さそり
70年代に人気を賭した、梶芽衣子主演の東映映画『女囚701号 -さそり』の香港リメイク版。主演は『踊る大走査線』以後いまひとつピリッとしない水野美紀。他に日本人の共演として石橋凌、夏目ナナが出演している。監督は『雨音にきみを想う』のジョー・マ。クエンティン・タランティーノ監督が梶芽衣子の大ファンで「キル・ビル」で『怨み節』を使用したほど、今回は中村中が歌う。
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何だか安っぽいVシネみたいだ…
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70年代に梶芽衣子主演でヒットしただけあって、元の設定はしっかりしているし、キャラクターの性格付けも解り易い。ストーリーもそれほど奇抜ではないから昨今の作品のように推測不能なことはない。にも関わらずつまらない。それは本来オリジナル『女囚701号 さそり』が持っていたであろう「さそり」に不可欠な要素の描き方が中途半端であったり、適当であったりするからだと思うのです。言い換えれば綺麗に格好良くしすぎで、もっとドロドロとした人間の情の部分であるとか、グロさであるとか、哀しみが表現出来ていないのだと。


これは、いわゆるギャングモノでもないし、任侠モノでもないこの作品を日本人ではない監督が演出仕切れなかったということかもしれないです。最もそれ以前にストーリーが全くチグハグなんですけど。流れとしては謎の集団に襲われた松島ナミ(水野美紀)が恋人の父と妹を殺し収監され、そこでの熾烈ないじめやリンチを生き抜き、自分を嵌めた奴らに復讐をするというお話。でもそもそも何で襲われたのかが良く解らない…。何だか臓器売買に関連していようなことは言っていたけどもハッキリしません。


最初は苛められるも、刑務所内の見世物の戦いを見ているうちにいつの間にか強い女に変身。 しかしリンチで瀕死の状態になって森に捨てられてしまいます。するといきなり現れる死体収拾人に助けられ、何故か彼から武術を学び始めるのでした。で、どう見てもカンフーを学んでるのに、使う武器は日本刀。(苦笑)そして、それらをあっという間に習得し、ある日突然復讐劇に突入です。しかも復讐する相手の連絡先を知っていて電話で呼び出すという…。なんだかここまで来ると笑うしかないんですが。


本当は水野美紀にはもっと汚れて欲しかったです。独房に入りたいがために監獄所長の言うなりに陵辱されるシーン。『エグザイル 絆』でカッコイイ演技を見せてくれたラム・シューが嫌らしい目つきでナミの体を嘗め回しズボンのベルトを外す、股間に顔を埋める水野美紀は無表情であっても内面からは嫌悪・哀しみ・怒りといった感情が伝わらなければいけないのにそれはありません。そこに見えるのはどこまで行っても清楚でお上品な水野美紀でしかありませんでした。これじゃラム・シューの演技が台無しで彼一人が浮いてしまいます。


リンチシーンでは何故か相手の夏目ナナだけ胸を見せている。元AV女優でお色気担当なのはわかりますが、一人だけそれだと逆に変ですね。それよりなにより、意味不明なワイヤーアクションが全てのアクションシーンを台無しにしています。『ラスト・ブラッド』のワイヤーアクションも酷いものだと思いましたが、こちらはもはや戦隊モノのそれ状態。いきなりその場で体が宙に浮いて回転し始めたら、それはもはやアクションじゃなくて超能力ですよ。ここもドン引きを通り越えて苦笑いするしかありませんでした。
総じて何でこの作品がこんな状態でリメイクされたのかサッパリ理解不能です。水野美紀もこんな三文映画に出てないでもうちょっと仕事は選んだほうが良いかと…。
個人的おススメ度1.5
今日の一言:0.5は水野美紀へのこれからの期待度です
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