９６時間／Taken

『トランスポーター３』とならんで一挙に２本が公開されるリュック・ベッソン作品。といってもこちらは監督を『トランスポーター』等ではベッソンと共に参加したピエール・モレルに譲り、自身はプロデュースと脚本を務めている。主演は『スターウォーズ　エピソード１』ほか数々の名作で知られる名優リーアム・ニーソン。リュック・ベッソンらしいサスペンスアクションに期待大！
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オヤジ、負ける気がしねぇ！

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いやはやリーアム・ニーソン演じるブライアンの強いことといったら！敵を次々倒し殺していく姿は正義のヒーローのようでもあり、はたまた００７のようでもあり。優しそうな顔をしていますが１９０ｃｍを越える長身とがっしりとした体から繰り出されるアクションは、現在公開中のもう１本のリュック・ベッソン作品『トランスポーター３』のジェイソン・ステイサムに勝るとも劣りません。ただ強いだけでなく元ＣＩＡの秘密工作員だけあって、その強さを裏付ける知性を見せ付けてくれるところがまたカッコイイのでした。

しかし…ムカツク奥さんとアホな娘です。典型的な金持ちボケで娘をロックバンドのツアーの追っかけ旅行へと送り出す母親。今時そんな親いるのかとも思いますが、旅行先で人身売買グループにつかまり、それをブライアンが救い出すというお話です。どんなバカ娘でも娘は娘ということなんですね、誕生日に自分が渡したプレゼントをほっぽりだされて義父のプレゼントに飛びつかれても娘を愛し続けるブライアンの親バカぶりには頭が下がります。（笑）

そんな親バカぶりを見せ付けられているだけに、娘が誘拐される時に携帯電話から聞こえてくる娘の悲鳴、そして父の言いつけ通り必死で犯人の特徴を叫ぶ声を聞くと切なくて…。しかし作品としてはここからが本番です。「オレには特殊な能力がある。娘を返さないなら必ず見つけ出してお前を殺す。」言い切るブライアンの声と顔はＣＩＡの一流秘密工作員そのもの。しかも私たちはその言葉を素直に信じてしまう理由があります。

この時点より前、人気歌手のボディーガードを引き受けたブライアンは暗がりから現れた暴漢を一瞬の内に組み伏せて見せるのでした。「ムム、このオヤジただもんじゃねぇ！」という感じです。単に肉体的に強いだけでなく、秘密工作員として培ったスキルを駆使して情報集めをするシーンもかなり見所で、おかげででブライアンと共に次第に事件の全容が解っていく私たち…。全く持って恐ろしいほどにプロフェッショナルのスパイを見せ付けてくれたものです。

例えばブライアンが誘拐されたパリに向う間、彼は犯人が電話に残した声「グッドラック！」を何度も何度も繰り返し聞いていました。最初は娘が誘拐されたショックか、自分に対する悔しさからかと思っていたのですが、実は全くそんな感傷的な理由ではなく、単純に繰り返し聞くことで犯人の声を頭にインプットしていたのです。結局イントネーションや発音まで完璧に叩き込むことで、後に誘拐犯を見つけ出しますが、この時の巧妙な話術も光ります。

最終的に娘を見つけ出すまでに、人を殺しまくり、ピンチらしいピンチは１回だけ。それすらもアッサリクリアしてしまうにいたっては、ＣＴＵのジャック・バウアーより間違いなくブライアンの方が優れた工作員といえるでしょう。（笑）全くの余談ですが義父役のザンダー・バークレイは『２４』でＣＴＵのロス支局長ジョージ・メイソン役を務めており、その意味でも個人的に楽しかったりもします。まあ単なるＦＯＸ繋がりなのでしょうけど。

幾ら娘のためとはいえ人を殺すことに一切の躊躇がなく、機械的にそれを遂行する様は正しくマシーン。彼がマシーンであったからこそ娘が助かった訳ですが、離婚し娘と一緒に暮らせない原因を作ったスキルで娘を救うというのだから皮肉です。スリル・迫力・興奮、アクション映画に必要な要素は全て揃った作品、文句なく面白かった！

個人的オススメ度4.0
今日の一言：キムって名前の娘はイラツクんですよねぇ…。

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