エグザイル/絆
『ハムナプトラ3』や最近では『プラスティック・シティ』に出演しているトニー・ウォン主演作品。監督はジョニー・トー。1999年の返還直前のマカオを舞台に、幼馴染でありながら今はそれぞれの使命を帯び、香港裏社会に生きる男たちの文字通り“絆”を描いた作品。熱い友情に裏打ちされた5人の実に男くさい生き様に痺れます。 >>公式サイト
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いやはや何ともカッコいい!本作はチョウ・ユンファの『男たちの挽歌』から、本作主演のアンソニー・ウォンも出演している『インファナルアフェア』という流れの中で確立されてきた、いわゆるノワールムービーと呼ばれる作品です。物語冒頭からメインキャスト5人が一点に集まり、幼馴染のの友人を殺す側と守る側に別れて銃撃戦を始めるという構成なのですが、そこには観客の気持ちをしっかりと掴む演出や演技がありました。
本作を通して全てのアクションシーンで感じたのは、ジョニー・トー監督は“静と動”の使い方が非常に上手いということ。冒頭のシーンにしても、まずは組織の裏切り者ウーを除いたブレイズたち4人が集まります。しかしそこでは僅かな台詞が交わされるだけ。基本的に4人は黙って葉巻を口にしながらウーの帰宅を待ちます。帰宅したウーとともにブレイズとタイは自宅に入り、お互い無言のまま拳銃を取り出す・・・。この間余計なおしゃべりは殆どナシ。
そして次の瞬間いきなり始まる銃撃戦!静かにゆったりとした時間の流れが、急に激流へと変化します。ところが、そんな激流の中でも変化しないのが、その場に身を置いているブレイズたち当人。スクッと立ったまま銃を乱射している姿に目を奪われました。もちろんやや遅れて、彼ら自身もアクションを起こしますが、彼らの立ち姿はそれだけで素晴らしい演技ですね。伝統芸能を見るかのような様式美というか、まるで逃げる・避けるという行為が彼らの中の美学に反するかのようでした。
この拘りの演出が本作のガンアクションが他の作品のそれとは一線を画している印象を与えてくれます。それはつまり本作のガンアクションがシーンとしての迫力もさることながら、何よりも男たちの格好良さ・魅力を観る者に伝えてくれるから。ところで魅力といえば、ブレイズ役のアンソニー・ウォンとタイ役のフランシス・ン、2人はこの手の作品の必須アイテムであるロングコートとサングラスが物凄く似合います。
さて、最初に幼馴染と書きましたが、実は別に劇中でそれに関する説明はありません。子供のころの5人と思われるモノクロ写真が最初と最後に短く出てくるだけ。しかし、冒頭の銃撃戦の後のシーンを観ればそれは一目瞭然です。5人はウーの奥さんを含めて夕食を食べますが、その食べっぷり、それは腹をすかせて一つ釜の飯を貪る様に食べる野良犬を思わせるものでした。ブレイズが飲んだスープに拳銃の弾が入っていて、それをぷっと吐き出すとその場の全員が吹き出します。その笑顔、それは真の絆で結ばれたもの同士だからこそ出せる表情でした。
当然ながらこの後も物語は続いていきますし、紆余曲折を経てラストシーンを迎えるのですが、敢えて誤解を恐れずに言うのであれば、私は本作の持つ魅力の全てはこの冒頭部分に込められていると言っても良いのではないかと思いました。
個人的オススメ度
3.5(昔は香港映画といえばカンフーだったのに…笑)


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» エグザイル/絆 [今日は映画気分!]
中国返還間近のマカオ。乳飲み子を抱えた妻が夫の帰りを待つとある家。この家の主ウーは、かつて香港マフィアのボス、フェイの命を狙ったため逃亡の身となった男。そんなウーの家に現われた4人の男達。2人はフェイの命令でウーを始末するために、そしてもう2人はウーを守るために。そこへついにウーが姿を現わし、ほどなく銃撃戦が始まる。その時から、かつては仲間だった5人の運命の歯車が、ラストに向かって動き出す・・・。
室内で繰り返される銃撃戦が、薬莢の音にまでこだわりがあって、素晴らしい。男たちの不器用だが熱い「... [続きを読む]
受信: 2009年4月17日 (金) 22時23分
» エグザイル/絆 [だらだら無気力ブログ]
香港映画界を代表するジョニー・トー監督が裏社会に生きる男たちの友情を 描いたノワールアクション。 マフィアのボスから逃げる男とその男を殺す男達と逃げる男を助けようとする 男たちの運命を描く。中国返還間近のマカオにあるとある一軒家。そこには夫の帰りを待つ妻と..... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 01時34分
» エグザイル 絆 [そーれりぽーと]
ジョニー・トー監督作は観たことがないけれど、『インファナル・アフェア』シリーズで馴染みの深い俳優たちが撃ち合う予告編に魅せられて、『エグザイル 絆』を観てきました。
★★★★
人間関係がよく分からないまま始まる銃撃戦に大興奮し、終息後の展開で理由もなくヤツらに惚れてしまっている。
カッコいい映画っつうのはこういうものだろうか。
一切の説明を廃し、意味深な会話の連続から推測させる作りが面白い。
美しすぎる銃撃戦はもちろん必見ですが、どんなに緊張感のある場面でもずっと漂い続ける仲間同士の和んだノスタ... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 02時26分
» 『エグザイル/絆』 (2006)/香港 [NiceOne!!]
原題:EXILED/放・逐監督・製作:ジョニー・トー出演:アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ニック・チョン、ジョシー・ホー、サイモン・ヤム鑑賞劇場 : シアターイメージフォーラム公式サイトはこちら。<Story>中国返還を間近に控えたマカオ。昼下がりの住宅...... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 07時35分
» エグザイル/絆 [シャーロットの涙]
EXILED 放・逐 [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 08時27分
» エグザイル/絆 [ Art- Mill ]
エクザイル/絆 HP
http://www.exile-kizuna.com/
香港ノワールの様式美満載であり、久しぶりに血が騒いだ。こんなハチャメチャな「ピストルごっこ」を観ると、一昔前の日本のヤクザ映画 [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 09時16分
» エグザイル/絆◎アンソニー・ウォン主演◆ジョニー・トー監督作品 [銅版画制作の日々]
実はほとんど鑑賞していない中国・香港映画。今回は非常に気になっていたもので、今週月曜日、「エグザイル・絆」を鑑賞してきました。主演を務めるアンソニー・ウォンも、名前は知っている程度です。だけど、名前と顔が一致しない(汗)どの人??近々、オダギリジョーと共演した「プラステック・シティー」が公開するそうです。
結局パンフレットを購入することにしました。おぉ〜この人が、アンソニー・ウォンか!えぇ〜私より若い?老けて見えるな。そうそうあの「ディパーデッド」の本家である、「インファナル・アフェア」シリー... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 10時36分
» エグザイル/絆 [ダイターンクラッシュ!!]
1月27日(火) 16:30~ シアター・イメージフォーラム2 料金:1000円(会員料金) プログラム:700円(買っていない) 『エグザイル/絆』公式サイト 暗黒街の5人の仲間の再会。かつてのボスとの闘い。銃撃戦。 怪人アンソニー・ウォンが主人公であるが、5人の間で突出して歳を取っているとしか見えないのには失笑。(実際の年齢差はほとんど無い。) ジョニー・トー得意の立ち位置の美学が健在。まさにジョニー・トーなカットが炸裂。ジョニー・トーの暗黒/犯罪映画の集大成な趣がある。つまりスタイリッ... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 11時37分
» エグザイル/絆 /EXILED 放・逐 [我想一個人映画美的女人blog]
40本以上の監督作をもつベテラン、ジョニー・トーの最新作{/atten/}
といっても、2006年の作品。やっと日本で公開。
劇場の予告篇を観て面白そうだな〜と思ってたら、くまんちゅうさんにオススメされたので
週末はまたほかに観たいのあるし、早々に観てきました〜{/light/}
『ザ・ミッション』の続編らしいけど観てなくてもぜんぜんOK☆
いや〜これ、めっちゃカッコイイ映画でした
男たちの友情、美学、絆。
いいね、いいね。 渋すぎです{/ee_2/}
『インファナルアフェア』シリー... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 13時35分
» 「エグザイル/絆」:亀戸駅通りバス停付近の会話 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/kaeru_en4/}知らなかったな、亀戸のアトレにこんな喫茶店が入ってるなんて。
{/hiyo_en2/}留学の情報とかも入手できる喫茶店らしいわよ。
{/kaeru_en4/}へえ。留学するなら俺は何と言ってもマカオだな。
{/hiyo_en2/}どうして?
{/kaeru_en4/}カジノの売上げがラスベガスを抜いて世界一なんだぞ。一攫千金、左団扇の人生が待っている。
{/hiyo_en2/}そんなこと言っても、恐いお兄さんたちがウロウロしてるのよ。「エグザイル/絆」を観たでしょ。
{/... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 18時25分
» エグザイル / 絆 [Diarydiary!]
《エグザイル / 絆》 2006年 香港映画 - 原題 - 放・逐 - 英題 - [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 20時18分
» 滅びの美学〜『エグザイル/絆』 [真紅のthinkingdays]
EXILED
放・逐
中国への返還間近なマカオ。幼い頃から闇社会でともに育ち、今は袂を分かつ
5人が対峙する。追う者、追われる者、... [続きを読む]
受信: 2009年4月18日 (土) 22時47分
» エグザイル/絆 [監督:ジョニー・トウ] [自主映画制作工房Stud!o Yunfat 映評のページ]
バカな男たちは美しい。 [続きを読む]
受信: 2009年4月19日 (日) 00時33分
» ◆『エグザイル/絆』◆ ※ネタバレ少々 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2006年:香港映画、ジョニー・トー監督、アンソニー・ウォン主演。 [続きを読む]
受信: 2009年4月19日 (日) 10時24分
» 「エグザイル/絆」 [てんびんthe LIFE]
「エグザイル/絆」シネマスクエアとうきゅうで鑑賞
渋い香港映画でした。
香港映画とはいえ舞台はマカオ。
マカオと聞けばあの華々しいイメージがあるけど決してそういうのではなく、どこも静かな場所でした。
マカオ…すでにもう懐かしさとか感じる響き。
夏休み、たった5カ月しか経っていないのに。
小さな頃には仲良しだった5人の少年が大人になって、また絆を深めていくお話。
人生長いからその間にはいろいろあって、敵味方になっていたりとか、さらにまた別の相手が痛いとか、命をかけて守るものがあったり... [続きを読む]
受信: 2009年4月19日 (日) 17時27分
» エグザイル/絆 EXILED/放・逐 [まてぃの徒然映画+雑記]
杜[王其]峰監督の下、黄秋生や呉鎮宇、林雪、張家輝、任達華、張耀揚たち香港黒社会映画の主要メンバーが結集してできたハードなガンアクション。始まりは、ドアをノックする男。「ウーはいるか?」の問いに「いない」と答える女。そして二組目の男たちも同じように「ウー...... [続きを読む]
受信: 2009年4月19日 (日) 22時33分
» 『エグザイル/絆』 [めでぃあみっくす]
これぞ漢の香港映画。血、汗、銃、サングラス、湿気を含んだ風、ロングコート、そして金よりも女よりも友情という名の絆。漢の映画を面白くする全ての要素を含んだ、『インファナル・アフェア』シリーズに匹敵する香港ノワールの怪作。やはり香港映画はこれくらい熱くないと....... [続きを読む]
受信: 2009年5月31日 (日) 14時39分
» ミライの絆 [Akira's VOICE]
「エグザイル/絆」
「僕らのミライへ逆回転」 [続きを読む]
受信: 2009年6月19日 (金) 15時50分
» エグザイル/絆 [映画君の毎日]
エグザイル/絆 プレミアム・エディション (初回限定生産)
¥5,386
巨匠、ジョニー・トーが男たちの絆を丹念に描いたハードボイルドアクション。組織のボスを狙撃し追われる身となっていたウーは、寂しさに耐え兼ねて家族の待つ家へと戻る。しかし、そこで待っていたのはかつ... [続きを読む]
受信: 2009年6月28日 (日) 04時48分
» エグザイル/絆/アンソニー・ウォン、フランシス・ン [カノンな日々]
「観に行きたかったのに見逃しちゃった映画シリーズ」です。日本で公開された時は一応鑑賞予定には入れつつも何となくその時の気分がこの映画に向かわなくてそのうちにと後回しにしてたら上映終了しちゃってたのでした(たぶん風邪ひいてスケジュールもきつかったのかな?)。....... [続きを読む]
受信: 2009年7月 9日 (木) 10時36分
» ユーモアとダンディズムのコントラストがすごい。~「エグザイル/絆」~ [ペパーミントの魔術師]
エグザイル/絆 スタンダード・エディション [DVD]アンソニー・ウォン, フランシス・ン, ジョシー・ホー, ラム・シュ, ジョニー・トーおすすめ平均 ただのギャング映画全編ナルシスチックなまでに純化された映像と、男たちの世界。カッコつけんなよ男たちの友情とダンディズム..... [続きを読む]
受信: 2009年7月14日 (火) 17時21分
» エグザイル/絆 [ぷち てんてん]
ふふふ~、やっと見ました^^)☆エグザイル/絆☆(2006)ジョニー・トー監督アンソニー・ウォンフランシス・ンニック・チョンラム・シューロイ・チョンジョシー・ホーリッチー・レ... [続きを読む]
受信: 2010年5月27日 (木) 18時22分
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