ゲキ×シネ「五右衛門ロック」
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凄いぞ!まさに新感覚エンタテインメント! |
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これは凄い!凄すぎる!なんて面白いんだろう。演劇×映画(シネマ)=ゲキ×シネということらしいですが、こんなエンタテインメント作品が出てきては、既存の映画は相当頑張らなくては太刀打ちできないです。演劇のライブ感はそのままに映像でなければ出来ない表現を併せた、まさに新しいエンタテインメント。上映時間189分の合間に挟む15分の休憩は演劇の名残かもしれませんが、時間を感じさせない興奮に包まれていました。


15台のカメラで撮影されたデジタル映像は今までのライブの演劇鑑賞では不可能なことを実現しています。例えば、今までは役者の近くの席の人のみが感じられていた、役者の息使い、細かな表情、流している汗、それらを誰もが身近に見ることができるんです。もちろん生の観劇には生ならではの良さ、そこにいることで感じられる生の雰囲気というものはあります。しかし敢えて例えるならば、サッカーの試合がスタジアムでは生の雰囲気を感じ、広い目で選手の動きを観戦することが出来るのに対して、テレビでの観戦が、個々の選手の細かなテクニックやおかれた状況を把握出来るのというコトと似ているかもしれません。


また、舞台の場合はそこに舞台があり、そこで演じている以上当然見る方向は一方から、(多少席が動いても斜めから)しか見ることは出来ませんよね。近くの席、遠くの席では見え方感じ方も違ってきます。それを誰しもが楽しめる形にしたのがゲキ×シネと言えます。役者のアップもあれば、手前の役者から後ろの役者へのナメの映像、激しい殺陣のシーンでは全体も見せつつ個々のアクションも見える。爆発で揺れる様子には画面自体も揺れるというのは生の演劇では出来ない見せ方です。


さて、本作の五右衛門の役は古田新太。ちょっと面白いのが映画『GOEMON』では五右衛門役を演じた江口洋介が五右衛門を追いかける岩倉左門字という侍役を演じていること。本作の最大の特徴はそれこそ『GOEMON』と同じく変に時代考証に沿わないあくまでエンタテインメントを追い求めているところ。元が「劇団☆新感線」の創作劇だけにもはややりたい放題なのですが、これがどれも最高に面白い!途中にでてくる江口洋介のギターライブシーンなどおかしいやら興奮するやら!


古田新太の怪演は今に始まったことではないとはいえ、元々は劇団の人、水を得た魚のように活き活きとした芝居が実にカッコイイ。正直言うと私の中の石川五右衛門のイメージとは違うんですが、見慣れてくると変にハマッてるんですね、これが。失礼ながら殺陣が上手かったのは意外でした。五右衛門を釜茹でから救う松雪泰子がまた実に色っぽい!彼女はおちゃらけるキャラクターではないですが、その分五右衛門からクガイへと愛する人を守るお竜さんは、粋でイナセなお姉さんという感じで松雪泰子のイメージピッタリかも。


他にも超豪華な客演陣を含め、皆大熱演。額の汗の粒までが見えることで熱気はムンムン。もうそれだけでライブ感覚です。中でも森山未来の芝居は素晴らしい!若々しい弾けるような勢いある芝居、カルマ王子役ですが、最近流行の○○王子なんて目じゃない王子っぷりにはファンならずとも見とれること間違いなし。また、芝居のしゃべりと、ふと素に戻ったときの少年のような語り口のギャップが見ていてこれまた面白いのです。彼がと川平慈エ英とのタップダンスの競演は見せ場の一つです。


ああ、書きたいことは沢山ありますが全部書いたらトンでもない量になりそうです。しかしこれだけは忘れちゃいけないのが北大路欣也。さすが大御所です。素晴らしい芝居に魅せられました。ハチャメチャなストーリーで、かつハチャメチャな登場人物の中、彼だけが正統派の芝居を見せてくれるのです。普通に考えれば浮いてしまうのでは?と思うのですが、しかしそのベテランの実力を以ってしてむしろ芝居全体を引き締めていました。彼が登場することで舞台は一種の緊張感に包まれるのですがそれが観ていてまたまた心地良いんです。


とてもではありませんが本作の魅力、それは演劇としての魅力でもあり、映画作品としての魅力でもあるのですが、それらを語りきることは出来ません。料金は2500円と通常の映画料金よりお高めですが、はっきり言ってこの値段であの内容なら安い位です。お時間のある方は是非観て欲しい作品です!
個人的オススメ度5.0
今日の一言:ヤバイ!凄い!面白い!とにかく観て!
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