チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室
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その話・・・続けてください! |

主人公のチャーリー・バートレットは美人の母と豪邸に2人暮らし、リムジンで学校に通うというセレブな高校生。ただのボンボンかと思いきや、学校の成績も優秀で傍目には非の打ちようがない。しかし、彼は常にあることを考えているのでした。それは学校で“人気者”になること。その為だったら危ない橋だって渡っちゃう!しかし悪事はことごとくばれて、私立の高校を次から次へと退学になっていく。そうして辿り着いたのが公立のウエストサミットハイスクールだったのでした。


さて、ここでチャーリーはリムジンではなくスクールバスで通学することを選択します。人気者になりたいという彼だけに、皆に反感をもたれないようにしっかり考えていることが伺えます。このあたり、アントンのほのぼのさを醸し出す演技のおかげか、計算高い感じは受けません。ところがチャーリーくん、服装までは気が回っていませんでした。校内ではエンブレム付きのブレザーなんてだーれも着てません。変に目立ってしまった挙句、早速虐めに遭ってしまいます。「あらら、ありがちな話ねぇ。」なんて思ったのですが、ここからが違いました。というか、ここからが面白い!


なんと自分を虐めた相手をビジネスパートナーに誘うんです。もちろんビジネスといっても、例によってリスキーなんモノなんですが。(笑)実はチャーリー、母親のかかり付けの精神科医に診療を受けた時に、処方されたクスリを飲むと“ハイ”になれることを発見したのでした。そこで彼が考えたのが、仮病でクスリだけ処方してもらい、それを売るということ。彼は学校の男子トイレで生徒の悩みを聞き、クスリの販売を開始します。男子トイレの前には女子も混ざった長蛇の列が。(笑)
チャーリーはこのカウンセリングを通して、望み通り学校中の人気者になります。しかし同時に意外な人物が意外な悩みを抱えていることに気付くのでした。“本当の恋愛をしてみたい”チアリーダー、“芸術の道に進みたい”アメフト選手、“ゲイじゃないけど”女性に興味のない奴・・・。この一連のシーン、思春期のティーンが抱えている悩みを多少ディフォルメしながらユーモアたっぷりに描いています。


学校中の人気者になり、校長の一人娘スーザンと付き合い始め、童貞も卒業しと良いこと尽くめのチャーリーに転機が訪れたのは、ある事件がきっかけでした。チャーリーの売ったクスリを大量に飲んで同級生が自殺未遂を起こしたのです。それまでまがりなりにも友達の役に立っていると思っていた彼は、実は自分は全く無力なのではないかと思うようになります。何より、チャーリーは彼自身が抱える悩み、それは刑務所に入っている父親と自分の関係であり、その悩みすら解決できていないことに気付くのでした。
もう相談は受け付けない、皆の前で宣言するチャーリー。しかし、皮肉にもそんな彼の最後のカウンセリング相手は、恋人スーザンの父親である校長でした。自分が原因で崩れかかったスーザンと校長の仲を取り持とうとするなかで、チャーリーは自分と父親のあるべき関係に気付きます。
コメディタッチな学園ドラマでしたが、描かれている内容は成程納得できるもので、自分が通り過ぎてきた過去を思い出させてくれる、懐かしい後味の作品でした。
個人的オススメ度(それでも邦題はどうかと思う…)
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