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2009年5月 6日 (水)

アライブ -生還者-

Photo 1972年に起こった飛行機事故を題材にしたドキュメンタリーフィルム。監督のゴンサロ・アリホンは個人的にこの事故の生還者との親交が深いそうです。当然の事ながらドキュメンタリーフィルムなので俳優は存在しません。この事故に関して私は当然リアルタイムで知る由もないのですが、歴史的事実としては知っていました。今回初めて映画という形で何をどう見せてくれるのでしょうか。
>>『アライブ ‐生還者‐』公式サイト

その時頼れるもの…

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ただひたすら驚きを禁じえませんでした。よくここまでまとめあげたものです。一切の虚飾を省き、ただ証言による事実のみを私たちの目の前に差し出してくれた。そんな作品でした。そもそもこの手のドキュメンタリーフィルムに対して、面白いとかつまらないという判断は出来ません。ただ提示されたものを私たち個人個人がどう受け止めるのかだけの問題で、人に対して勧められはしないです。ということで今回は★による評価はしません。あくまでも私が受けた印象を書きたいと思います。ちなみに事故にまつわるほぼ全てがこの作品を観ることで解るように作られています。

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作品の構成はいたって簡単。事故の生還者が当時の様子を事細かに語り、途中に弱冠の再現映像が挟まれる形で進行していきます。細かいと書きましたが、これがまた実に詳細なんです。飛行機に乗る前の段階から、その時の心情、背景、夫婦であればお互いの話した事など、聞いているだけでその時の情景が目に浮かんできます。ふと思い出したのは、沖縄の「ひめゆりの塔」でお話をされているご老人の話し方でした。時々感極まる方もいましたが、ただ静かに淡々と語る様子に却って現実の重み・生々しさを感じます。

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この事故では10日で捜索が打ち切られてしまうのですが、やりきれないのはそれを彼ら自身はラジオで聞いて知っていたということ。そしてそこから本当の地獄が始まります。食料が無くなった彼らの取った方法は一つ、遺体を食べることでした。この件に関しては過去いくつも似た事例は世に紹介されています。何れも賛否両論ありますが、この事故に関してもそれは同じだったようです。しかし、彼らの詳細な証言を聞いた今私ができるのは、彼らの取った行動を尊重することだけです。

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無事救出され記者会見の席上で彼らはこの件に関しての質問を受けます。その時の答えは、「主は自らの血と肉を与えた給うた、それと同じで自分たちにとっての聖体拝領だったのです。」でした。キリスト教てき倫理観の中で最大限の理論構築なのだとは思います。事実、会場は大きな拍手に包まれました。しかし、証言の中では弱冠ニュアンスの異なることを言っている方もいます。その方は、「あそこは自分たちの世界ではない。価値観の違う世界がそこにはあった。」と言っていました。私はこちらの方が正直な気持ちを語っているのではないかと感じます。

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当時彼らが遺体を食べたという事実は、マスコミの手によって遺族に伝えられることとなりました。理解してもらえなくてもいい、出来れば自分の言葉で遺族に伝えたかったと語っていたのが印象的でした。本作で感動したのは、その遺族と彼ら生還者が共に遭難現場のアンデスを訪れたシーン。遺族の方は「父はあなた方の中で生きている。」と涙ながらに言います。そう「歴史に変わるには30年が必要だった。」と。当時19歳だった生還者たちは、今19歳を迎えるそれぞれの家族を連れて現場を訪れていました。一体個々で何があったのかを、自分たちがどうやって生き抜いたのかを、正確に伝えるために。

今日の一言:欧米の報道資料の多さに脱帽

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» 『アライブ−生還者−』(@「シネマのすき間」) [ラムの大通り]
-----この頃、あれは結局、どうなったの?ということ多くニャい。 たとえば、ほら。 ミャンマーの漁師二人がバスタブほどの大きさのアイスボックスに乗って 25日間もサメの多い海域を漂流していたという話。 あれって、ほんとうのことだったのかニャあ。 あらら。 勘の鋭い人は、もう気づいちゃったかニャ。 今日のカタログハウス「シネマのすき間」での話は、 イーサン・ホーク主演で 『生きてこそ』という映画にもなった実話を ちょっと変わった形でドキュメンタリー化した 『アライブ−生還者−』。 えっ、変わった... [続きを読む]

受信: 2009年5月 5日 (火) 20時59分

» アライブ -生還者- [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
1972年10月、チリでの試合に向かうラグビーチームによりチャーターされたウルグアイ空軍の軍用機が、チームのメンバーや関係者などを乗せ、モンテビデオからチリ、サンチアゴに向けて飛び立ちます。けれど、アンデス山脈付近で乱気流に巻き込まれ、山中に墜落。奇跡的に45人の乗客... [続きを読む]

受信: 2009年5月 5日 (火) 23時33分

» アライブ -生還者- [象のロケット]
1972年、ウルグアイからチリへ向かう旅客機が雪のアンデス山中に不時着した。 奇跡的に助かった32名は救助を信じていたが、ラジオで自分たちの捜索が打ち切られたことを知る。 食料も底を尽き、生き残るためには死んだ仲間たちの人肉を口にすること以外に選択肢はなくなった…。 16人の生還者の証言をもとに、事故からの72日間を再現した実話ドキュメンタリー。... [続きを読む]

受信: 2009年5月 8日 (金) 07時00分

» アライブ -生還者- [とりあえず、コメントです]
1972年にアンデス山脈で起きた飛行機事故の生存者たちにインタビューをすることで 当時の状況を伝えたドキュメンタリーです。 とてもとても考えさせられる作品でした。 36年前の10月。45名を乗せた飛行機が悪天候のために墜落した。 落ちたのは標高4000m以上の高山が連なるアンデスの山中。 しかも、雪が深くとても歩けるような状況ではない。 何とか助かった乗客たちは救助の手を待つことにした。 だが、寒さと食糧不足から絶望だと判断されたことから、救助は10日間で打ち切られてしまう。 ようやく生き残った彼... [続きを読む]

受信: 2009年5月 9日 (土) 10時50分

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