陽気なギャングが地球を回す
伊坂幸太郎の同名小説の映画化作品で2006年公開。伊坂原作作品でミステリーではなくクライムコメディと言うのは初。主演は最近では『GOEMON』が記憶に新しい大沢たかお。共演に『重力ピエロ』の鈴木京香、『花より男子ファイナル』の松田翔太、『アマルフィ 女神の報酬』の佐藤浩市。監督は『ブタがいた教室』の前田哲。
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実力ある俳優も活かし方次第か-
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←おかげさまで好位置キープです

実は今この作品の原作を読んでいたりします。まだ途中なのですが、これをどう映画化したのか気になり、1人伊坂映画祭のラス前作品はコイツに決定したのでした。最後まで観終えるとそのトリックの巧みさに「な~るほど~~。」と感心出来るのですが、大沢たかおが主演ということがいま一つイメージが違うように感じたことと、伊坂作品らしいセリフ回しが少ない…というか、伊坂作品的イメージのセリフのしゃべり方ではなかったように思いました。


もっとも出演しているのは主演の大沢たかお含め、鈴木京香や松田翔太、そして佐藤浩市といった生粋の俳優さんたちですから実力不足であるはずもなく、伊坂原作だというイメージを切り離せば、クライムコメディとして普通に面白い作品であったとは思います。物語はちょっと人と変わった能力をもつ4人が4人で組んで銀行強盗をするというもの。そしてそこに、4人以外の謎の人物が係わってくるのですが、それが本作の最大の秘密だったりします。


さて、肝心の4人の能力ですが、成瀬(大沢たかお)は“人の嘘が確実に見破れる。”、雪子(鈴木京香)は“正確な体内時計を持っている。”、久遠(松田翔太)は“天才的スリ師”、そして響野(佐藤浩市)は“演説の達人”というものでした。それぞれの能力を活かして強盗をすることになるのですが、本で読む文には全て想像だから良いものの、実際に映像でみてしまうとちょっと期待ハズレな感が否めません。

これはひとえに演出不足によるものだと思われます。スっているところは映らない、体内時計の正確さを見せるエピソードがない、嘘を見破っているかどうかにいたっては、単なる口先だけなのか区別がつかない…。必然的に響野の演説上手だけが耳目を集めることになるため、彼の存在感だけが大きく見えてしまいます。その響野の佐藤さん、もちろん上手いんですけど何かイメージが違うんですよね。妙にテンションの高い若作りのおっさんというその設定が上滑りしているというか…。


彼らが最初に犯した銀行強盗は成功しますが、逃走の最中に謎の人物たちに金を奪われます。その謎の人物との係わり合いの中で2度目の銀行強盗をすることになるのですが、残念ながら手法自体は先にもう観てしまっているためにインパクトはいま一つ。しかしその謎の人物に警察まで交えた中で仕込まれたトリックは最初に書いた通り実に巧みで面白いのでした。伊坂原作の初期の映画だけに、作り手側も伊坂作品のテイストを捕らえ切っていなかったのかもしれません。
個人的オススメ度3.0
今日の一言:車のCGはもうちょっと作り込んで欲しい。
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