最高のともだち
『X-ファイル』のデイヴィッド・ドゥカヴニー初監督作品。70年代ニューヨークを舞台にした少年・トムとパパスの友情を描く。主演は『スター・トレック』や『ターミネーター4』と大作に抜擢されたアントン・イェルチン、『今をいきる』のロビン・ウィリアムス、そして監督自らも出演している。残念ながら劇場未公開作品ですがこの豪華な俳優陣、とりわけ今注目のアントンが15歳の頃の作品というところに惹かれ鑑賞です。
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少年は少し大人になっただけなのに…
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←おかげさまで好位置キープです

とてもハートフウォーミングで鑑賞後は自分が少し優しくなれるドラマでした。主演は恐らく役者の格としてロビン・ウィリアムスと言うことになっているのでしょう。しかし実質的にはアントン・イェルチンくんが主役です。『チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室』の主演から『スター・トレック』、『ターミネーター4』とここ最近メキメキと頭角を現しているアントンくんですが、15歳のこの頃から感情表現がとても豊かな演技を見せてくれました。


物語は大人になったトム(デイヴィッド・ドゥカヴニー)がその奥さんに自分の子供の頃の話を告白するという回想パターン。舞台は1970年代のニューヨークでした。夫の死から立ち直れない母・(ティア・レオーニ)と暮らすトム(アントン・イェルチン)は、毎晩母のベッドの下で母の様子を気にしながら寝るような優しい少年。そんなトムには歳の離れた親友がいました。学校の用務員のパパス(ロビン・ウィリアムス)です。心の病気をもつ彼は41歳でありながら心は子供。2人は肉屋の配達のアルバイトでお金をためて緑の自転車をかうのが夢でした。


回想は13歳手前、一人の思春期の少年を中心にした友情と愛情を描いています。パパスとトムは2人で1セット。パパスに父親役を頼んで保護者の必要なホラー映画を観たり、肉屋の配達で各家を回る様子は実に楽しそうで、そんな時のトムの顔はまさに一人の朗らかな少年のものでした。しかし一歩家に帰るとその顔が沈んでしまいます。原因は母親。父親を失ってから、母親の心の支えはおそらくトムだけだったのでしょう。彼女はトムを溺愛し、彼のすることにいちいち口出しをします。少年にとって時折その愛が重く感じていたのでした。


転機は不意に訪れるもの。トムは一人の少女に恋をします。友達を彼女に奪われた気持ちになったパパスは、彼女に心無い言葉をぶつけ、そして2人で買うことを夢見ていた緑の自転車を盗むという行為にでるのでした。まさに自分に注目を集めたい子供の行為、初恋を経験し徐々に大人になっていくトムと、永遠の子供であるパパスの気持ちのズレが良く解り、なんともやりきれないような切ないような気持ちになります。一方で母親も自分に無断で恋人とダンスに行ったトムを非難するのでした。心の病で子離れできなかった母親は自殺を図り植物状態に…。


パパスに自転車盗難を指示したとして学校は退学、恋人とは会えなくなり、パパスも行方不明、そして母は植物状態。彼はただ普通の少年と同じように大人になる過程を歩んでいただけなのに、何故こんなことになってしまったのか…。このあと彼はフランスに渡り、現代のトムに至るのですが、ここまで観てきてハタと気付きます。そもそも何故大人のトムが奥さんにこの話をしたのかが良く解らないのです。ラストの一連のシーンを見る限り、パパスとの友情が今でも続いていることは良く解ります、まさに「最高のともだち」なんですが…。


子供の頃の話を淡々振り返る物語としては、アントンの演技もあってなかなか惹かれるものを感じるのですが、全体として話の整合性にかける部分は否めません。また母の愛情とパパスの友情の双方を描いているため、どちらに重きを置いたら良いのかが解りにくく、結果焦点がボケた展開となってしまっています。俳優が良いだけにちょっともったいない作品でした。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:恋人役の女の子は今どうしてるんだろう?
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