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2009年8月25日 (火)

ノーボーイズ、ノークライ

Photo 『ザ・マジックアワー』『感染列島』の妻夫木聡と『チェイサー』のハ・ジョンウが共演。監督が『ドント・ルック・バック』のキム・ヨンナム、脚本が『ジョゼと虎と魚たち』の渡辺あやという日韓の豪華な俳優とスタッフが終結した合作映画。韓国からの密輸をしているヒョングと、それを受け取る組織の構成員・亨はとある事から同じ運命のレールを辿ることになるのだった…。
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持つ者と持たざる者

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あの衝撃の問題作『チェイサー』で恐ろしいほどの人間の心の闇を見せ付けてくれたハ・ジョンウの最新作です。もう随分前に前売券を購入して心待ちにしていた作品。今回は日本が舞台で、ヒョング(ハ・ジョンウ)は密輸の運び屋ではあるものの、ごく普通の青年。それでもやっぱり好演を見せてくれました。彼の演技を見ていると、飾らない人間臭さや、表には見えない心の内を表現するのが非常に長けていると感じます。一方の妻夫木くん、今回は殆どが韓国語でのセリフでしたが、何でも猛特訓をしたそうで、素人の私からしたらかなり自然な韓国語で演じていました。

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本作に搭乗する2人、享(妻夫木聡)とヒョングは対照的な男として描かれています。享の妹は組織のボス・ボギョンの息子・隆司(柄本佑)の妻。その関係で享は組織の下っ端として働いていました。そして妹・奈美が生んだ3人の子供(内一人は重病)とボケた母親、それに奈美本人の6人で狭い家に住んでいます。一方のヒョングは幼い頃に母親が弟を連れて出て行ってしまい、ボギョンに拾われた身。ボギョンはそんな彼に、実の息子・隆司とヒョングは兄弟だと思っていると言いますが、そもそも本人たちはそう思っていません。つまり享には守るべき家族がいて、ヒョングにはそれがないのです。

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人一倍家族の絆を大切にする韓国人に家族がおらず、家族の形が崩壊しつつある日本人に大家族がいる…。持たざる者はヒョングだけ。これは観ていてかなり皮肉でした。しかし、大家族を養い、病気の子供に治療を受けさせたい亨にはそれはそれで悩みは尽きません。堤防の上でヒョングと話すシーン、「(家族なんか)みんな死んでしまえばいいのに。」という亨の言葉がとても印象的でした…。ある日、亨はヒョングが韓国から荷物として運んできた女性チスを自宅に匿まうことになります。

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金のために組織を裏切りチスの父親を探すことにした亨。ヒョングもある弱みを亨に握られ、渋々ながらそれを手伝うことに。ところが当初は気乗りしないヒョングが、享の家で享の家族と生活するうちに、その温もりに触れ次第に心を開いていきます。赤ん坊を抱っこして浜辺に座るヒョングの表情はとても優しいものでした。最初はちょっとギスギスしていた享とヒョングも次第に兄弟のように仲良くなります。象徴的だったのが町のカラオケ大会のシーン。やることなすこと思うように運ばない苛立ちを歌にぶつける享でしたが、そこにヒョングは飛び入り参加、2人は実に楽しそうにパフィーを熱唱するのでした。

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実はこれには伏線があります。物語の冒頭でカラオケを熱唱するヒョングは、隆司に一緒に歌おうと誘うのですがまるで他人のように無視されます。兄弟のはずの人間とは歌えず、他人のはずの享とはこんなにも楽しく歌える。この時ヒョングは、ボギョンには親に捨てられた自分を拾ってくれた恩はあるけれど、そこにいるのは家族ではなかったとハッキリ気付いたのでしょう。ところで実際に試写会の挨拶で妻夫木くんは、ハ・ジョンウの事を「良いアニキが出来た。」と言ってますし、ジョンウも妻夫木くんのことを「大切な親友が出来た。」と言っています。まさしくこのシーンの2人は心が通じ合っていました。

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全てが上手く回り始めようとした矢先に突然訪れるこのラストには正直驚きます。何も持たざるヒョングが唯一手にした享との絆、しかし享を守るためにそれをも捨てたヒョングに残されたのは自らの生命のみ。あまりにも不条理な現実が切ない…。一方で家族の絆、友情を描きつつ、他方では容赦ない現実を見せるこの描き方は賛否が分かれるのではないかと思います。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:この終わり方は韓流?渡辺流?

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受信: 2009年10月17日 (土) 21時42分

» 「ノーボーイズ、ノークライ」感想 [ポコアポコヤ 映画倉庫]
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受信: 2010年5月 9日 (日) 17時44分

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受信: 2010年8月 1日 (日) 01時55分

» 「ノーボーイズ・ノークライ」不幸な日韓合... [再出発日記]
日本映画専門チャンネルで見た。2009年作品だから去年の作品なのだけど、全然知らなかった。日韓合作映画である。チェイサーのハ・ジョンウが主演。さすがにいい味を出している。し... [続きを読む]

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» 『ノーボーイズ,ノークライ』 [『映画な日々』 cinema-days]
ノーボーイズ、ノークライ 韓国プサン港と日本の山口の間を 夜な夜なボートで密輸し稼いでいる男と 彼を罠にハメ、大金をせしめようとする青年 【個人評価:★★ (2.0P)】 (自宅鑑賞) 原題:The Boat No Boys,No Cry ... [続きを読む]

受信: 2011年2月12日 (土) 18時33分

» 映画評「ノーボーイズ、ノークライ」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆(6点/10点満点中) 2009年韓国=日本映画 監督キム・ヨンナム ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2011年2月13日 (日) 14時12分

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