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2009年2月20日 (金)

アウェイ・フロム・ハー 君を想う

Photoカナダ映画。主演のジュリー・クリスティは本作で第65回ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しています。共演、というよりはW主演のような形ですが夫をゴードン・ピンセントが演じます。監督のサラ・ポーリーは元々女優が本業で、この作品が長編デビュー作。認知症のような思いテーマの作品を弱冠27歳の監督がどう描くのか、とても興味深い作品です。
>>『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』公式サイト

老いるということ

あらすじへ

アルツハイマー型認知症という非常にデリケートかつ重いテーマ、見ながら考えさせられることが多かったです。それにしてもアカデミー賞女優ジュリー・クリスティーの演技はさすがでした。物語冒頭はグラントとフィオーナという老夫婦の愛情の深さを描いていますが、ほんの短い時間の中で彼女の演技からは夫を愛する気持ちがとても強く感じられます。

Photo_4また、グラントの回想シーン、「私たちが結婚したら面白いと思わない?」というセリフを話す18歳当時のフィオーナの映像を実に効果的なタイミングで差し込むことで、彼のフィオーナに対する愛の深さも表現しています。この冒頭部分があるが故に、30日後に見たフィオーナが既に以前のフィオーナではないことが、グラントのみならず観ている側にもはっきりと認識できます。

ここでもまたジュリーの好演が光っていました。決して大げさではなく極普通に振舞うフィオーナ、しかし彼女はグラントのことを忘れている・・・。フィオーナの行動に対してグラントは嫉妬とショックが入り混じった感情を抱きます。これがどんな感情なのかは、正直その立場になってみないと解りません。しかし、フィオーナとグラントのような老夫婦は世の中には沢山いるでしょうし、私も含めて既婚者であればどうしたって自分たちの将来に考えが及ぶはずです。

Photo_3その意味で、グラントが下した決断には驚かされました。彼はフィオーナが、自分以外の男(オーブリー)と生活することで幸せに過ごせるのなら、彼女のその願いをかなえてあげようとします。オーブリーを施設に戻すには家を売らなければならないから無理だという奥さんのマリアン。ここでなんとグラントは彼女と暮らす決心をし、彼女に家を売らせてまでオーブリーを施設に戻そうとしました。

そのときのグラントの気持ちを考えると、何ともやるせない・・・。フィオーナを愛している、でも彼女は自分を覚えていない、愛しているからこそ彼女の幸せを願う、そしてそれは「Away from her」を意味する・・・。結局グラントは彼女から逃げませんでした。いや、逃げられませんでした。重いストーリーの中で最後の結末はハッピーエンドと捉えてよいのだろうとは思います。

Photo_2ところで、マリアン役で登場したオリンピア・デュカキス。いきなりストーリー上に登場しながら、あっという間に話に溶け込み、脇役ながらも存在感をしっかりだしてくるあたりは、彼女もさすがはアカデミー賞女優といったところでしょうか。重いテーマの話とは別に、ベテラン俳優の重厚で見応えのある演技に引き込まれる一面ももった作品でした。

老いるということは、誰にでも平等に訪れることではありますが、自分だったらどうだろうか…。綺麗ごとだけですまされないのは事実です。今はまだ若いですから、答えはでないと思いますが。そうしたことを考える機会を与えてくれる作品に出会えたことに感謝です。

個人的オススメ度(あのホームはダメだって!)

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