« 真夏のオリオン | トップページ | ラッシュライフ »

2009年6月16日 (火)

The Harimaya Bridge はりまや橋

Photo 『僕らのミライへ逆回転』や『ブラインドネス』に出演していたダニー・グローヴァーが製作総指揮・出演し、実際に高知県に英語教師として1年間滞在した経験を持つアーロン・ウールフォークが自身で脚本も手がけ監督した作品。主演はベン・ギロリ。共演に高岡早紀、清水美沙。あまり聞かない日米韓の合作映画です。


>>公式サイト

静かな訴えが心に響く

book あらすじへ book

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへクリックお願いしますflair

01

物語は英語をベースに進んでいくものの舞台は日本、そして日本人が日本語で話すとそれに英語の字幕がつくという、あまり見掛けないパターンだなと思ったら、そもそも監督がアメリカ人、そして出演だけじゃなくて製作総指揮がダニー・グローヴァーでした。この人、決して派手なタイプではありませんが、実に味のある演技をする方で、本作も彼の人となりがよく表れているようなじっくりと見せる人間ドラマでした。

02 03

監督自身が1年間高知県で英語の教師をしていたというだけあって、いわゆる観光地としての高知ではなく、地元密着型の映像作りになっています。ちなみにこれは普通のフィルム撮影なんでしょうか?スクリーンに映し出される高知の山々や田園風景、田舎町、そこに暮らす人々、その全てが非常に美しいのです。技術的にいえば解像度が高いとでもいうのかもしれませんけど、それよりもウルフォーク監督と監督がプロフェッサーと敬愛する撮影監督の中堀さんの力で日本らしさを見事に切り取った映像でした。

04 05

そんな美しい高知の山の中の学校で英語の教師をしていたミッキー。彼が事故で亡くなったとの知らせがアメリカに届き、父親で写真家のダニエルがこの地を訪れるところから物語りは始まります。ダニエルは息子が描いた全ての絵を持って帰ると言うのでした。アテンド役・原結子(清水美沙)は英語がしゃべれるということでかいがいしく彼の世話をします。清水美沙は前作『レインフォール/雨の牙』でもゲイリー・オールドマンと英語での掛け合いシーンを見せてくれましたが、最近の彼女はそういう役回りなんでしょうか?

06 07

ミッキーが子供たちのために学校に寄贈した絵までも持ち去るダニエル。実はそれには理由があります。ダニエルの父親は第二次世界大戦で日本兵に殺されたのでした。つまりそもそも日本に対する悪感情があった上に、日本で最愛の息子を失ったことで、ますますその心を閉ざしてしまった訳です。しかし、息子ミッキーの愛する久保紀子がミッキーの子、すなわち自分の孫を生んでいたことを知ったあたりから彼の心は徐々にほぐれて行きました。

08 09

しかし本作はただ単に家族の情愛だけを訴えるだけではありません。戦争で死んだ日本兵の集団墓地にダニエルを連れて行ったり、久保の両親の家を訪れたり、原の過去をカミングアウトさせたりすることで、憎しみや差別からは何も生まれないのだということをも訴えかけています。そしてミッキーの、愛する自分の息子の夢が小さな美術館で実現されていることを知ったダニエルの顔からは、来日当初の険が取れていくのが見て取れました。それまでは玄関で乱暴に靴を脱ぎ散らかしていたのが、きちっと脱いで揃える様になったりと、心情の変化を表す細かい演出が巧みです。

10 11_2

はりまや橋の伝説を紀子がダニエルに話して聞かせるシーンでは、黒人と東洋人、アメリカ人と日本人という垣根を越えた結びつきを感じさせてくれます。きっと監督自身が日本に来て体験したこと、乗り越えてきたこと、そういう諸々の想いを込められたシーンだったのだと思います。ここまで日本を日本人以上に理解して、日本らしく描いてくれた外国人監督は初めてかもしれません。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:今風のよさこい踊りが中々いいです♪

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

|

« 真夏のオリオン | トップページ | ラッシュライフ »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/197507/30125807

この記事へのトラックバック一覧です: The Harimaya Bridge はりまや橋:

» The Harimaya Bridge はりまや橋/ベン・ギロリ [カノンな日々]
監督のアロン・ウルフォークはアフリカ系アメリカ人だそうでですが、何でも高知で英語教師をしていた経験があるんだそうです。物語の舞台にはその高知で日・米・韓の合作映画ですがご当地映画でもあるわけですね。この作品は監督自身が異文化の中で体験してきた出来事や感じ....... [続きを読む]

受信: 2009年6月15日 (月) 23時09分

» 『The Harimaya Bridge はりまや橋』 美しい高知の風景の中で心と心を紡ぐ佳作 [ketchup 36oz. on the table ~新作映画レビュー]
『The Harimaya Bridge はりまや橋』 監督・脚本:アロン・ウルフォーク 出演:ベン・ギロリ 高岡早紀 清水美沙 ダニー・グローヴァー misono 穂のか ヴィクター・グラント アーダ・ウルフォーク 白石美帆 他 (C) Harimaya Bridge, LLP (C) Harimaya Bridge,... [続きを読む]

受信: 2009年6月16日 (火) 20時13分

» はりまや橋 [映画の話でコーヒーブレイク]
6月13日から公開の日米韓合作映画「はりまや橋」を先月試写会で見てきました。 今朝のワイドショーで大物タレントの娘さんが「はりまや橋」でデビュー! と紹介されてました。 それと思しき若い女性って・・・??? とんねるず石橋貴明氏の娘、穂のかさんですって。 えっ、この人出てたっけ? 本作では知的障害のある中学生役で、おそらくすっぴん? 今朝のテレビの映像とはまるで別人のようでした。       左が制服姿の穂のかさん **************************      はりまや... [続きを読む]

受信: 2009年6月16日 (火) 21時11分

» The Harimaya Bridge はりまや橋 [象のロケット]
サンフランシスコの写真家ダニエルの一人息子ミッキーが、英語教師として赴任していた日本で交通事故に遭い死亡した。 ミッキーは同僚の日本女性と結婚していたという。 画家でもあった息子の遺した絵を取り戻すためダニエルは高知県を訪れる。 太平洋戦争で父を失ったダニエルは、自分の肉親を次々と奪う日本への憎しみでいっぱいだったが…。 ヒューマンドラマ。... [続きを読む]

受信: 2009年6月17日 (水) 19時23分

» The Harimaya Bridge はりまや橋 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
米国人監督が描くちょっと変わったご当地映画だ。心が離れたまま死別した息子ミッキーが残した絵を取り戻すため米国から高知に来たダニエルは、日本と日本人への偏見に満ちていた。だが、息子が愛した女性と出会い、新たな事実を知る。監督自身が高知に住んだ経験があり、不....... [続きを読む]

受信: 2009年6月18日 (木) 23時58分

» 「The Harimaya Bridge はりまや橋」 [みんなシネマいいのに!]
 日本の高知県で英語教師として働いていた息子が交通事故で死亡! 画家としても才能 [続きを読む]

受信: 2009年7月 5日 (日) 18時29分

» The Harimaya Bridge はりまや橋 [元レンタルビデオ屋店長の映画感想]
オフィシャルサイト ハリウッド・スター、ダニー・グローヴァーが出演のみならず製作総指揮も務め、日本にやって来た一人のアメリカ人男性が偏見やわだかまりを乗り越え、日本人との交流を通じて少しずつ頑なだった心をときほぐしていく姿を描いた日米韓合作のヒューマン... [続きを読む]

受信: 2010年2月21日 (日) 19時22分

« 真夏のオリオン | トップページ | ラッシュライフ »