BABY BABY BABY! ベイビィ ベイビィ ベイビィ!
「ナースのお仕事」シリーズのスタッフとキャストが再集結した作品。となれば当然主演は観月ありさ。他にも松下由樹、神田うの、伊藤かずえ、藤木直人、吉行和子とお馴染みのメンバーが勢ぞろいです。新メンバーとして加わったのは『ハンサム★スーツ』の谷原章介。監督・脚本もシリーズにずっと携わってきた両沢和幸。「ナースのお仕事」好きには特にたまらない作品です。
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笑ってばかりはいられないデス!
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「日本初!出産エンタテインメント」だそうです。初かどうかは解りませんが、コメディドラマとして素直に面白い作品でした。特に「ナースのお仕事」が好きで観ていた人は、あの笑いのテイストが戻ってきたと感じるでしょう。当時、ベテランナースと新米ナースの関係だった松下由樹と観月ありさのコンビも健在で、今回はベテラン妊婦と新米妊婦という殆ど同じような関係。ただ違うのは2人ともそれ相応に歳をとったということでしょうか。松下由樹は今年40歳、観月ありさは今年32歳になるんですね。時の経つのは早いものです。


観月ありさ演じる佐々木陽子は出版社で働くバリバリのキャリア・ウーマン。周囲はもとより、本人も子供を作る気なんかサラサラありません。新雑誌の編集長も任され、まさにこれからという時に妊娠が発覚します。っとまあ、妙に古くさい設定といえばそうなんですが、ここはあくまでも導入に過ぎません。この後、陽子が訪れた産婦人科で出会った個性的な妊婦さんたちとの交流を通して、出産の大変さ、不妊治療の問題、妊婦だけでなく夫の心情、そして現在の周産期医療の問題点をコメディタッチに描いていきます。観月ありさは以前より全体的にぽちゃっとした感じ。彼女はアップで見るより、引いて見る方が良さが出る女優ですね。ところで、今回の観月ありさを見ていると、何やら芸風が松下由樹に似て来たような気がしました。


本作は、その松下由樹が演じる大野春江の世話焼きおばさんっぷりが素晴らしいです。今回の松下由樹は完全に狂言回し。何しろ4回目の出産という春江はまるで病院が我家のようです。来院する妊婦さんには病院関係者のごとく声をかけ、更には声をかけた仲間で「パワフルママの会」なる組織まで結成してしまいます。その存在感は時として主役の観月ありさ演じる陽子を凌いでいました。こう言っては何ですが、松下由樹は良い意味でおばさんになりましたね。本作のようなコメディ作品もシリアスな作品も上手く演じることが出来る、監督からしたらとてもポリバレントな女優さんです。


さて、実は陽子のお腹の子供は、カメラマン・哲也(谷原章介)と“酒の勢いで1発やっちゃった”ときに出来たのでした。当初は出産に消極的な彼女でしたが、やがて仕事を辞めて産む決心をします。自分が必死で築いてきたものを全て捨ててまで子供を産む、それだけに、陽子を見ているとそれが彼女の今の仕事であると思っているかのようでした。哲也がバイトで得たお金を彼女に渡しても、要らないと断ってしまいます。人に頼らず自分の力でなんとかする、彼女は今までもずっと仕事でもそうしてきたのでしょう。何か少しでも役に立ちたいと願う哲也の気持ちはあっさりと切って捨てられてしまうのでした。ここは同じ男性としては見ていてちょっと切なくなるシーンです。


そして妊娠9ヶ月目…「パワフルママの会」のメンバーもそろそろ出産の時期に入ります。具体的には書きませんが、お産で大混乱の病院で繰り広げられるドタバタ劇はドラマ的にはとても面白いものでしたが、よく考えると笑ってばかりはいられないシーンです。多少の誇張はあるにせよ、産婦人科医の不足という問題は現実的に起こっているのですから。ちょっと残念だったのは実現可能かどうかは別にして、それに対する何かしらの提案や主張がされたのかというとそうではなかった点。それと全体的には、あれもこれもと欲張りすぎたように思います。伊藤かずえが演じる不妊治療の夫婦のエピソードなどは、エピソードとしてはとても面白いのですが、内容的には体外受精という解決法の紹介も含めて、今時珍しいものではありません。
お産の最中、陽子は「女ばっかりがこんな思いするなんて不公平だ!」と怒鳴りますが、本当の意味でその大変さは男には永遠に理解できないでしょう。それでも、母親が必死で、苦しんで、そして子供が産まれた瞬間、それがドラマと解っていてもちょっと感動したのでした。
個人的オススメ度3.5
今日の一言:準レギュラー田中要次が今回も面白い!
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