« 南の島のフリムン | トップページ | ゴー・ファースト 潜入捜査官/Go Fast »

2009年9月 3日 (木)

クリーン

Photo 『HERO』、『2046』のマギー・チャンが第57回カンヌ国際映画祭で女優賞を獲得した作品。薬物中毒で夫を失い息子とも疎遠になってしまった母親が、生まれ変わろうと賢明にもがく様を描いたヒューマンドラマ。共演に『ホテル・ルワンダ』のニック・ノルティが出演する。監督はマギー・チャンの元夫で『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤス。プロデューサーに『ブラインドネス』のニヴ・フィッチマン。
>>公式サイト

名優ニック・ノルティにも注目!

book あらすじへ book

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへみなさんの応援クリックに感謝デスsunshine

01

この手のヨーロッパ映画としては珍しく未来に希望を持たせる方向でのストーリーだったと感じました。ただ、そのためかリアルで厳しい現実を突きつけられ、主人公がかなり葛藤する割には最終的に世の中そんなに上手く行ったらみんなハッピーだろうにと思ってしまったり。ストーリー的にはそれほど複雑ではありません。夫をクスリの過剰摂取で亡くしたエミリー(マギー・チャン)は自身もクスリで収監されます。出所後、息子のジェイを預けてある夫の両親からは、ジェイとは会わせないと言われ、息子に会うために更正しようと努力する、そんなエミリーの様子を描いています。

02 03

しかし香港出身のマギー・チャンが広東語と英語がペラペラなのは解りますが、フランス語まで自在に操る様子はさすが国際派女優としかいいようがありませんね。本作も最初こそアメリカにいますが、夫を亡くしてからは以前住んでいたという設定のパリに移り住み、基本的にフランス語でのセリフになります。何とか仕事を見つけよう親戚を頼って中華料理店で働くエミリーでしたが、どうしてもクスリが辞められません。結局勤務態度の悪さも手伝ってクビになってしまいます。エミリーの言葉の端々から、まだ派手な芸能界への未練が断ち切れない様子がアリアリ。昔の伝を頼むものの、紹介してもらえた仕事はアパレル店での服の売り子、日本風に言うならばショップの店員?でした。

04 05

それでも友人の家に居候をしながら、今度こそとクスリも捨ててやり直しを誓うエミリー。ちょっと解りにくかったのがコカインと鎮痛剤が両方ともいわゆるクスリとして扱われている点。成分が似通っているのでしょうか?それはさて置き、エミリーの覚悟が神に通じたのか、この辺りから風向きが変わり始めます。なんと義理の父アルブレヒト(ニック・ノルティ)の妻が病気で何故かロンドンの病院に入院し、それに伴ってアルブレヒトと息子ジェイもロンドンに滞在することになったのでした。しかし何でバンクーバーに住んでいて、ロンドンの病院にわざわざ入院するのでしょう?

06 07

ともあれ、エミリーにとってラッキーだったのは、エミリーのことを嫌っていた義母と違い、義父のアルブレヒトは“人は変われると信じている。”という信念を持つ人だったこと。彼は彼女の出した手紙に感動し、ジェイを彼女に合わせることにします。アルブレヒト役のニック・ノルティの演技は重厚かつ人間味溢れるもので、病の妻を労わりつつ、孫のジェイの将来を案じる義父というのはぴったりの役に思えます。週末をジェイと過ごすことが出来ると張り切って準備するエミリーでしたが、実はその頃ジェイの方は母親と会うことを拒んでいたのでした。ジェイは父を殺したのは母だと祖母に聞かされていたのです。アルブレヒトの説得でなんとかエミリーとジェイは出会うことになります。

006 08_3

動物園での1シーン、「どうしてクスリなんてやるの?」「元気が出るから、でも後で必ず罰せられるわ。」。何だか、最近の某タレントを思い出してしまうセリフです。ところでこれより少し前、実はエミリーに歌手デビューのチャンスが訪れていました。しかしそれには、息子と会う予定の週末にサンフランシスコにレコーディングに行かなくてはなりません。エミリーは息子と会うために夢を諦めるという決断をしたのです。マギー・チャンは、エミリーが息子のために立ち直ろうと懸命に努力する様子、即ち、中々断ち切れないクスリへの誘惑やちゃんと更正できるのかという不安、更には夫を失い息子まで失いかねない孤独を見事に表現していました。

007 09_2

(ここからネタバレ含む)
さて、一旦は諦めた歌手デビューの夢、ところがここで話は好転します。プロデューサーがレコーディングを2日待ってくれることになったのでした。ジェイを連れてサンフランシスコに飛ぼうとするエミリーでしたが、敢え無くアルブレヒトにばれます。せっかくジェイのために堅実に生きていこうと決心したはずなのにまだそんな夢を追いかけているのか…、そう言われるかと思いきやアルブレヒトが掛けた言葉は…「それでこそ、君だ。生活が順調な時は何でもできる。しかし生活が苦しい時の決断こそ難しいんだ。」というものでした。そして病気の妻が亡くなるまではジェイを手元に置くことを条件に、後々ジェイを返すことを約束するのです。なんという懐の広さ、人間の大きさでしょうか。

ストーリー的にはちょっと「え?そんなんでいいのか?」というご都合主義的な展開になってしまった部分があるのは否めないかと思いますが、私は好きですし、マギーとニックの演技力に惹かれて見入ってしまった作品でした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:さすがはカンヌ女優賞です。圧巻。

にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ
↑いつも応援して頂き感謝です!
今後ともポチッとご協力頂けると嬉しいです♪

|

« 南の島のフリムン | トップページ | ゴー・ファースト 潜入捜査官/Go Fast »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/197507/31219182

この記事へのトラックバック一覧です: クリーン:

» クリーン [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
無国籍なムードを漂わせる国際派女優マギー・チャン主演の人間ドラマだ。ロックスターだった夫をドラッグの過剰摂取で亡くしたエミリーは、自らも麻薬所持で逮捕され、幼い息子ジェイの養育権を奪われる。、出所後パリへと向かい、息子のために人生をやり直そうと決意する。....... [続きを読む]

受信: 2009年9月 4日 (金) 23時52分

» 「クリーン」:池袋駅東口バス停付近の会話 [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/kaeru_en4/}ここって、何だったんだっけ? {/hiyo_en2/}池袋の三越。 {/kaeru_en4/}ずいぶんさっぱりしちゃったねえ。 {/hiyo_en2/}クリーンになって、一から出直しね。 {/kaeru_en4/}オリヴィエ・アサイヤス監督の映画「クリーン」の主人公みたいにか? {/hiyo_en2/}「クリーン」は、ドラッグの過剰摂取で夫を失った女性シンガーが息子とともにもういちど再生を果たす物語。 {/kaeru_en4/}主演は、マギー司郎。 {/hiyo_en2/... [続きを読む]

受信: 2009年9月12日 (土) 18時05分

» クリーン Clean [まてぃの徒然映画+雑記]
張曼玉(マギー・チャン)の映画。と言ったら身も蓋もないけれど、カンヌの主演女優賞だし、監督は元旦那さんのオリヴィエ・アサイヤスだし、英語とフランス語と広東語を流暢にあやつる役なんて彼女そのものだし、他に言いようがありません。2004年のカンヌ受賞作なんだけ...... [続きを読む]

受信: 2009年9月16日 (水) 23時01分

» 『クリーン』(2004)/フランス・イギリス・カナダ [NiceOne!!]
原題:CLEAN監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス出演:マギー・チャン、ニック・ノルティ、ベアトリス・ダル、ジャンヌ・バリバール、ジェームズ・デニス鑑賞劇場 : シアターイメージフォーラム公式サイトはこちら。<Story>かつてのロックスター、リーがドラッ...... [続きを読む]

受信: 2009年9月22日 (火) 09時32分

» 〜『クリーン』〜 ※ネタバレ有 [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2004年:フランス+イギリス+カナダ合作映画、 オリヴィエ・アサイヤス監督&脚本、エリック・ゴーティエ撮影監督、マギー・チャン、ニック・ノルティ主演。 ≪【駅ビルシネマ・姉妹都市映画祭】関西先行プレミア上映にて観賞≫... [続きを読む]

受信: 2009年9月22日 (火) 19時05分

» クリーン [墨映画(BOKUEIGA)]
「命長辱多」(命長ければ辱多し) 長生きはめでたいことである。しかし、長き故に多くの屈辱を受ける。その屈辱を乗り切ったからこそ、長き人生が大きな喜びとなる。 【STORY】(MovieWoker様より引用させていただきました。) フランス人監督オリビエ・アサイヤスが、かつての妻であるマギー・チャンをカンヌ映画祭主演女優賞に導いた感動作。人生の"再生"というテーマを美しい映像で描き出す。 歌手を夢見るエミリーは、ロックスターの夫リーをドラッグの過剰摂取で突然失う。夫の両親の元で暮らす幼い息子を引き取... [続きを読む]

受信: 2009年9月22日 (火) 20時46分

» クリーン◎Clean 京都駅ビル姉妹都市映画祭 [銅版画制作の日々]
京都駅ビル・国際姉妹都市映画祭にて先行上映! 観てきましたよ。関西ではここが最初の上映だそうです。19日から21日の限定上映で、RCSでまもなく上映されるらしいです。「夏時間の庭」のオリヴィエ・アサヤス監督の作品だったんだ。知らなかった(汗)そしてもう一つびっくり!主演のマギー・チャンと監督は結婚していたとは・・・・。この作品を撮った頃はすでに離婚していたんですね。 そいでもってアメリカ映画じゃあなかった。監督はフランス人だからいうまでもないのだが。そう言われてみると微妙に雰囲気違うかな?義父役... [続きを読む]

受信: 2009年9月22日 (火) 21時17分

» レビュー:クリーン [INTRO]
『自分本位の母親に“Clean”な未来はあるのか?』 / 本作におけるヒロイン役のマギー・チャンの熱演は、第57回カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞も納得ものだし、ヒロインの義父を演じたニック・ノルティの深みのある演技も一見の価値がある。ヒロインの息子役のジェームズ・デニスはまるで天使のように愛らしい。だが本作を観ているうちに、どうしてもある事件を連想せずにはいられなかった。連日のように報道されている某女優とその夫による薬物...... [続きを読む]

受信: 2009年9月27日 (日) 14時17分

» クリーン [だらだら無気力ブログ]
夫を薬物中毒で亡くし、自分も薬物保持で収監され、一人息子の養育権を 失った母親が、息子と一緒に暮らせるように生まれ変わろうと奮闘する 様を描く。 監督は『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤスで、ヒロインを監督の元妻 であるマギー・チャン。彼女はこの作品で第..... [続きを読む]

受信: 2010年1月22日 (金) 23時33分

» クリーン [とりあえず、コメントです]
薬で全てを失ってしまった一人の女性が手放してしまった息子に会えるようになるために、 自分の人生を取り戻そうとする人間ドラマです。 主演のマギー・チャンがこの作品でカンヌ国際映画祭で受賞したと聞いていたので気になっていました。 もうDVD化されているのですけど、飯田橋ギンレイホールで上映されていたので やっぱり劇場で観たいなあとチャレンジしてきました(^^ゞ ... [続きを読む]

受信: 2010年5月21日 (金) 21時36分

» クリーン [映画鑑賞★日記・・・]
【CLEAN】 2009/08/29公開 フランス/イギリス/カナダ 111分監督:オリヴィエ・アサイヤス出演:マギー・チャン、ニック・ノルティ、ベアトリス・ダル、ジャンヌ・バリバール、ジェームズ・デニスそして、大切なものを思い出した。Story:ロックスターのリーを夫に持ち、自....... [続きを読む]

受信: 2010年5月23日 (日) 21時55分

» mini review 10458「クリーン」★★★★★★★☆☆☆ [サーカスな日々]
夫を薬物中毒で亡くし一人息子の養育権も奪われてしまった母親が、息子を取り戻そうと奮闘する人間ドラマ。息子と暮らせる日が来ると信じて人生をやり直そうとするヒロインを『2046』のマギー・チャンが熱演し、第57回カンヌ国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞した。監督は、彼女の元夫で『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤス。共演には『ホテル・ルワンダ』のニック・ノルティ、『屋敷女』のベアトリス・ダル、『ランジェ公爵夫人』のジャンヌ・バリバールらが顔をそろえる。[もっと詳しく] マギー・チャンは紛れもなく国際... [続きを読む]

受信: 2010年6月 8日 (火) 09時54分

» クリーン [だって興味があったから 【映画と本と、日常日記】]
そして、 大切なものを思い出した。 2004年 フランス/イギリス/カナダ  日本公開日2009/08/29 監督 オリヴィエ・アサイヤス 脚本 オリヴィエ・アサイヤス 出演 マギー・チャン/ニック・ノルティ/ベアトリス・ダル/ジャンヌ・バリバール/ジェームズ・デニス/... [続きを読む]

受信: 2010年9月 5日 (日) 21時41分

» 『クリーン』'04・仏・英・加 [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじ愛する夫を失い、ひとり息子とも引き離されたシングルマザーのエミリーは、失った絆を取り戻すために、生まれ変わることを誓うが・・・。感想『ラヴソング』のマギー・チャ... [続きを読む]

受信: 2010年11月 1日 (月) 23時31分

» 映画評「クリーン」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中) 2004年フランス=イギリス=カナダ映画 監督オリヴィエ・アサヤス ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2010年11月26日 (金) 15時51分

« 南の島のフリムン | トップページ | ゴー・ファースト 潜入捜査官/Go Fast »