« 昴 -スバル- | トップページ | イエスマン “YES”は人生のパスワード »

2009年3月30日 (月)

悲夢

Photo 奇才キム・ギドク監督作品。主演は現在『PLASTIC CITY プラスティック・シティ』が公開中のオダギリ・ジョー。共演がイ・ナヨン。先日観た同監督の『映画は映画だ』がなかなか面白かったと思ったら、同じ監督の作品が同時期に公開されているということで新宿のレイトショーに遠征してきました。今回は日本人俳優とのタッグですが、どんな仕上がりなのか興味津々です。

>>『悲夢』公式サイト

『悲夢』というよりは『悪夢』

あらすじへ

01_2

なんと言ったら良いのか。私はキム・ギドク監督をある意味舐めていたのかもしれません。奇才と呼ばれる所以を垣間見たような作品でした。それにしてもどうでしょう!この観客を思いっきり置いてけぼりにした難解さ。もう自分さえ良ければそれでいいと思っているのではないか、そんな風に感じられてしまう程、完全に監督のマスターベーションっぷりです。そんな所がコアなファンの心を掴んでいるのかもしれませんが、私はダメでした。

02_2 03_2

TOHOシネマズの上映前風に言うのなら「面白いとか面白くないとかそういうことじゃないの。もうね意味不明なの意味不明!」という感じです。(というかそれこそ意味不明ですよね。笑)オダジョー扮するジンは分かれた恋人を忘れられない男。イ・ナヨン扮するランは分かれた恋人を憎んでいる女。ジンは寝ると恋人との夢を見ます。すると、ランは夢遊病のようにその夢と同じ行動を実際に起こしてしまいます。

ジンが別れた恋人とキスをすれば、ランは憎んでいる元恋人と無意識状態でキスをすると。既にこの設定がキテます。序盤はそんなシーンが繰り返されますが、それはまるで70年代のテレビドラマを思わせるようなチープさ加減あふれる映像でした。実際BGMの曲もそんな感じです。それでもまあ、「それからどうするの?」と辛うじて次への期待感は抱けます。そして2人はある重要なことに気付くのでした。ジンが寝て夢を見る時にランが起きていれば夢遊病状態にはならないことを。要するに交互に寝ればいいんだということですね。

04_2 05_2

ところが!これで解決してしまっては話がそこで終わってしまうからでしょうか、“交互に寝る”こんな簡単なことがまるで実践できない2人。しかも決まって深夜12時を過ぎると猛烈に睡魔に襲われるようで…。互いに罵りあいながらも、なんとか交互に寝るように努力する中で密かに芽生え始める恋心。この辺も良く解りません。何でそこからお互いを好きになれるのか。それでもまあそんな人たちもいるだろうと思い観続けると・・・究極の解決法が見つかります。

ジンは2人で寝る前にお互いの手を手錠で繋ぎます。これならランが夢遊病で行動しようとすればジンが気付きます。これで万事解決!いやぁ、よかったですよね!っとなるはずが、そうはならないところがキム・ギドク監督です。2人で車の中で夜を明かすシーン、手錠で手を繋ぎジンは何故かダッシュボードに鍵を置いてしまうのでした。何で?(苦笑)

07_3 06_3

ここから先はもはや私には理解不能でしたので書きようがありません。夢の中で恋人を殺してしまったジン、当然ランも夢遊病状態で元恋人を殺してしまいます。そんなランのために一生寝ないと決意したジンは自分をナイフヤノミで切りつけたり、金槌で殴ったりして必死で起きていようとするのですが、そんな状態でもランの面会に出かけたり。もはやこの段階では何を言いたいのか、何を観たらよいのかが全く解りませんでした。

今回のオダジョーは全編日本語です。しかし周囲は全員韓国語です。でもそんなことは委細構わず普通に会話が成立します。そこからしてすでにおかしいのですが、観終わったときには全く気になりませんでした。何故なら「結局この映画ってなんだったんだろう?」という状態だったから。キム・ギドク監督ファンか、出演者を見ていられればそれで良いという方以外はお金と時間の無駄になる確率が高い作品です。

個人的オススメ度(イ・ナヨンは吉行和子に似ていると思う。)

↓いつも応援ありがとうございます!ランキング参加中です。ポチッとご協力頂けると嬉しいです♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ人気ブログランキングへ

|

« 昴 -スバル- | トップページ | イエスマン “YES”は人生のパスワード »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 悲夢:

» 『悲夢』 [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY]
ヒヒヒ、ムムム・・・ ある夜、別れた恋人を追って車を運転していたジンは、追突事故を起こすが、それは夢だった・・・。キム・ギドク監督作を初めて観たというニッポンのオダジョーファンのみなさーん。キム・ギドクの映画は面白いものがたくさんあるんですよー。こんな感じが本領じゃないんですよー。ヴェネチア国際映画祭やベルリン国際映画祭で受賞歴もある世界に名だたる鬼才監督なんですよー。 という擁護はしておこう。でも、そうなの。これまでのキム・ギドクの監督作のほとんど全てを観てきたからこそ、失望せずにはい... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 01時57分

» □『悲夢(ヒム)』■ ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2008年:韓国映画、キム・ギドク監督、オダギリジョー、イ・ナヨン主演。 [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 02時31分

» 悲夢 [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
 『狂おしいほど切ない、 愛しい人に出会う夢』  コチラの「悲夢」は、韓国の鬼才キム・ギドク監督と海外監督作品初出演のオダギリ・ジョーがタッグを組んだ”日韓の才能による奇跡のコラボレーション!”として話題の2/7公開となったPG-12指定のファンタジー・ロマン....... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 06時28分

» 悲夢 [シネマ大好き]
キム・キドクという監督を知らなかった。これは、何と言えばいいのだろう。現実と幻想が溶け合っていて、もやの中のようでいて鮮明で、感情的であり観念的であり、謎に満ちている。そして、激しくて切ない。観た後も、まだ夢の中のようだった。 交通事故を起こした夢を見..... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 07時15分

» 悲夢/オダギリジョー、イ・ナヨン [カノンな日々]
キム・ギドク第15作です。まさかキム・ギドク作品がチネチッタでかかるとは思わなかったです。でも扱いが小さいのがスゴク気になるんですよね。小さい箱で上映回数も夕方から2回だけってどうしてこんなに地味なんでしょ?それでも上映してくれるのってやっぱりオダジョー効....... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 07時34分

» 『悲夢』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「悲夢」□監督・脚本 キム・ギドク □キャスト オダギリジョー、イ・ナヨン、チア、キム・テヒョン、チャン・ミヒ■鑑賞日 2月7日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想>  オダジョー・ファンの女性の方々へ〜  この映画でのオダジョーを観たら、今までにない違った一面を観てもっと好きになるか、失望してファンをやめてしまうか、二者択一でございます(笑)  イ・ナヨン・ファンの男性の方々へ〜  特にビックリするほどの変化球は投げていません(... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 08時04分

» 悲夢 Himu ★★★★★ [(´-`).。oO(蚊取り線香は蚊を取らないよ)]
公式サイト プラデラレビュー キム・ギドクがまた凄いものを作った。やりたい放題に見えるのに完成度は高いというのが天才的。 劇中にて明確に明示される白と黒の対称をはじめ、男と女、夢と現実、睡眠と覚醒などなどあらゆる要素が表裏一対となって、時に一周して同....... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 09時30分

» 『悲夢』 [ラムの大通り]
(英題:Dream) ※映画の核に触れる部分もあります。 鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。 -----おっ、ついに出たか。 これってキム・ギドクとオダギリ ジョーの顔合わせが 大きな話題を読んでいる映画だよね。 「うん。 前にも話したかも知れないけど、 キム・ギドクって本国ではあまり人気がなく、 海外の映画祭で高い評価を得ている監督。 それを意識してか、前作 『ブレス』ではチャン・チェン、 そして本作ではこのオダジョーと、 外国の俳優とのコラボが多い」 ---... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 10時04分

» 悲夢★SAD DREAM [銅版画制作の日々]
キム・ギドク ×オダギリジョー 日韓の才能が集結! 3月21日公開。公開初日の鑑賞となりました。めったに公開初日に行くことないのですが・・・・。夕方からの2回上映のみ。何で?他の作品はかなり多く上映回数多いのに。この作品の上映回数は少ない。やはり一般受けしないのかな? あのキム・キドク監督作品に、オダギリ・ジョーが主演として登場するのだから、見逃がすわけにはいかない。奇跡のコラボレーションが遂に実現。何でもオダギリ・ジョーは日本を代表する俳優として韓国でNO。1の人気を誇る存在らしい。そんなオ... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 17時12分

» 映画 『悲夢』 [きららのきらきら生活]
『狂おしいほど切ない、愛しい人に出会う夢』 [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 22時07分

» 悲夢(ヒム) [映画通信シネマッシモ☆プロの映画ライターが贈る映画評]
奇妙な設定はキム・ギドクの十八番だが、今回の素材は夢だ。恋人を忘れられない男ジンの見た夢が、夢遊病の女ランの現実に現れることから、二人は夢に翻弄されていく。恋人と別れたという共通点以外、ほとんど説明はないが、夢と現実、男と女が分かちがたく存在する不思議な....... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 23時31分

» 「悲夢」 [てんびんthe LIFE]
「悲夢」ヒューマントラストシネマ渋谷で鑑賞 キム・ギドクはやっぱり天才でした。 と、終わった瞬間に思わされました。 オダギリは今回台詞があるのだろうか…という期待から入っていきましたが、いきなり日本語で始まったこの作品。 当然他の出演者は全員韓国語。 ということで、これ自体が夢なのかとまず思ったのですが、そう思ったのは最初だけ。 オダギリだけが日本語で会話していても何の違和感もなくなってしまうんです。 絶対オダギリはセリフなしって思いこんでいたんですが、すごくたくさんセリフあるし、... [続きを読む]

受信: 2009年3月30日 (月) 23時46分

» 悲夢 [いとしこいし ーいとしいこいしいものごとのおぼえがきー]
悲夢  2/21(土)@シネチッタ 言葉の音というか、その音の響きがちょっと苦手で なかなか韓国の映画を観る気にはならないのだけど キム・キドクはいいよーと云われても、うーんと思ってて でも、オダギリジョーが出演してるとなれば別なので ぎり... [続きを読む]

受信: 2009年3月31日 (火) 00時29分

» キム・ギドク監督の「悲夢」を観た! [とんとん・にっき]
「新宿武蔵野館」で、キム・ギドク監督の「悲夢」を観ました。日本の若手俳優、オダギリ・ジョーが主演するというので、話題になっていました。前作「ブレス」は台湾の俳優を使った、主人公はまったく喋らない作品でした。今回の「悲夢」は、オダギリの台詞は全て日本語、... [続きを読む]

受信: 2009年3月31日 (火) 11時25分

» 悲夢 [まてぃの徒然映画+雑記]
うーむ、わからん。といってもしょうがないんだけど、わかんないんだもん。別れた女が忘れられなくて夢に見る男(オダギリジョー)と、その夢のとおりに別れた男と行動してしまう女(イ・ナヨン)。交通事故の夢から始まって、だんだんエスカレートしていく。そしてついに...... [続きを読む]

受信: 2009年3月31日 (火) 21時39分

» 悲夢 [象のロケット]
車で別れた恋人を追っている途中に交通事故を起こした夢から目が覚めたジンは、心配になり事故現場へ駆けつけた。 確かにそこで事故は起こっていた。 しかし車を走らせていたのは自分ではない。 監視カメラの映像から警察に身柄を拘束されたのは見知らぬ女性ラン。 彼女は夢遊病で、ジンの夢に呼応するように行動していたのだ…。 ダーク・ファンタジー・ラブ。... [続きを読む]

受信: 2009年4月 1日 (水) 08時32分

» 愛についての感情「てんこもり」の寓話。 [人生はお伽話もしくは映画のよう]
悲夢(ヒム) かつての恋人を忘れられない男の夢が、かつての恋人を憎む女の夢遊病的行動を左右する。男が恋いこがれる昔の恋人を抱く夢を見れば、女は嫌悪する昔の恋人に [続きを読む]

受信: 2009年4月 3日 (金) 09時55分

» 悲夢 ▲20 [レザボアCATs]
理屈抜きにして、「好き」としか思えない世界なのだから、何をどう語っていいのやら。私はここから抜け出したくなくなった。 [続きを読む]

受信: 2009年4月15日 (水) 21時35分

» 映画 【悲夢】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「悲夢」 キム・ギドク監督の13作目の作品。 おはなし: ある晩、ジン(オダギリジョー)は元恋人の車を尾行していて、突然脇道から飛び出して来た車に追突する夢を見る。そのあまりのリアルさに胸騒ぎを覚えて記憶を頼りに車を走らせると、実際に彼が夢で見たのと寸分違わぬ事故が起きていた・・・。 いつものことながらギドク監督の作品は設定が奇抜です。 ある男の見る夢が、ある女の現実となる。 彼らは全く見ず知らずなのに、同じ夢を共有してしまうのです。 彼らの心はどこかで繋がっていたということでしょ... [続きを読む]

受信: 2009年4月30日 (木) 08時41分

» 悲夢 [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
夜ごと、夢の中で忘れられない恋人に再会する男。男の夢に呼応して、かつての恋人と現実のときを過ごす女。 悲しい運命を変えるため、静かに激しい恋に落ちていくふたり。それがたとえ叶わぬ恋であっても・・・。 物語:深夜、ジン(オダギリ ジョー)は別れた恋人を追....... [続きを読む]

受信: 2009年6月 5日 (金) 23時01分

» 『悲夢』 [『映画な日々』 cinema-days]
悲夢 男が見る、忘れられない別れた女の夢を 忘れたい男と夢遊病で同時体験する女 【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞) 英題:Sa... [続きを読む]

受信: 2010年2月16日 (火) 03時47分

» 『悲夢』'08・韓 [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ]
あらすじある日、ジンは交通事故に遭遇する夢を見た。夢で見たその事故が気にかかり現場へ足を運ぶと夢で見た事故と全く同じ交通事故が起きていた・・・。感想ヴェネチア国際映画祭で監督賞の『うつせみ』ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)の『サマリア』で知られるキム...... [続きを読む]

受信: 2010年2月26日 (金) 21時00分

« 昴 -スバル- | トップページ | イエスマン “YES”は人生のパスワード »