魍魎の匣
公式サイトにある「豪華オールスターキャスト夢の共演!」は伊達じゃないですね。堤真一・阿部寛・椎名桔平の3人のメインキャストのほかに、田中麗奈、黒木瞳、宮迫博之、宮藤官九郎、柄本明、そして最近個人的に結構気になっている谷村美月。脚本・監督は『クライマーズ・ハイ』の原田眞人と、期待感を煽る作品ではあります。これでもかと出てくる俳優陣に余計な事ながらギャラだけでいくらかかるんだと思ってしまったり・・・。
>>『魍魎の匣』公式サイト
普通に見せてくれれば十分なのに・・・
魍魎というからには当然“魑魅魍魎”(ちみもううりょう)を想像してしまう訳で。タイトルの文字面とも相まって『蟲師』のような内容をイメージしていましたが全然違いました。完全にミステリーですね。調べてみたらシリーズ2作目だそうで1作目は『姑獲鳥の夏』とのこと。今度観て見ます。
原作では堤真一が演じるところの京極堂が主人公の設定ですが、映画では阿部寛の榎木津礼二郎と椎名桔平の関口巽も主人公並みの扱いです。それにしても実に面白いキャラ設定。それぞれ前記した順に“憑物落とし”と“探偵”と“売れない作家”。これだけでかなり興味津々のストーリー展開が期待できるというものです。
ところが、せっかく3人の魅力的な俳優とキャラ設定があるにもかかわらず、変にこねくり回した脚本が残念でした。時間軸が重なるシーンをそれぞれ別に表現する手法は今やそれほど珍しい手法ではありません。しかしこの手法を使うなら、観ている側が基準となる人物であったり事象をきっちりと用意しないと却って話が混乱します。京極堂が最初から登場していたらまた違っていたでしょうけども。
シリーズ1作目も観ておらず、原作も読んでいない私にとっては、途中なにがどうなっているのか、ストーリーが全く解らなくなってしまいました。普通でよかったのに・・・。これだけ演技力のある俳優が揃っているなら正面から極オーソドックスに観せてくれたらそれで十分だったのにと思います。京極堂と榎木津、関口の3人が一点に集まり出した辺りからは、ようやくストーリーも落ち着き、作品に集中できるようになりました。
それにしても堤真一はぶっきらぼうな物言いの芝居をさせると本当に上手いですしハマリますね。あの声はイイ。阿部寛は『TRICK』の上田次郎と若干被ってるかなとは思いましたが、彼の演技はいつもあんな感じですから。椎名桔平は今回は真面目な?“売れない作家”役とあって、彼のもつニヒルさやアクの強さみたいなものが薄かったですが、他の2人よりも少しだけ扱いが軽めのキャラということでそれもまた仕方なしといったところでしょうか。
時代背景となっている1952年は昭和27年。『ALWAYS 三丁目の夕日』を観たときには素晴らしいセットに感心したものですが、本作でも中々力の入ったセットを見ることができます。榎木津礼二郎の乗る赤い車は一体何処から持ってきたんでしょうか。スプリングが効きすぎで、止まるたびに上下に揺れる揺れる!上田次郎といい榎木津礼二郎といいいつも変な車に乗ることになる阿部さんに思わず笑ってしまいました。
先に書いた通りストーリーの流れがお世辞にも良いとは言えない本作ですが、最終的に京極堂がめちゃくちゃ丁寧に謎解きを語ってくれますので、とりあえず最後まで見れば何が起こっていたのかは全部解る親切設計となっていますので、観るなら最後まで必ず観ましょう。ただし133分あります(笑)
個人的オススメ度(ホントのラストシーンは結構エグイ・・・)
| 固定リンク
最近のコメント