キャデラック・レコード 〜音楽でアメリカを変えた人々の物語〜
シカゴの伝説的レコードレーベル・「チェス・レコード」の盛衰を描いたドラマ。主演は『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ。共演に『007 慰めの報酬』のジェフリー・ライト、魅惑の歌姫ビヨンセ・ノウルズ、『僕らのミライへ逆回転』のモス・デフ。ビヨンセは自ら製作総指揮も務めている。ちなみに劇中の曲は、実際にキャスト自らの演奏だとのこと。 >>公式サイト |
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何というか、正直にいうと予告編で「脚本のあまりの素晴らしさに絶対出演したいと思いました。」というビヨンセのメッセージを見て鑑賞を決めたのでした。更に私はアメリカンミュージックには全く疎いんで、この物語に登場する歌手は誰一人知らないですし、このレコードレーベルも初耳。故に音楽的な思い入れは全くなく、一つのレーベルに係わる音楽プロデューサーと歌手たちの栄枯盛衰を描いたアメリカ音楽史の作品として楽しませてもらいました。
そうは言いつつも観ている内に、ここに登場するアーティストたちがいかに大物だったのかと言うのはすぐに解ります。何しろ歌っている曲を聴くとそういえば聞いたことがあるものが多い。しかも、若き日のローリング・ストーンズまで登場し、自分たちのバンド名をマディ・ウォーターズの歌詞から取ったという逸話を聞くに到っては素直に感心するしかありません。今ではストーンズ自体がカリスマロックバンドですから、いわばカリスマのカリスマになる訳で。
物語前半はポーランド系移民でユダヤ人のレナード・チェス(エイドリアン・ブロディ)がマディ・ウォーターズ(ジェフリー・ライト)ら黒人アーティストを見出し、独自のレーベル“チェス・レコード”を立ち上げるという流れ。当時のアメリカの黒人差別はまだ激しく、同じ車に黒人と白人が一緒に乗ることすら許されないような時代でした。白人とはいえマイノリティに属するレナードに黒人差別の意識はなく、むしろマディとは家族だと言い切るまでの関係になります。
ここでアメリカらしいのが、レコードが大ヒットして儲かると、レナードはマディにキャデラックをプレゼントするのです。キャデラックがアメリカにおける富・地位・名誉の象徴だったのですね。やがてこれはチェス・レコードのしきたりになり、マディのバンドメンバーのリトル・ウォルター(コロンバス・ショート)やチャック・ベリー(モス・デフ)といったアーティストたちにも同じようにキャデラックがプレゼントされるのでした。大ヒットを飛ばすたびに新車のキャデラックでスタジオに乗り付ける連続カットは彼らの成功を物質的に表現する上手い手法です。
しかし成功すると必ず出て来るのが酒・女・クスリの三種の神器。『エル・カンタンテ』でもそうでしたが、元々マイノリティで貧困にあえいでいればいるほど、自分が手にしたものを手放したくないという精神的重圧から逃れるためか、この3つにのめり込む傾向が激しいように思います。思いますが、この手の話しはいくら実話ベースでもちょっと食傷気味なのも事実…。そしてそれは中盤から登場するビヨンセ扮するエタ・ジェイムスにも言えるのでした。
ビヨンセ自身は、俳優が本業ではないものの、まとっているオーラはさすがに一流。しかも当然ながら歌うシーンは最高です。物語終盤は、レナードとアーティストたちの仲違い、そしてエタとレナードの関係が描かれますが、ちょっと描写不足のせいか何故そんな状態になってしまったのかがいま一つ理解しきれなかったのが残念でした。また、タイトルは音楽で黒人差別を打ち破ったという意味らしいのですが、必ずしもそうとも思えない部分もあります。原題通り「キャデラック・レコード」だけで良かったように感じました。
個人的オススメ度3.0
今日の一言:知らない人には余りすすめられません。
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1950年代の伝説的なレコード・レーベルであるチェス・レコードと所属アーティストたちの盛衰を実話に基づいて描いた作品だそうです。私は音楽的にはチャック・ベリーくらいしか親しみがなく詳しくないのですが、予告編での音楽や映像がとてもいい感じだったの観に行こうと決....... [続きを読む]
受信: 2009年8月18日 (火) 07時40分
» キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語 [象のロケット]
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受信: 2009年8月19日 (水) 01時53分
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受信: 2009年8月19日 (水) 06時38分
» 『キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~』 [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY]
レコードが回り、音楽と人々の魂をのせて地球は回る。
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受信: 2009年8月26日 (水) 12時59分
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2009年8月29日(土) 20:50~ チネグランデ 料金:1200円(レイトショー料金) パンフレット:700円(買っていない) 『キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語』公式サイト キャデラック・レコードという会社ではない。チェス・レコードという会社。 レコードが売れると社長がキャデラックをプレゼントしていた。成功の象徴なんだろう。 サクセス・ストーリーのようであるが、「ドリーム・ガールズ」のような派手なドラマはない。 実在のミュージシャンが複数、時系列に出てくるので、... [続きを読む]
受信: 2009年9月 2日 (水) 04時06分
» キャデラック・レコード [Art- Mill]
http://www.sonypictures.jp/movies/cadillacrecords/
「キャデラック・レコード」
アメリカ、シカゴのチェス・レコードの誕生から幕を閉じるまでの「ブルースと生きた人間たち」ドキュメントで [続きを読む]
受信: 2009年9月20日 (日) 08時40分
» ★キャデラック・レコード〜音楽でアメリカを変えた人々の物語〜(... [CinemaCollection]
CADILLACRECORDS時代は変わっても、僕らの愛と友情はブルースに生き続ける上映時間108分製作国アメリカ公開情報劇場公開(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)初公開年月2009/08/15ジャンルドラマ/音楽/伝記映倫PG-12【解説】50年代から60年代に活動し、のちの音楽...... [続きを読む]
受信: 2009年9月24日 (木) 00時41分
» キャデラック・レコード♪〜音楽でアメリカを変えた人々の物語〜 [銅版画制作の日々]
CADILLAC RECORDS
時代は変わっても、僕らの愛と友情はブルースに生き続ける
歌姫エタを演じるビヨンセ、何でもこの作品の製作総指揮も自らやっているという。かなり入れ込んでいるのかな?あのオバマ大統領の就任祝賀パーティでは本作の中で歌ったエタ・ジェイムズの名曲「At Last 」を披露、そしてこの歴史的な幕開けのオープニングとなったわけである。またオバマ氏が政治家としてのキャリアをスタートさせたシカゴのサウスサウンドを代表する文化がこの映画で登場するシカゴ・ブルースで、そのム―ブメ... [続きを読む]
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エタ・ジェイムズ(ビヨンセ)の唄う「アットラスト」が好きで・・ [続きを読む]
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1950~1960年代、マディ・ウォーターズやチャック・ベリーが所属していたチ [続きを読む]
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» キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語 [★試写会中毒★]
満 足 度:★★★★★★★☆☆☆
(★×10=満点)
恵比寿ガーデンシネマ にて鑑賞
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受信: 2009年10月12日 (月) 09時41分
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50年〜60年代にかけて多くのブルースの名盤を生み出し、また「ジョニー・B・グッド」で有名なチャック・ベリーを輩出したチェス・レコードは、... [続きを読む]
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《キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~》 2008年 ア [続きを読む]
受信: 2009年10月26日 (月) 19時11分
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これはお見事。さすがエンターティナー!! [続きを読む]
受信: 2009年11月 9日 (月) 08時08分
» DVD:キャデラック・レコード これは音楽ファンには堪らない内容。 [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
実話に基づいた、チェス・レコードの歴史。
マディー・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、チャック・ベリー、エタ・ジェイムズなどの大御所が次々と登場。
なので、全く飽きさせない。
彼らを演じる役者陣は皆よいが、意外にも!チェス役、 エイドリアン・ブロディ(写真 左)の演技が光る。
庶民的な雰囲気と丁寧な言葉づかいが、レーベルの原動力となっていたことをよく理解させる。
と言いつつ、期待のスター「ビヨンセ」(写真 右)がいつ登場するか、ハラハラして待っているうちに物語が進行。
ただ彼女は今回、製作総指... [続きを読む]
受信: 2010年2月 3日 (水) 21時33分
» mini review 10449「キャデラック・レコード」★★★★★★☆☆☆☆ [サーカスな日々]
1950年代のシカゴを中心に、伝説的なレコード・レーベル、チェス・レコードと所属アーティストたちの盛衰を描く実話ドラマ。監督は『彼らの目は神を見ていた』のダーネル・マーティン。チェス・レコードを立ち上げたレナード・チェスをエイドリアン・ブロディ、グラミー賞受賞シンガー、エタ・ジェイムズをビヨンセが演じている。偉大なミュージシャンたちの波乱に満ちた半生と、彼らを熱演した出演陣から目が離せない。[もっと詳しく]
シカゴ・ブルースから発せられる音楽樹の系統を思う。
シカゴ・ブルースに関しては、僕の場... [続きを読む]
受信: 2010年4月 5日 (月) 03時24分
» ≪キャデラック・レコード≫ [日々のつぶやき]
監督:ダーネル・マーティン
出演:エイドリアン・ブロディ、ジェフリー・ライト、モス・デフ、ビヨンセ・ノウルズ
時代は変わっても、僕らの愛と友情はブルースに生き続ける
「1941年、黒人専門のクラブを経営するレナード・チェスは、田舎から出てきた天才的... [続きを読む]
受信: 2010年4月30日 (金) 17時54分
» 映画評「キャデラック・レコード~音楽でアメリカを変えた人々の物語~」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年アメリカ映画 監督ダーネル・マーティン
ネタバレあり [続きを読む]
受信: 2010年9月21日 (火) 16時50分
» 『キャデラック・レコード 音楽でアメリカ... [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじ野心家のレナードは、天才ギタリストのマディ・ウォーターズと出会い、彼のレコードで一儲けしようとする・・・。感想ゴールデングローブ賞歌曲賞ノミネート『ドリームガー... [続きを読む]
受信: 2010年10月20日 (水) 22時51分
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