レールズ&タイズ/RAILS & TIES
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| 不器用な愛、素直な愛、 されど悲しみは平等 |
この作品がなんで劇場未公開なのか、色々事情はあるのでしょうが非常にもったいないです。こんなに悲しくて涙したのは久しぶりです。妻・メーガンが末期がんだということは最初に明かされているので、劇中のトム同様いずれ訪れるメーガンの死は解っていたはずなのに。
物語冒頭、トムはメーガンにやがて訪れる死を受け入れられず、それを忘れるように運転士としての仕事に打ち込むシーンからスタートします。もちろん彼女のことを愛していない訳ではなく、むしろ人一倍愛しています。だからこそメーガンの死を受け入れたくないんですね。上手く自分の愛を伝えられない苦悩を、苛立ちを、時に心にもない言葉で、または言葉にならない仕草の端々でケヴィン・ベーコンが見事に演じています。
メーガンもともすれば死を前にした人間の身勝手さとも受け取られかねない(もちろんそれは仕方のないことですが。)言動の裏で、死への恐怖に押しつぶされそうになりながら必死で戦っていました。
入浴のために鏡の前で上半身裸になった彼女の左胸は・・・乳がんだったんですね、摘出されて乳房はありませんでした。左胸に残る傷跡を手でこすりながら嗚咽をもらすメーガン。マーシャ・ゲイ・ハーデンの渾身の演技に観ている私の心は締め付けられました。心が痛かった・・・。メーガンの抱える苦しみ・悲しみは、亡くなる直前よりもむしろこの時の方が強いです。
デビーはメーガンを本当の母のように想い慕います。ちょっと戸惑いながらも、子供らしい素直な愛情表現。メーガンの命が幾許も無いことを知った時、彼は“母親やメーガンが死ぬのは”自分がついた嘘に対する神様の罰なんだと自分を責めます。顔を真っ赤にして自分を責める感情の爆発。デビー役のマイルズくんはデビュー作らしいですが、良い演技でした。
デビーがやって来てから、トムはまるでデビーに見習うかのように、メーガンに対して素直な気持ちになります。しかし思えばデビーもまた、死んだ母親に対しては不器用な愛情表現しか出来なかったのでしょう。自分でそれが解っていたからこそ、母親の死やメーガンの死を自分の責任と感じてしまうのだと-。
メーガンが亡くなる前の晩、トムとデビーは1人づつ彼女と話します。彼女の胸に頬を寄せる2人の様子はまさに親子そのもの。デビーが大人になったらトムになる、全く違和感なくそう思えるほどそっくりな2人でした。翌朝、2人が寝ている間にメーガンは静かに逝ってしまいます。
『RAILS & TIES』直訳すると『レールと結びつき』。鉄道が結びつけたとある夫婦と子供の悲しい悲しい物語。しかしラストシーンのトムとデビーの表情からはこれから先の未来への希望が見て取れます。ちょっとはにかんだ様な、その穏やかな笑顔に救われました。
個人的オススメ度
(簡単なテーマほど俳優の力は大きいですね。)
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