ダメジン
2006年公開の三木聡監督作品。順番としては『亀は意外と速く泳ぐ』、『イン・ザ・プール』、そして本作という順番での公開ですが、実は2002年に撮影は終了していたものの、諸般の事情で日の目を見なかったという、事実上は三木監督のデビュー作。主演は佐藤隆太、緋田康人、温水洋一。共演に市川実日子、篠井英介、そしてお馴染み岩松了にふせえり。一人三木聡映画祭もコレが最後の一本です~。
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人に歴史あり。三木にも歴史あり。
あらすじへ
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うーん、つまらない。とにかく単調過ぎてDVD鑑賞なのに落ちてしまいました。出演している俳優陣が良いことが救いです。事実上の三木監督デビュー作である本作、後の作品の礎となるテイストが随所に観られました。三木監督の映画作品全てに共通するゆる~い雰囲気は既にこの時にありましたが、雰囲気だけじゃなくて物語の展開までだらけてしまった感じ。後の作品では良く観られる、ゆるいなかにもある毒のようなものがないんで、とにかく単調すぎるのでした。
そもそも大きな間違いは、群像劇風になっていること。この後の三木作品には確たる主人公が存在し、主人公を取り巻く奇妙なキャラクターたちとの係わり合いが面白さの一つでもあります。しかし本作は主演が佐藤隆太、緋田康人、温水洋一の3人。この段階で既に中心軸がぶれ気味なんですね。そこに市川実日子(チエミ)や篠井英介(ササキ)、ふせえり(カズエ)まで係わってくる。結局みんなそろって物語りの本線を進んでいくから、目線の置き所が落ち着かないんです。
脚本もかなりキレていて意味不明なストーリー。リョウスケ・ヒラジ・カホルの3人は無職で楽することばかり考えている“ダメジン”。そんな彼らに近所の猫ジジイはインドに行けば何もしなくても生活していけると言います。更にインドに興味を持った彼らの前に謎の宇宙人が登場しインドにいって人類を救うようにいったからさあ大変。本気でインドに行くことを考える3人なのでした…。奇想天外というには何だかやけにチープでくだらない話です。
さて、最初に書いた通りつまらない本作で、見所は奇妙かつ面白いキャラクターたちを演じる個性派俳優たち。市川実日子は『とらばいゆ』以来好きな女優の一人ですが、個性的な顔立ちでちょっと抜けたキャラクターが愛嬌を感じさせてくれます。笹野高史の猫ジジイの上半身が意外に鍛えられているのに驚き、故・岡田真澄の演技を久しぶりに見てファンファン大佐を思い出し、今や「カッチカチやねん!」でブレイクしたザブングルの加藤が登場するに到っては、三木監督の先見の明に驚かされます。
全体としてはまだまだ未熟な時期の作品だということなんでしょう。何しろTV・映画含めて監督デビュー作ですから。しかしこの3年後には『亀は意外と速く泳ぐ』で本作で失敗した部分をしっかり修正し、人気を確立したのですから流石ですね。さて、本作が一人三木聡映画祭の最後の作品なのですが、『イン・ザ・プール』は私が本ブログ開設前に観た作品でレビューはありません。折角なんで再鑑してみようかなと思います。
個人的オススメ度2.0
今日の一言:この頃松重さんはいなかった…
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