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2009年7月 3日 (金)

転々

Photo_2 2007年に公開された三木聡監督の4作目の映画作品で、藤田宜永の同名小説の映画化。私の一人三木聡映画祭も残すところこれを含めてあと2作となりました。今作の主演はオダギリジョー、共演は三浦友一に小泉今日子。もちろん三木作品の必須メンバー岩松了・ふせえり・松重豊も登場します。相変わらずのゆる~いテイストの中に今回なにを見せてくれるのせしょうか。

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2日目のカレーのような作品

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「あ、何だかこれいいな…。」そんな感じに包まれる作品でした。『イン・ザ・プール』・『インスタント沼』『亀は意外と速く泳ぐ 』『図鑑に載ってない虫』の順で観てきた三木作品ですが、ベースとなるゆる~い雰囲気や、主人公がナレーションをするテンプレートは同じながらも、実に人情味を感じさせる作品です。個人的な感覚から言うと、作品だけ観ればこの作品が今までのところでは一番好きかもしれません。まあ、麻生久美子さんの可愛らしさで『インスタント沼』にちょっとだけ軍配を上げたいところではあるのですが。(笑)

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主人公の文哉を演じるオダギリジョーはこの手の作品にベストマッチします。声のトーンやしゃべり方からしてあんまりガチャガチャしたストーリーには馴染まないと思うんで、このぐらいのゆったりペースが彼の茫洋とした良さが活きていると感じました。相方の福原を演じる三浦友一さんは何も言うことのないベテラン。ただ今回は台詞回しが時々松尾スズキっぽく聞こえたのは私だけでしょうか?もうちょっとガラガラ声だと本人そっくりです。物語はひょんな事から知り合ったこの2人の東京散歩の様子を追ったもの。

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劇中で福原も言っていましたが、東京って実は散歩に向いています。私も大好きで結構散歩はするのですが、ただの住宅一つ見てもそこに住む方々のことを想像したりするのは楽しいものです。ちなみに本作でも私の良く見知った場所がいくつか登場しています。福原が散歩の理由を文哉に話す場所はモロ地元の調布飛行場。『調布空港』という作品でも舞台になりました。井の頭公園の「いせや」の焼き鳥は美味しいんですよ。そして何より母校の日大○○学部正門前!さすがに見た瞬間解りました。おばさんが車に引かれたあの通りは日大通りといって、春には桜のトンネルになるんです。

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2人が散歩しながら向った先は霞ヶ関の警視庁。福原は妻を殺してしまい自首するために歩いて警視庁まで向うのです。借金でクビがまわらない文哉はそれに付き合えば100万円もらえることになっていました。最初は仕方なく付いていく文哉ですが、トコトコ歩く2人には様々なことが起こります。拳法使いの時計屋さん、エレキギターを弾きながら歩き回る人、福原と妻の思い出の愛玉子のお店……奇妙だったり、可笑しかったり、懐かしかったり。自首するのに東京を散歩しながら警視庁に向う、それは暫く味わえない世間をじっくり目に焼き付けておきたかったからではないでしょうか。

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見ている私たちも一緒に散歩している感覚になれますから、特に散歩好きの私としてはとても楽しい気持ちにさせてもらいました。そうしてブラブラ歩きながら2人が最後に行き着いたのは家族の食卓でした。自首する前にはカレーが食べたい。そう言っていた福原、実は本当の家族じゃないけれど、しかし懐かしくて温かい家族の団欒がそこにはありました。クラッシクギターの寂しげな音にのってカレーを食べる家族のシーンを見ていると、何だか『3丁目の夕日』を観ているかのようで、懐かしさで胸が一杯に…。

あ、常連の岩松・ふせえり・松重の3人は、今回は物語本線とは全く関係ないところで笑わせてくれます。あのサイドストーリーはそれはそれで結構面白いです。つむじの臭いが“崖の臭い”って…意味解りません。(笑)

個人的オススメ度3.5
今日の一言:オダジョーの「うえ"ぇぇぇ?」が面白い。(笑)

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