白夜
艶めかしいキスシーンの臨場感
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どこかで見たような文学作品的ラブロマンス。それ自体は若干臭さを感じさせるもののセンス的には嫌いではない作品です。観ていて感じたのは木島立夫(眞木大輔)が監督本人をイメージしているのではないのかということ。もっと言ってしまうと監督の妄想の世界を実写化したといったら言い過ぎでしょうか…。もちろん原作・脚本が小林監督の手によるものですから、監督の頭の中にあるものの実写化であるのは間違いないのですが、そういう話ではなく、もっと生身な人間というか、男と女の本能的な関係というか…そんな印象を受けました。


さて、物語は到ってシンプル。その日リヨンを去る予定の男・木島立夫とその日リヨンを訪れた相沢朋子(吉瀬美智子)がとある橋の上で出会います。女は不倫相手の商社マンを追って、全てを捨ててこの地にきたのでした。最初は険悪な空気だったものの、何とはなしに打ち解けていく2人。いつしか2人はお互いに惹かれ合っていたのです。物語の殆どは橋の上のシーン、全くといって良いほど絵変わりはしません。登場人物もたったの2人。しかもほぼ完全なセリフ劇だけに役者の力が非常に要求されます。


残念ながら眞木大輔はもちろん、吉瀬美智子も力不足の感は否めませんでした。特に眞木大輔の演技は…。両者ともにセリフ棒読みにしか聞こえません。これは監督の狙い?いずれにしてもそのセリフの奥にある心の動きが感じられないのです。今をときめくEXILEの一員を主演に据えればある程度の集客は見込めるでしょうが、それはEXILEのMAKIDAIのファンであって、彼を見せるために作品を作った訳ではないでしょうに。こういった芝居を要求するならばキャスティングのミスとしかいいようがありません。


もっとも、さすがに美男美女、しゃべらないで立っている分には雰囲気がありとても絵になります。これは個人的に吉瀬美智子ファンとしては嬉しいところ。さて、絵変わりがしないと書きましたが、少しでも絵に変化をつけたいからなのか、この作品、2ショットはほぼハンディで撮られています。これが画面が揺れる揺れる!確かにハンディにすればリアルな目線になりますが、これはいくらなんでもやり過ぎ。演出だといって逃げるにしても限度があります。人によっては酔うでしょう。そもそも食事のシーンをハンディで撮る意味がわかりません。


似たようなカットで超ロングショットが何回か出てきますが、こちらが揺れるのは仕方ありません。ただ、何のための超ロングショットなのかが解らないのです。周りにスタッフを置かず、本当の恋人同士のように演じて欲しいということなのでしょうか?唯一ハマッたかなと感じたのは見せ場の濃厚なキスシーン。映像的には遠いのに、聞こえてくる唇を吸い合う艶めかしい音だけははっきり聞こえます。日本人同士のキスシーンとしては、こんなにリアルな感覚が伝わってくるものも珍しいでしょう。このあたりはピンク映画を多く撮っている監督だけにお手の物なのかもしれませんね。


(ここからネタバレ含む。)
ラストシーン、結局2人は上手く行かないのですが、確かに男が女の部屋を見上げ、彼女が直ぐに顔を出さない時点で結局この恋は上手く行かない考えることもありえるかもしれません。がしかし、流れとしてはあまりに唐突過ぎます。また2度男に裏切られることになった女の哀しみは解らなくもないですが、こちらもまたあまりに短絡的なラスト。何かもう時間が無いから急いで終わりにしたような感じさえします。橋の上のシーンで全体の80%近くを占める位なら、ラストの描写をもっと丁寧にする方に時間を割いて欲しかったと思います。
個人的おススメ度2.0
今日の一言:同じタイトルの写真集にするならいいかも。
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