ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式
残された家族にも色々あるんです… |
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←おかげさまで好位置キープです

素晴らしいことに、先着1000名まで500円で鑑賞できる券が、駅で“ご自由にお持ち下さい”になっていたんで早速ゲットし鑑賞です。それでなくてもお得感たっぷりなのに、これまた映画の出来がすこぶる良い!「お葬式」と付くと故・伊丹十三監督の名作『お葬式』を思い出さずにはいられないのですが、本作も似たようなテイストを持つブラックコメディです。本来厳粛であるべき葬儀の席で起こる数々の“ありえない”事件と、残された家族のそれぞれの事情が上手く絡まって、久々に終始声に出して笑えるほどの作品でした。


運び込まれた棺の前。葬儀屋の「お顔をご覧になりますか。」の言葉に従って棺を開けると…「この人誰?」「?…間違えた。」何とそこに居たのは父ではない別人!こんな笑えるシーンから始まるこの作品、しかしこの取り違えはこれから起こるドタバタ劇の序章でしかありませんでした。長男のダニエル(マシュー・マクファディン)は弟に対するコンプレックスの塊、その妻のジェーン(キーリー・ホーズ)は葬儀後の引越しの事ばかり考えています。ダニエルのいとこのマーサ(デイジー・ドノヴァン)は頭の固い父親にフィアンセを紹介しようと目論見、そのマーサに横恋慕するジャスティン(ユエン・ブレムナー)は葬儀じゃなくマーサに会いにきた…。


全くお葬式だというのにみんな何を考えているのやら!故人のことより自分のことしか考えていない様子は面白いけども結構生々しいかも。さて、悩めるダニエルには弔辞を読むという重大な役目がありました。ところが周囲は小説家の弟・ロバート(ルパート・グレイヴス)が読むと思っており、彼がその役目をすると知ると驚きます。それが一人や二人ならともかく、会う人会う人みんなにそんなこと言われたらそりゃ卑屈にもなるってもの。そのストレスの矛先は当然弟に向かうのですが、まさか悔しいからお前にむかつくなんていえるはずも無く…。この辺り、マシューのどことなくひ弱で不安げな長男っぷりの表情や振る舞いが見事です。


更にとんでもない事件がダニエルに降りかかります。それは葬儀に来ていた小さな男性・ピーター(ピーター・ディンクレイジ)が発端でした。彼はダニエルの父の重大な秘密を握っていたのです。秘密については書きませんが、その秘密をピーターが暴露するシーンが秀逸にして最高に面白い!言葉ではなくピーターの表情や部屋の調度品といった象徴的なイメージを素早い展開で、それもダニエル目線の映像で表現しています。秘密を理解したとき、我々もダニエルと同じ気持ちで心の中は「オーマイガッ!」。ここから先はその秘密を隠すためのドタバタ劇が始まるのでした。


このドタバタ劇とは別にサイドストーリーとして描かれているのが、いとこのマーサとそのフィアンセ・サイモン(アラン・テュディック)のお話。とある事情から幻覚剤を飲んでしまったサイモンのハチャメチャな行動は葬儀をますます混乱に陥れるのでした。ある意味恐ろしく難しい役を素敵にこなすアラン・テュディックは90分の上映時間のうち80分はラリってます。実際本当に目がイッちゃってます。怖いです。(笑)ちなみにサイモンの飲んだ幻覚剤は本作で重要なキーアイテム。これがまた様々な事件を引き起こす元となっているんですね。


散々ドタバタしながらも、最終的には中断していた葬儀を再開することで一気に収束し、しかもクライマックスのダニエルの弔辞シーンは心に響きます。それぞれ自分勝手な方向を向いていた家族や親戚も、彼の心からの言葉にはたと気付いて我に返るのでした。個性的な登場人物たちの振る舞いがいちいち楽しく、なおかつ鑑賞後が気持ちよい。意外といっては失礼ですが、掘り出し物の作品に出会えたと思います。
個人的おススメ度4.0
今日の一言:思い出し笑いしちゃうぐらい面白い♪
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