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2009年7月28日 (火)

クララ・シューマン 愛の協奏曲

Photo_2 ドイツを代表する音楽家のロベルト・シューマンの妻であり、自身も著名なピアニストであったクララ・シューマンの人生を描いた作品。主演はアカデミー賞外国語映画賞を『おくりびと』と争った『バーダー・マインホフ 理想の果てに』でも主演を務めるマルティナ・ゲデック。監督はヨハネス・ブラームスの子孫であるヘルマ・サンダース=ブラームス。もはや存在が歴史です…。

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微妙な心理を巧みに演出-

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音楽史という分野は私の一番苦手な分野だったりしますが、この人間ドラマには魅せられました。そもそもクラッシクの音楽家など、小学校の音楽室に張ってある写真程度の知識しかない私にとってはロベルト・シューマンは知っていても、その奥さんであるクララの存在自体初耳です。ましてやそのシューマンとブラームスが親しい間柄であったなどと言うことは、個々に名前だけは知っている歴史上の人物が繋がるという、まさにトリビア的な興味をそそられる作品なのでした。しかも本作の監督、ヘルマ・サンダース=ブラームスはヨハネス・ブラームスの遠縁で、ヨハネスの叔父の子孫なんだとか。

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子孫が自分の先祖に関して何がしかの書物を残すのは、古今東西よくある事柄ですが、映画というメディアは珍しいのではないでしょうか。ということは身内を悪く描かないという歴史書の法則にのっとると、この作品もそのまま100%鵜呑みにはできないのだろう、なんて妙に歴史的な思考も沸きあがってきたりします。さて、一応史実を元に構成されたとはいえ、単に恋愛三角関係のどろどろドラマでは無いところが本作の面白いところ。そのギリギリ微妙なライン上で調和している愛情関係の描き方がとても巧みで興味をそそられるのです。

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クララはロベルトのことをその才能ごと無条件に愛しています。いけないと解っていても彼に懇願されると頭痛止めにアヘンチンキ飲ませてしまったのも、ロベルトがそれで素晴らしい音楽を産み出せるのならという想いからでしょう。方やブラームスに対しては先輩音楽家としての愛情と息子に対するのと同じような愛情を抱いていました。寝間着でピアノの練習をしているところに入ってきて悪戯をするブラームスに対して「礼儀をわすれたの!」と厳しい言葉をかけながらも、顔には笑みが浮かべているシーンが実に印象的。

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ロベルトはロベルトで、自分を支えてくれるクララにゾッコンです。オーケストラの演奏会でクララとともに2人で指揮する様子は、ロベルトが精神を病んでいたがための止むを得ない措置とはいえ、2人のおしどり夫婦ぶりをよく表していました。一方で、若いブラームスの才能を認め、音楽界で彼のことを絶賛し、彼を自分の唯一の理解者だとまで言ったりもします。若い芽に対する嫉妬ではなく、純粋に音楽的に彼を認めるロベルトの姿は清清しくもあり、時にクララとブラームスの間の不倫を疑いながらも、ブラームスではなくクララの方を責め立てることすらありました。

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そしてブラームス。クララに対する愛情は本物でした。しかし同時にそれはクララの持つ音楽性に対する愛情でもあるように見えます。それを良く描き出していたのが、クララがブラームスの曲を弾いたのを受けてロベルトが彼に何か弾いてくれと頼むシーン。彼は「マダムがブラームスなら僕はシューマンを。」とロベルトの曲ではなくクララが昔作曲した曲を弾き始めるのでした。本作で私が一番好きなシーンでもあります。クララへの愛とは別に偉大な音楽家ロベルトへの敬愛の念はあり続け、故に2人の友情にも似た関係はロベルトが亡くなるまで続きます。

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この3人の微妙な愛情関係を描きつつそれ以外にも、デュッセルドルフでのオーケストラの音楽監督就任、交響曲「ライン」の作曲、ロベルトの自殺未遂など、音楽史的なトピックスも描かれており見応えは十分。私のようにクラッシックには全くのド素人でも、あまりにハマリ役なマルティナ・ゲデック、パスカル・グレゴリー、マリック・ジディの3人の演技と劇中に何度も出てくる数々の美しい楽曲に乗せられて夢中になって観入ってしまったのでした。

個人的おススメ度4.0
今日の一言:話が事実ならロベルトは殺されたも同然だ。

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