めからエロ満載で、30年下の自分の学生相手にガツガツしていて2時間ずっと笑顔で観賞。 というか、最初に見たのがガンジーだったという強烈な刷り込みのおかげで、その後、何を見たって「え、ガンジーがなぜ宇宙生命体と戦うはめに」「え、ガンジーがなぜ縛られてシガニー・ウィーバーのパンツを口に突っ込まれるはめに」「え、ガンジーがなぜ家一軒のことなんぞでもめるはめに」と基本聖人ラインが消えないから、何見てもある意味おもしろい。 ペネロペ・クルス... [続きを読む]

受信: 2009年2月 7日 (土) 16時18分

» エレジー を観ました。 [My Favorite Things]
なんとも切ない作品でした…。 [続きを読む]

受信: 2009年2月15日 (日) 23時50分

» エレジー [必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!]
[ペネロペ・クルス] ブログ村キーワード 評価:6.5/10点満点 2009年8本目(7作品)です。 今年の目標は70本ですが、2009年が始まって1ヶ月足らずでここまで見るとは思いませんでした。100本ペースで見ているので、自分自身でもビックリです(笑) さて、本題に参ります..... [続きを読む]

受信: 2009年2月20日 (金) 22時26分

» 「エレジー」劇場鑑賞 [流れ流れて八丈島]
新宿武蔵野館で13時台の「フェイクシティ」を観たので、当然ながらもう一本15時台の映画に臨みましたよあの満員で試写会に入れず観れなかったという曰く付きの、「エレジー」をやっとのことでリベンジすることができました「フェイクシティ」とあまりに毛色の違う映画...... [続きを読む]

受信: 2009年3月 5日 (木) 00時24分

» エレジー [Diarydiary!]
《エレジー》 2008年 アメリカ映画 - 原題 - ELEGY 初老を迎えた大 [続きを読む]

受信: 2009年3月23日 (月) 19時41分

» 『エレジー』 [『映画な日々』 cinema-days]
エレジー 初老の大学教授が、30歳年下の教え子と 出会い真実の愛に目覚めていく... 【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞) 原題:Elegy(哀歌) 原作:フィリップ・ロス 『ダイング・アニマル』... [続きを読む]

受信: 2010年12月16日 (木) 23時41分

» 映画評「エレジー」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2008年アメリカ映画 監督イザベル・コイシェ ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2010年12月20日 (月) 13時42分

» エレジー Elesy [映画!That' s Entertainment]
●「エレジー Elesy」 2008 アメリカ Lakeshore Entertainment,112min. 監督:イザベル・コイシェ 原作:フィリップ・ロス「ダイング・アニマル」 出演:ペネロペ・クスル、ベン・キングスレイ、パトリシア・クラークソン、ピーター・サースガード、     デニス・ホッパー、デボラ・ハリー他。 <評価:★★★★★★☆☆☆☆> <感想とストーリー> ピュリッツアー賞作家、フィリップ・ロスの原作だから、本の方はずいぶんと面白く書かれている んだろうなあ... [続きを読む]

受信: 2011年3月26日 (土) 23時02分

» 映画『エレジー』を観て [KINTYRE’SDIARY]
9-7.エレジー■原題:Elegy■製作年・国:2008年、アメリカ■上映時間:112分■字幕:松浦美奈■鑑賞日:1月24日、シャンテシネ(日比谷)スタッフ・キャスト(役名)□監督... [続きを読む]

受信: 2011年3月27日 (日) 14時24分

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