少年メリケンサック

主演は昨年『篤姫』が大好評だった宮崎あおい、監督・脚本が今や超売れっ子俳優・脚本家の宮藤官九郎。更には『誰も守ってくれない』が大ヒット中の佐藤浩市、『２５２　生存者あり』で好演を見せた木村祐一らとヒットの要素がてんこ盛りのこの作品。予告からはいま一つ内容が観えなかったのですが、早速本日観てきました。
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ニューヨークマラソン〜〜〜！！

いやぁ、何も考えず笑いました。そういう意味ですごく面白かったです。“interesting”じゃなくて“fun”な作品でした。とにかく最初から最後までギャグ満載というか、クドカンワールド炸裂しまくりですから、逆にそれがどうも馴染めなかったり、何が面白いのか解らないという方にはすごくつまらなく感じるかもしれないです。ま、笑うだけ笑って何も後に残らないという徹底的なその場限りのエンタテインメント作品なんですけどね。（笑）

とりあえず宮崎あおいの異様なハイテンションから物語はスタートしますが、最初からエンジン全開、テンポのよい展開で話は進んでいきます。全く飽きる間を与えさせないたたみ掛けるような展開でした。そしてまず登場する“少年メリケンサック”のメンバー、佐藤浩市扮するアキオを見るだけで観客は笑わずにいられません。しかし、これが『誰も守ってくれない』で少女を守る刑事役を務めた人間と同じだとは思えないです。なんと幅の広い俳優なんでしょうか、佐藤浩市は。もっとも彼とコミカルな演技の相性の良さは『ザ・マジックアワー』の“デラ富樫”で証明されているのですが。

さて、一方宮崎あおいはというと、感情の起伏が激しい意外はそれほど特異ではないキャラ設定でありながら、“少年メリケンサック”のディレクターであり仕切り役という役回り。しかしそこは大河ドラマ女優の面目躍如といったところ、メンバーと彼女の芝居は見事なほどに噛合っていて、観る者に一切のストレスを感じさせません。何より彼氏に甘える宮崎あおい、もとい栗田かんなはひたすらキュート。観終わった後感じたのは、良くも悪くも本作は宮崎あおいあっての作品だなということでした。

ところで、バンドを取り扱った映画といえば私の頭にすぐ浮かんだのが『デトロイト・メタル・シティ』と『GSワンダーランド』。ちょっと気にかかったのが、ハルオとジミーの過去の回想シーンの映像やシチュエーションに『GSワンダーランド』で登場したシーンに似たものがあった点。もともとパンクバンドとデスメタルは雰囲気的には似通ったものがあるだけに、なんとはなしに両作品を足して２で割ったようなイメージが頭から離れなかったりもしました。あと、“少年メリケンサック”は下手糞なバンドで勢いが命という設定なんですが、それにしてもちょっと下手すぎですね。いくら勢いとはいえ、あれで会場中が大盛り上がりするのは無理を感じます。（苦笑）

何だかネガティブな印象を書いてしまいましたが、私はクドカン作品が大好きですし、彼の紡ぎ出すストーリー展開にはいつも驚かされています。そして本作にもきっちりと面白い結末が用意されており、そのための伏線はさりげなくそれまでのストーリーに埋め込まれていました。詳しくは書きませんが、それはタイトルに書いた「ニューヨークマラソン〜〜！！」の真実。結末を知ったら「う〜ん、そういうことかぁ！」と思うと同時に大笑いしているはずです。（笑）

個人的オススメ度（ちょっと甘めの★４です。）

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