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2009年2月12日 (木)

英国王 給仕人に乾杯!

Photo_2主演イヴァン・バルネフ、監督がイジー・メンツェル。といっても全く知りません。実は昨年からずっと観たいと思いつつも、シャンテシネは中々足が向かず、ポイントカードも使えないのでDVDまで待とうと決めていた作品です。最近シャンテシネがTOHOシネマズ・シャンテになったため、ここぞとばかりにフリーパスポートを握り締め突撃してきました。(笑)

>>『英国王給仕人に乾杯!』公式サイト

ユーモアの裏に潜む不条理

あらすじへ

14時半の回はなんとチケットがSOLD OUT!仕方なく17時の回まで待ってからの鑑賞でした。シャンテシネは座席数が少ないですが、公開1ヶ月以上過ぎてSOLD OUTの憂き目に会うとは予想だにしませんでした。17時の回も9割がた席は埋まっており、改めて本作の人気の高さに驚きです。

Jpg本作はチェコ映画。それも第二次世界大戦前後のチェコスロヴァキアが舞台となっています。チェコ、元々はチェコスロヴァキアでしたが、そう言われても私に思い浮かぶのはピルスナー・ウルケルとスメタナ、そしてナチスドイツに併合されたことぐらいです。その浅い知識すら、以前たまたま読んだ漫画から仕入れたものなんですけども。(苦笑)

さて、作品そのものは脚本が良く練られているとても面白い物語でした。まあ、物語の舞台設定や雰囲気的にエンタテインメント性を求められる人にはいま一つかもしれません。いわゆる“Movie”というより“Cinema”な感じと言えば解りやすいでしょう。主人公ヤン・ジーチェが刑務所を出所するシーンから始まる本作ですが、一見シリアスと思わせておきながら、いきなり持っているカバンが刑務所の扉を閉められる時に挟まってしまいあせるというネタフリ。これがこの後も続くある種イタズラっぽいユーモアの序章でした。

Jpg_2出所したヤンが自分の人生を回想するという形式で物語りは進行します。百万長者のホテル王を夢見るヤンの給仕人人生は、まずプラハ・ホテルからスタートし、その後チホタ荘へと移り、最終的にホテル・パリの主任給仕人にまでステップアップするのですが、ホテル・パリにたどり着くまでの職場はいずれも何か事件が起こってクビになっていたりします。その事件の描き方がまた非常にユーモラスで面白い!観客がみな声を出して笑っていました。このあたりの面白さは文字で書くと半減してしまいます。ちょっとシチュエーションコメディタッチなところもあるのと、ネタバラシになるので書きません。作品を実際に観てみてください。(笑)

さて、話はガラッと変わりますが、ヤンがホテル・パリの主任給仕人になるまでの間、何人かとの女性とのセックスシーンが描かれています。コトが済んで女性が自分の体を見ると女体盛り風に裸に飾りを施されている・・・ある時は花で、ある時はフルーツで。ヤンの洒落っ気たっぷりでちょっとお茶目な人となりが表現されているシーンなのですが、実は身長が低い彼にとってはいずれの女性も自分を見下ろす存在であり、心の安寧を得られるものではありませんでした。

Jpg_3しかしそんなヤンも遂に運命の女性・リーザという自分と同じぐらい小柄なドイツ人女性と知り合い恋に落ちます。ところが、ホテル・パリはドイツ人お断りの店でした。無理に給仕しようとしたヤンは店をクビになってしまいます。つまり、何が言いたいかというと、女性運に恵まれない間のヤンはそのキャリアを順調にステップアップさせていきますが、逆にやっと運命の女性を見つけた瞬間、彼は今度は自分のキャリアを失うことになってしまった訳です。

この後、ナチスドイツはチェコスロヴァキアを併合します。リーザは軍人になりユダヤ人から奪った、当時途方もない価値があった切手を手に前線から帰ってきました。これを売れば百万長者のホテル王の夢が叶う、ヤンそう思ったのも束の間、今度は爆撃で最愛のリーザを失ってしまいます。戦後、百万長者となりホテルオーナーとなったヤン。しかし、かくも人間は何かを得るためには何かを失わなければならないのでしょうか、何と不条理なことか。

結局、共産党政権となったチェコではその財産すら没収されます。全てを失ったヤンの手には一杯のビールが握られていました。そう、プラハ・ホテルで給仕人人生を始めたときと同じに。

個人的オススメ度(観終わってからビールを飲みました。笑)

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» 英国王給仕人に乾杯! [ダイターンクラッシュ!!]
2月3日(火) 19:40~ TOHOシネマズ シャンテ2 料金:1300円(シネマイレージデイ) パンフレット:700円(買っていない。シナリオ収録) 『英国王給仕人に乾杯!』公式サイト 本日より、シャンテとスカラ座、みゆき座が、TOHOシネマズの冠がついた。来週は有楽座、再来週は日劇も加わる。これで、銀座の東宝の映画館がシネマイレージ・カードのポイント、マイルの対象になり、ポイント、マイルが溜まりやすくなる! 特に利点は、前売りが1500円のシャンテで使えること。火曜日なら1300円になる... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 00時55分

» 「英国王給仕人に乾杯!」 [古今東西座]
チェコの巨匠イジー・メンツェルの監督作品。巨匠と書いたけど、飄々としたタッチからはそんな堅苦しい名称は似合わない雰囲気がする。イジー・メンツェル監督の作品を観たのは『スイート・スイート・ビレッジ』以来だから、既に20年以上が過ぎているが、トボケたユーモアはさらに磨きがかかり、重い内容も軽やかに笑い飛ばす職人芸には深いコクがあり、すっかりファンになってしまった。物語は監獄から出所したヤン(オルドジフ・カイゼル)が、彼の辿った人生を回想する形式になっており、若き日のヤン(イヴァン・バルネフ)が田舎町のレ... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 01時00分

» 英国王給仕人に乾杯! [川映本音の和]
日比谷シャンテ タイトルからイギリス映画のように思いますが、これはチェコの映画です。しかも、英国王も出てこなければ、英国の給仕人も出てきません。主人公が英国王に仕えることもありません。不思議な題名ですが、このタイトルは、主人公ヤンが勤めたチ... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 06時52分

» 英国王給仕人に乾杯! [とりあえず、コメントです]
チェコの激動の時代を一人の男の人生を通して描いた作品です。 ナチスに翻弄されたチェコの歴史がちょっと軽快なタッチで描かれていました。 1963年のある日のこと。初老の男ヤン(オルドジフ・カイゼル)が刑務所から出てきた。 14年9ヶ月ぶりの自由を感じて笑顔になったヤンは、政府に指定された場所で暮らしていくことになった。 彼に与えられた仕事は、国境近くの森に囲まれた道路を整備すること。 与えられた家は、戦前ドイツ人が住んでいた村の廃屋だった。 普通の人なら逃げ出すほどの荒れ果てた村だったが、彼は住むた... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 12時36分

» 「英国王 給仕人に乾杯!」 [ハピネス道]
チェコという国は20世紀中に政治や経済や民族、さまざまな変化を経験しています。私の世代だと社会科で習うチェコと言えば“チェコスロバキア”だったのですが“チェコスロバキア”という国はもうありません。そんな20世紀半ばのチェコを舞台に描かれるとある給仕人の半生… 。不思議な余韻が残る作品でした。主人公ヤン・ジーチェが駅のプラットフォームでソーセージ売りをしていた少年時代から、田舎町のビアレストランのボーイ、妖しげなホテルの給仕人の仕事を経て、プラハの一流ホテル“ホテル・パリ”の主任給仕人になっていく青年... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 12時54分

» 『英国王給仕人に乾杯!』 (2007)/チェコ・スロバキア [NiceOne!!]
原題:OBSLUHOVALJSEMANGLICKEHOKRALE/ISERVEDTHEKINGOFENGLAND監督・脚色:イジー・メンツェル原作:ボフミル・フラバル出演:イヴァンン・バルネフ、オルドジフ・カイゼル、ユリア・イェンチ鑑賞劇場 : シャンテ・シネ公式サイトはこちら。<Story>ヤン(イヴ...... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 21時07分

» 英国王給仕人に乾杯! [シネマ大好き]
第二次世界大戦前から1960年代初めまで、激動のチェコスロバキアを生きた小さな男ヤン・ジーチェの物語。 百万長者になる夢を抱いたヤンは、駅のソーセージ売りから始まって、田舎町のホテルの見習い給仕、ついで国際商人専用の高級娼館チホタホテルの給仕、そして最高級..... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 21時15分

» 英国王給仕人に乾杯! [シネマ大好き]
第二次世界大戦前から1960年代初めまで、激動のチェコスロバキアを生きた小さな男ヤン・ジーチェの物語。 百万長者になる夢を抱いたヤンは、駅のソーセージ売りから始まって、田舎町のホテルの見習い給仕、ついで国際商人専用の高級娼館チホタホテルの給仕、そして最高級..... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 21時19分

» 『英国王 給仕人に乾杯!』 [千の天使がバスケットボールする]
よく作家は処女作に還るというが、28歳の長編処女作『厳重に監視された列車』と同じ原作者ボフミール・フラバル による小説を映画化した70歳のイジー・メンツェルの最新作。『厳重に監視された列車』の見習鉄道員、ミロシュがまだ幼い顔立ちで小柄だったように、『英国王 給仕人に乾杯!』の主人公ヤンも小さな国の童顔の小さな男。給仕人として働く彼、ヤン・ジーチェはビールを片手につぶやく。 「私の幸運は、いつも不運とドンデン返しだった」 1963年、チェコスロヴァキアのプラハ。 初老の男が、監獄から出所する。彼の名... [続きを読む]

受信: 2009年2月12日 (木) 21時49分

» 映画「英国王 給仕人に乾杯!」 今年の映画鑑賞のトドメにふさわしい一本。 [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
一年を総括するような一本は、なぜか年末に降ってくる。 去年でいえば「夜顔」がそうだった。 ブニュエル臭を一瞬とはいえあれだけ濃厚に吸い込むとは全く予期しなかったのだ。 今年もまたそういう一本に今日出会ってしまった。 それは20日から公開されている「英国王 給仕人に乾杯!」。 タイトルからするとイギリスの映画かなと誤解しそうだが、実はチェコ映画。 一言に言うと、20世紀の究極に嵐だった時代に翻弄された一人の男の話。 その男は、チェコスロバキア人(当時)ながらナチス・ドイツ時代のドイツ人を妻に... [続きを読む]

受信: 2009年2月14日 (土) 07時53分

» 「英国王 給仕人に乾杯!」 [ヨーロッパ映画を観よう!]
「Obsluhoval jsem anglického krále」...aka「I Served the King of England」2006 チェコ・リバブリック/スロヴァキア チェコ・プラハを舞台に、涙と笑いのコメディ・ドラマ。 青年期のヤン・ジーチェにイヴァン・バルネフ。 老年期のヤン・ジーチェにオルドジフ・カイゼル。 リーザに「ベルリン、僕らの革命/2004」「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々/2005」のユリア・イェンチ。 ヴァルデンに「スイート・スイート... [続きを読む]

受信: 2009年2月17日 (火) 20時33分

» 英国王 給仕人に乾杯! [foggyな読書]
チェコ映画です。英国王は出てきません。そもそも英国人自体が出てこない。英国ファンのみなさん、残念でした(^^; 年明けにこの映画を知って「これだ!」と思ったのですが、あまりにも地味なもので、その後すっかり存在を忘れてしまっていたのです。某映画レビューサイトで紹介されているのを見た瞬間、「あっ!」と思い出して観てきました。 こういうときは、ラッキーマンデーなんかより、水曜日が祝日になるほうがありがたい。 とても面白かったです。 第二次世界大戦前後のチェコで、億万長者になる夢を持って... [続きを読む]

受信: 2009年2月21日 (土) 20時37分

» 「旭山動物園物語〜ペンギンが空をとぶ〜」動物と共存して再建した動物園ストーリー [オールマイティにコメンテート]
「旭山動物園物語〜ペンギンが空をとぶ〜」は廃園寸前の旭山動物園が再建のために従業員があの手この手を尽くして動物園を再建していくストーリーである。財政難に瀕している施設や会社や団体は多いが、財政再建の為にはやはり思い切った投資と発想が必要という事感じるし、...... [続きを読む]

受信: 2009年2月28日 (土) 06時45分

» 「英国王給仕人に乾杯!」おかしくて、物悲しいチェコの近代史 [soramove]
「英国王給仕人に乾杯!」★★★ イヴァン・バルネフ、オルドジフ・カイゼル、ユリア・イェンチ主演 イジー・メンツェル監督、チェコスロバキア 、2007年、122分 「誰でも願う理想の生活をかなえようとする 主人公の生真面目な生き方が なんともおかしく、そしてどこか物悲しい」 名古屋には真面目な映画館がある、 名古屋駅近くの「シネマスコーレ」と 今池にある「シネマテーク」だ。 この二つの映画館ではシネコンでは 上映されないマイナーな映画が上映されている... [続きを読む]

受信: 2009年3月 3日 (火) 23時28分

» 英国王給仕人に乾杯! [Art- Mill  ]
英国王給仕人に乾杯 HP http://www.bowjapan.com/iservedtheking/ 「小は大より美し、、、、。」 「全世界が絶賛、笑いと愛のメンツェル映画の最高傑作」 とあるが、笑うに笑えないシニカ [続きを読む]

受信: 2009年3月10日 (火) 00時02分

» 英国王 給仕人に乾杯! [Diarydiary! ]
《英国王 給仕人に乾杯!》 2006年 チェコ/スロヴァキア映画 - 原題 - [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 19時53分

» 映画 【英国王給仕人に乾杯!】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「英国王給仕人に乾杯!」 チェコ・スロバキア合作映画。ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞受賞。 おはなし:1963年、共産主義体制下のプラハで出獄したヤン(イヴァン・バルネフ)は、ズデーテン地方の山中の廃屋で、給仕人として生きた自分の人生を振り返る・・・。 まるでクラシカルな映画を見ているような感じで、モノクロの映像と軽快なピアノ伴奏でヤンの人生が語られ始めます。 ヤンの給仕人人生は、田舎町のホテルのレストランでビール注ぎの見習いからスタートしました。そこで習ったことは、「何も見... [続きを読む]

受信: 2009年4月23日 (木) 09時07分

» 「英国王 給仕人に乾杯!」Obsluhoval jsem anglického krále [俺の明日はどっちだ]
駅のソーセージ売りだった小柄な主人公ヤンがホテル王になる夢を追う姿を、小国チェコスロヴァキアの激動の近現代史になぞらえて描いた作品。 歴史に翻弄される小国の姿という時代的にも内容的にも重苦しくなりがちなテーマでありながら、小粋なオープニングを含め時に軽やかに、時にコミカルに、そして時に暗喩的にシニカルに描くことによって、より伝わってくるものが多かったのだ。 そして例えば最初の駅のシーンでヤンがつり銭を渡し切れなかった相手が収容所送りの列車にいるのを見つけて追いかけるシーンだとか、数々の言語を... [続きを読む]

受信: 2009年4月23日 (木) 11時53分

» 英国王 給仕人に乾杯! [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
英国王給仕人に乾杯! オリジナル・サウンドトラックチェコを代表する映像作家イジー・メンツェルが描く20世紀のチェコ現代史は、語り口こそ軽やかだが、現代にも通じる皮肉な運命劇。主人公は給仕人として生きた小さな男ヤンである。1930年代、ヤンはチェコの....... [続きを読む]

受信: 2009年7月 8日 (水) 23時32分

» 英国王給仕人に乾杯! [迷宮映画館]
後半に行くに従って、どんどんとはまっていく・・・。 [続きを読む]

受信: 2009年7月11日 (土) 22時09分

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