図鑑に載ってない虫
『インザ・プール』、『亀は意外と速く泳ぐ』そして最新作『インスタント沼』がヒット中の三木聡監督作品。主演は『ブラインドネス』でハリウッド進出を果たした伊勢谷友介。共演は『インザ・プール』でその強烈な個性を見せ付けた松尾スズキ、『バベル』の菊池凛子。他にも三木作品の常連・岩松了・ふせえり・松重豊らも出演しています。このメンバーとこの監督で面白くないハズがない!…クセはあるかもですが。(笑)
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アホ過ぎて最高だっ!
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個人的には4作品目となる三木聡監督作品です。なるほど、さすがにちょっと三木ワールドが解って来た気が…しません!しかし相変わらず謎な風味が堪らなく魅力的で完全にクセなってますね。常用しないように気をつけなければいけません。ちなみに、主人公がナレーションをするというのは本作でもそうで、形の上でもある一定のテンプレートがあるのは逆に落ち着きます。ナンセンスかつシュールな小ネタは山ほど出てきます。というかしょっぱなから壁にかかっている看板が「世界人類が平和でありますように。」…じゃなくて「世界人類が大三元でありますように。」って意味不明です。(笑)
主人公がまたしゃれてます。名前はなく“俺”。俺は売れないライターですがその俺が「月刊 黒い本」の編集部を訪れるところから物語りは始まります。いきなり登場する編集長は水野三木、もとい水野美紀。(変換ででたんですって…)名瀬が口の周りに痣を作っての登場です。おならをしたらちょっと実がでたとか、物凄い勢いで彼女の清楚なイメージを破壊してすすむこのプロローグ、これでいきなり引き込まれない訳がありません。ちなみに水野さんの出番は実は冒頭と最後だけなんですが、忘れられないキャラになりました。
さて、その編集長に「死にモドキ」なるものを使って臨死体験のレポを書くように命じられた俺。早速仲間に友人のエンドーを引き込みます。このエンドー役が『イン・ザ・プール』にも出演していた松尾スズキ。もう説明不要なスズキ風味が本作でも全開。もうね、意味不明な行動はアホ以外の何者でもないのに、どうしてこうも魅力的なんだろう…。彼のギャグは文章で表現できないというか、見ないとそのバカバカしい面白さが伝わらないのが歯がゆいところです。『イン・ザ・プール』では「スズキ風味>三木風味」でしたが、本作ではそのブレンド具合が上手く行っています。
それは岩松了、ふせえり、菊池凛子らが演じる他のキャラに負う所も大きいのではないでしょうか。何故か鯉のぼりをシャツにしている“目玉のおっちゃん”(岩松了)、そのカン高い声のキャラ作りは何なんだ“ちょろり”(ふせえり)、わさびおろしが出来るほどのためらい傷を手首に持つ“サヨコ”(菊池凛子)。あー思い出すだけでもうっとーしいっ!でも好きなのだ!(笑)とりあえずこんなメンバーとともに調べを進める俺。どうやら「死にモドキ」とは昆虫らしい…。そこで俺たちは『図鑑に載ってない虫』を探し始めるのだった…。物語の流れとしては、あちこち探し回る彼らの様子が描かれています。
三木作品は妙なキャラクターとその物語に含ませてあるナンセンスな小ネタやガジェットや、それらが登場するときの雰囲気を楽しむものなので、こうして書いていても中々伝わりにくいと思いますが、世の多くの方々が三木ワールドがクセになっていることは観れば解るハズ。好き嫌いは別にしてですけど…。さて、本作のオチは『インスタント沼』ほど飛んではいませんが、あっと言わせるものでした。ただ共通して言えるのは、そこに行き着くまでに無理な話の展開がないということ。まあもともと話し自体に無理があるという噂もありますが。
「死にモドキ」を無事手に入れた俺たちですが、何だか普通の紅茶みたいだったのはちょっと拍子抜けかな。ただ、死んでいるエンドーの顔色がカットが変わるたびに変わっているのには笑わせてもらいました。何でそんなところで遊ぶんでしょうね。(笑)そしてサヨコの持つキーアイテム“猿の手”をあんな形で使ってくるとは想像していなかったんで、オチの瞬間の爽快感ときたら、それはもう霧が一気に晴れていくかのようでした。ただ今「三木監督の映画作品を全部観る企画」を実行中ですので、近い内に『転々』と『ダメジン』の2本も鑑賞予定です。
個人的オススメ度3.5
今日の一言:なんちゃってを強くやり過ぎないように!
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