真夏の夜の夢
『恋しくて』の中江裕司監督が、シェイクスピアの同名の戯曲をアレンジして描いたファンタジー作品。主演は大河ドラマ「風林火山」の柴本幸、共演が『ホテル・ハイビスカス』の蔵下穂波。沖縄の誇る平良とみ、平良進夫婦も精霊キジムン役で登場する。シェイクスピアと沖縄をどう融合させるのかが見所の作品です。
>>公式サイト
オリジナリティって何ですか?
あらすじへ
←おかげさまで好位置キープです
残念ながら私にはこの作品のどこが面白いのか、何を楽しんだら良いのかがさっぱりでした。とにかく早く終わらないかとか、途中で帰ろうかとかそんなことばかり考えていた105分はかなり精神的にきつかったです。いっそ寝ようかとも思いましたよ。後から気付いたのですが、そもそも“大胆なアレンジ”だとか“オリジナリティ溢れる”とか枕詞がついている場合、大抵ろくなもんじゃないです。と言うわけで今日はかなり辛口です。
シェイクスピアのオリジナルに共通なのは精霊と恋の媚薬といった設定でしょうか。最終的な夢オチは仕方ないとしても、その前の夢の部分が普通につまらない。どこがつまらないというより、これはどこか面白いんでしょうか?退屈で仕方なかったんですが。物語は東京の会社を辞めて生まれ故郷の世嘉冨(ゆがふ)島に帰ってきたゆり子が、幼い頃に出会ったキジムンのマジルーと再会し、色々と降りかかってくる問題を、マジルーの持っている恋の媚薬を利用して解決していく話らしい。
東京からゆり子のことを追いかけてきた不倫相手の敦、そしてその敦を追いかけてきた妻・梨花。梨花に恋の媚薬を使って他の人を好きにさせてしまおうというのはありがちな話。で何故か敦にまでその薬を使ってしまうのは、マジルーが彼とゆり子が一緒になってもゆり子が不幸になるだけだと思ったから。(ふーん。)途中政略結婚だの劇中劇だのがあって、最終的には村人全員に恋の媚薬を放水してぶっかけちゃう。村人全員が仲良くなってめでたしめでたし。(…って“恋”の媚薬なのに何で?)
南の島の美しい風景、沖縄方言、登場する沖縄の方々など映像の端々から監督の沖縄へのこだわり自体は伝わってきました。でもそれだけ。今時沖縄へのこだわりだけを前面に押し出されても、珍しくもなんともないですし。ストーリー的にはファンタジックなコメディらしいですが、全く笑えません。劇中劇も映画の中では大うけしてましたが、こちらからするとそんなもの延々と見せられても退屈なだけです。
更にマジルー役の蔵下穂波の芝居がどうにもこうにもわざとらしい。というか、到底主演クラスを演じるレベルにはありません。とにかくセリフのしゃべり方からしてピーピー煩いとしか聞こえません。唯一本作で素晴らしいと思えたのは、キジムン役を演じた平良ご夫妻の実に味のある沖縄方言の演技。朴訥として、どこかおどけたような語り口は、衣装と相まって「キジムンが見えたとしたらこんな感じかも…。」と思わせるものでした。
最後にはマジルーが登場し、面白くてもつまらないと思ったら一夜の夢と思って欲しい、そんなようなことをこちら側に向かって話していましたが、何だかそれが言い訳に聞こえた作品でした。
個人的おススメ度1.5
今日の一言:平良夫妻に+0.5です。
| 固定リンク
最近のコメント