PCV-1 余命85分
初めて観るコロンビア映画。監督はスピロス・スタソロプロスという方でこれがデビュー作だそうな。主演のメリダ・ウルキーアも映画は初出演。といってもまあどちらも全く知らないのでコメントのしようもないのですが。とにもかくにも、85分間ノーカット、つまり1カットで撮影したとの前フリに、仕事柄どうしても興味を押さえられず珍しくシネセゾン渋谷のレイトショーに行ってきました。
>>『PVC-1 余命85分』公式サイト
やっぱり編集って大切だよね♪
非常に長い1カットというと私の場合ニコラス・ケイジ主演の『8mm』の冒頭13分を思い出すのですが、本作の場合はその6倍以上。仕事柄、そんな長回しの映像が作品として成立するかに興味津々だった訳ですが、やはりというか案の定ダメでした。何のための長回しなのか、そこまで長回しをすることによってどういう映像効果が得られるのかが解っていない監督だったとしか思えないのでした。
一般的にカメラを手持ちで長回しすると、よりリアル感・緊迫感がある映像が撮れます。しかし本作の場合はそのどちらも全く感じられませんでした。いや正確には感じられる部分があるのですが、無理に1カットに拘っているので大半はダラダラ垂れ流しの映像です。一番きつかったのが、首に時限爆弾を付けられたオフェリア夫妻が爆発物処理班のいる場所まで移動する際に、線路をトロッコで移動するのですが、乗っている間の数分間、延々オフェリアの顔を見せられる部分。イライラを通り越して気が遠くなってしまいました。(笑)
どうしようもなく退屈な映像表現に加え、ストーリーもメチャクチャ。実話を完全映画化したそうですが、そもそもこの作品を映画化する必要がどこにあったのか疑問です。何故オフェリアの一家が強盗に襲われたのかからして全く解りません。一般的に強盗が多いからとか殺人発生率が高いとか、そういった現実があるのは解りますが、被害にあった被害者を主人公に据えて出来事をトレースすることにどれほどの意味があると言うのか…。
トロッコを降りてから爆発物処理班との待ち合わせの場所まで、夫妻は生い茂った植物を掻き分けて急ぎ歩を進めます。が、カメラはそんな夫妻を追い越していきます。思わず「川口探検隊かよ!」と突っ込みたくなる場面でした。(苦笑)その後もワザとらしく転んでみたり、大げさに「もう限界だわ!」と叫んでみたり…、主演の女優さんは舞台女優が本業らしいですが、そのためかいちいち芝居が大げさ。本来なら爆発物処理のシーンは、日本のテレビドラマですら結構ドキドキするものですが、ドキドキではなくイライラさせられ通しでした。
ちなみに「PVC-1」とはポリビニール・クライドの略だそうで、オフェリアの首に取り付けられた爆弾入りパイプの素材のことだそうです。一応本作最大の見所はオフェリアが助かるのか否かという点で、それに関しては書きませんが、もう途中からあまりの苛立ちに結末などどうでも良くなってしまっている私がいました。(泣)編集はただ単に短く切った映像を繋ぎ合わせているのではなく、より効果的に観せるための方法なのだと再認識させてくれた本作に感謝です。
個人的オススメ度(閉館した渋谷ピカデリーが寂しげでした。)
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