60歳のラブレター
実際に行われた企画『60歳のラブレター』の映画化。何と8万通を越える応募があったそうです。団塊の世代を中心とした大人のラブストーリーだけに出演者もベテラン揃い。主演の中村雅俊、井上順、イッセー尾形という味のある俳優陣に原田美枝子、戸田恵子、綾戸智恵という妙齢の女優陣。更に『釣りキチ三平』や「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの古沢良太が脚本を手がけています。
>>『60歳のラブレター』公式サイト
素敵な心温まるアラ還の恋
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単にベテラン俳優というだけではなく、メインの3カップル全てが私よりも遥かに年上。それだけに彼らの歩んできた人生経験が滲み出てくるような、実に説得力のある演技が心地良かったです。彼らの存在と物語の構成の良さが上手く噛みあっているため、とても落ち着いた気持ちでラブストーリーを満喫させてもらいました。
登場するのは定年を機に離婚決意した橘孝平(中村雅俊)とちひろ(原田美枝子)、魚屋を営む松山正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸智恵)夫妻、そして翻訳家で独身の長谷部麗子(戸田恵子)と冴えない勤務医の佐伯静夫(井上順)の3組のカップル。この3組が全部バラバラだとオムニバス形式になってしまうのですが、微妙に繋がっています。ただしそれがそれぞれのラブストーリーを邪魔しない程度の関係に留めているのが上手い構成です。
タイトル通り、それぞれのカップルが最終的にはお互いにラブレターを贈ります。それはどれも感動的で素敵なラブレターでした。私が個人的に一番好きだったのは佐伯の英語のラブレター。それに対する麗子の返事はたった一言でした。たった一言ではあるものの、その一言の重みは、そこに行き着くまでの過程を観ていれば、自然と理解できます。親の恋愛とそれに対する一人娘の気持ち、恒久的に存在するであろうこの問題を2人のラブストーリーの中に巧みに織り込んであるからこそ、最後のラブレターでは感動もひとしおでした。
松山夫妻のラブレターもまた素敵です。ある日突如として宣告された妻の脳腫瘍。そんな光江が夫に贈ったのは普通のラブレターではありませんでした。手術後の妻の意識が戻るまで歌い続ける夫。それは妻からのラブレターに対する返事です。魚屋の夫妻という登場人物中一番庶民的で、ざっかけない夫妻のラブレターが一番スマートだったのが印象的です。逆に、橘孝平にちひろから贈られたラブレターは正統派。他と違うのは孝平が返事を返すまでに30年かかったことです。更に手紙に書いてあった内容を実際に実行してみせるのですが、それが不器用な生き方しか出来なかった孝平らしい。
それぞれのラブレターはそのシーンが感動的なのはもちろんなのだけれども、そこに行き着くまでの過程がとても重要。ストーリー展開として、3組の様子をそれぞれ行ったり来たりするのですが、話が混乱したりはしません。観れば解りますが、本当に丁寧に丁寧に書かれた脚本です。もちろんそれ故に奇抜なストーリーではないけれど、逆にだからこそ観ている者の心にすっと馴染んできます。その過程あってこその最後のラブレターなんですね。
最後はハッピーエンドです。それぞれの形でのハッピーエンドですが、ご都合主義的なところはありません。とても心温まるハッピーエンドでした。観ていてつくづく感じました。60歳の時にこのハッピーエンドのような関係を妻と築けていたいなと。そうしたらきっとそこまでの道のりも幸せだったってことなんだろうなと。
個人的オススメ度
4.0
今日の一言:アラサー、アラフォー・・・そしてアラ還!


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» 『60歳のラブレター』(@「シネマのすき間」) [ラムの大通り]
-----ちょっとお知らせ。
来週はゴールデンウイーク中ということで、
いつもお邪魔しているカタログハウス「シネマのすき間」も一回お休み。
ということで、今日はお話にもリキが入っていた様子。
選んだ作品は『60歳のラブレター』。
観る前は、
ちょっと言い方は悪いけど、想像つく映画と思っていたようだけど、
これがなかなか泣かせる映画に仕上がっているのだとか。
実は監督の深川栄洋って、
えいがこっそり応援していた監督。
これまでに作った中では『狼少女』と 『真木栗ノ穴』がおススメ。
まだ、32歳というの... [続きを読む]
受信: 2009年5月17日 (日) 07時21分
» 「60歳のラブレター」題名地味だけど実はいい映画 [ノルウェー暮らし・イン・London]
かなり前に試写会で観た映画。
なかなか公開されないけど、実は結構いい映画なのだ。
それにしても、題名が地味すぎ~
アンケートにそう書いたのに!! [続きを読む]
受信: 2009年5月17日 (日) 09時13分
» 60歳のラブレター/中村雅俊、原田美枝子 [カノンな日々]
長年連れ添った夫婦が互いへの感謝の言葉を1枚のはがきに綴る応募企画「60歳のラブター」。日本中からこれまでに約8万通を超えるはがきが寄せられついには書籍化され、それを原案として異なるタイプの3組の夫婦の物語を描いたのがこの映画なんだそうです。
出演はその他....... [続きを読む]
受信: 2009年5月17日 (日) 09時54分
» 嫁の乳をもんだらテレビ放映された [嫁の乳をもんだらテレビ放映された]
嫁の乳をもんだら、思いっきりテレビに映っちゃいました
[続きを読む]
受信: 2009年5月17日 (日) 11時57分
» 60歳のラブレター(’09) [Something Impressive(KYOKOⅢ)]
昨日、九段会館での「60歳のラブレター」試写会に行ってきました。最近は、仕事や英検の事や、移行後の前ブログリンク修正も途中で、やや気忙しく、新作もご無沙汰でしたが、これは珍しく平日11時~上映という午前からで、都合も合ったので母を連れて見てきました。試写会も、思えば昨年末の同じ九段会館での「ミーアキャット」以来でした。
長年連れ添った伴侶に、感謝の言葉をはがきで贈る、という企画で、8万6千通程の応募があり、その実話ベースの作品、との事で、若手の深川栄作監督作、出演は中村雅俊、原田美枝子、井上順... [続きを読む]
受信: 2009年5月17日 (日) 13時10分
» 映画「60歳のラブレター」@ヤクルトホール [masalaの辛口映画館]
試写会の主権はテレビ東京さん、客入りは7割ほど。 映画の話 仕事一筋の夫・孝平(中村雅俊)と献身的な専業主婦ちひろ(原田美枝子)は、定年退職を機に離婚を決意。時間を持て余すちひろは家政婦の仕事に挑戦し、翻訳家・麗子(戸田恵子)の家で働き始める。一方...... [続きを読む]
受信: 2009年5月17日 (日) 14時39分
» 60歳のラブレター [象のロケット]
定年を機に離婚し、愛人が経営するベンチャー企業へ飛び込んだ夫と、30年間文句ひとつ言えなかった専業主婦の妻。 口喧嘩が絶えない、元ビートルズのコピーバンドのヴォーカルだった男とその追っかけだった女の魚屋夫婦。 愛妻を亡くし、娘と二人暮らしの男性医師と、ずっと独身だった女性翻訳家。 団塊世代の3組の男女のこれからは…。 ヒューマン・ドラマ。... [続きを読む]
受信: 2009年5月18日 (月) 16時34分
» レビュー:60歳のラブレター [シネコンバイトまりっぺの映画レビュー日記]
[人間ドラマ][団塊の世代][熟年の恋愛][想い][夫婦][実写][邦画][ビスタ]
ベテランの演技:★★★★☆
ベタな展開:★★★★☆
中高年向け:★★★★☆
出演:
中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、星野真里、石田卓也、石黒賢
定....... [続きを読む]
受信: 2009年5月20日 (水) 18時31分
» 60歳のラブレター [必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!]
[中村雅俊] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ 評価:7.5/10点満点 2009年49本目(44作品)です。 住友信託銀行が毎年行っている応募企画「60歳のラブレター」の実写版です。 大手建設会社の専務・橘孝平(中村雅俊)は、定年退職を期に離婚。..... [続きを読む]
受信: 2009年5月21日 (木) 15時01分
» 「60歳のラブレター」 [俺の明日はどっちだ]
ちょっとだけ人生の先輩である知り合いの人たちの中で今年でちょうど還暦を迎える人というのが、実は案外多かったりする。
そしてそんな年齢になっても現役でいろんなことを我がもの顔にバリバリやっている姿を見て、「まったく“団塊の世代”ってやつはなぁ…」とつい思ったりもするのだ(苦笑)。
まあそれはともかく、そんな彼ら同様人生のひとつの節目となる60歳という年齢を迎えた3組のカップルを主人公に、人生、そして夫婦愛を改めて考えさせてくれるこの映画、正直言って大きな期待なしに半分恐々と観たのだけれど、素材の良さ... [続きを読む]
受信: 2009年5月21日 (木) 17時48分
» 映画 【60歳のラブレター】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「60歳のラブレター」
住友信託銀行が毎年行っている応募企画「60歳のラブレター」を原案に映画化。脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』の古沢良太。
おはなし: 仕事一筋の夫・孝平(中村雅俊)と献身的な専業主婦ちひろ(原田美枝子)は、定年退職を機に離婚をすることになったが・・・。
人生の節目にあたる60歳前後の三組のカップルのお話です。
中村雅俊と原田美枝子演ずる夫婦は、夫の定年退職を機に離婚を決意。夫は建設会社のやり手でしたが、浮気も絶えなかった。妻はただひたすら家庭を守ってきたよ... [続きを読む]
受信: 2009年5月21日 (木) 20時26分
» 【60歳のラブレター】 [日々のつぶやき]
監督:深川栄洋
出演:中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、石黒賢、石田卓也、原沙知絵
「大手建設会社の専務だった橘孝平は60歳で定年を迎えた。会社には慰留されたが、新しい人生を始めるためにスッパリと退職。そして30年連れ添っ... [続きを読む]
受信: 2009年5月22日 (金) 12時30分
» 「60歳のラブレター」 [お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法]
(2009年・松竹/監督:深川 栄洋) 某銀行が毎年行っている、1枚のはがきに綴る応募企画「60歳のラブレター」に着想を得て、「ALWAYS 三丁目の夕日」、「キサラギ」の古沢良太 [続きを読む]
受信: 2009年5月23日 (土) 01時32分
» 60歳のラブレター [C'est joli〜ここちいい毎日を〜]
60歳のラブレター
09:日本
◆監督:深川栄洋『狼少女』『真木栗之穴』
◆出演:中村雅俊 、 原田美枝子 、 井上順 、 戸田恵... [続きを読む]
受信: 2009年5月25日 (月) 22時28分
» 「60歳のラブレター」 [みんなシネマいいのに!]
定年後は愛人と二人でベンチャー企業を共同経営をしようと考える男とその妻(専業主 [続きを読む]
受信: 2009年5月26日 (火) 07時00分
» 60歳のラブレター [迷宮映画館]
ご夫婦でいっぱい見にいらしてた。いいことだ。 [続きを読む]
受信: 2009年5月26日 (火) 20時20分
» 『60歳のラブレター』 試写会鑑賞 [映画な日々。読書な日々。]
大手建設会社の専務、橘孝平は、定年を機に離婚が決まっていた。会社を出て向かったのは、若い愛人の住むマンション。これまでは家庭と会社のために働いてきたが、定年後は愛人と二人でベンチャー企業を共同経営し、若いスタッフと共に本当にやりたい仕事をやるのだ。しかし... [続きを読む]
受信: 2009年5月31日 (日) 11時55分
» 『60歳のラブレター』 [『映画な日々』 cinema-days]
日本中で交わされた86,441通の
愛の実話を映画化。
【個人評価:★★★】 [続きを読む]
受信: 2009年6月 7日 (日) 01時33分
» 60歳のラブレター [映画君の毎日]
60歳のラブレター [DVD]/中村雅俊,原田美枝子,井上順
¥3,990
Amazon.co.jp
・大手建設会社の定年退職を目前に控え、第二の人生をはじめようとする孝平(中村雅俊)と、専業主婦として家族に尽くしてきたちひろ(原田美枝子)は、離婚を決意。お互いが別々の道を歩み始めたとき... [続きを読む]
受信: 2009年12月14日 (月) 07時34分
» 60歳のラブレター(2009) [佐藤秀の徒然幻視録]
幸福のラベンダーの横断幕!?
深川栄洋監督、中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、星野真里、内田朝陽、金澤美穂、佐藤慶、原沙知絵、石黒賢。還暦を ... [続きを読む]
受信: 2011年1月20日 (木) 23時28分
» 『60歳のラブレター』 [こねたみっくす]
夫から妻へ、妻から夫へ。86,441通の「60歳のラブレター」をヒントに3組の夫婦による群像劇として作られたこの映画。
長年夫婦として生きてきた男女にしか出せない味のあるエピソー ... [続きを読む]
受信: 2011年1月23日 (日) 14時02分
» 60歳のラブレター []
いつも参考にしている映画批評サイトで褒めていたので
観たかった映画です。
テレビでやっていたのを観ました。
観に行きたいと思ったけれど、
熟年夫婦の話なので、
何となく触手が伸びないでいたのでした。
ラッキー♪(*^^*)
仕事一筋の夫・孝平と専業主婦ちひろは... [続きを読む]
受信: 2011年2月 8日 (火) 12時26分
» 60歳のラブレター [のほほん便り]
脚本、古沢良太に惹かれて見てみました。
これまで8万通を超える応募が寄せられたという人気企画を元に、人生の節目を迎えた3組の夫婦の姿を描いた感動ドラマ。団塊の世代な3組のカップルが登場する物語…
最初は、綾戸智恵が出演してるので、「歌い手さんだれど、大丈夫?」と思ってたけれど、なかなか、どうしての味わい。エピソードとしては3組の中で1番。好みだった… かも。イッセー尾形とも、じつに息があった夫婦ぶり、でした。
(むしろ、ラストは森山良子の曲でなく、彼女の歌でしめくくって欲しかった、... [続きを読む]
受信: 2011年11月 7日 (月) 09時30分
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