クヒオ大佐

実在した結婚詐欺師、ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐の物語。主演は『ジェネラル・ルージュの凱旋』、『南極料理人』の堺雅人。共演が『容疑者Ｘの献身』、『ゲキ×シネ「五右衛門ロック」』の松雪泰子、『愛のむきだし』の満島ひかり、『真夏の夜の夢』の中村優子、『蟹工船』の新井浩文ら人気作品出演者がずらりと並ぶ。監督・脚本は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八。
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妄想だけなら将軍級？！

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実在の結婚詐欺師だということだけれども、ジョナサン・エリザベス・クヒオなんて名前からしてあからさまに怪しさ１２０％じゃないだろうか…。何でこんな男にひっかかる女がいるのか。もっともこれは数多くいる結婚詐欺師を話題にした時に必ず出てくる命題のようなものなのだけれど。ともあれ内容に関わらず好きな俳優・堺雅人のコメディとあっては、自動的に鑑賞は決まっているのです。ちなみに堺雅人の本命は来年公開の『ゴールデンスランバー』といったところでしょう。

さて、予告編を観た時から妙に気になっていたのがクヒオ大佐の鼻。帰路、何だかコントみたいだったなぁなどと考えつつ車の運転をしていたら、ラジオから流れてきたのがまさにその話題で、声の主は吉田監督だったりしたのでした。そしたらなんと、あの鼻は“２代目つけっ鼻”なのだそうです。初代はあまりに高くしすぎて、本来横から撮るべきカットを斜めからにしたりしてごまかしたのだそうな。ちなみにあの鼻の特殊メイクは１時間半ぐらいかかるそうで、堺雅人は女優より早い現場入りを余儀なくされたんだとか。

と、いきなり余談から入ったものの、あの鼻がクヒオ大佐のお間抜けさを表す外見上の重要な要素であることは間違いない訳で。つまり何というか、本作のコメディというのはクヒオ大佐のつけっ鼻の如く、大笑いするものでは決してなく、軽く「ぷっ」といった感じに終始しているのです。ラジカセで飛行機のコックピット内のノイズを流しつつ「ハーイ、今ファントムのコックピット…」としのぶ（松雪泰子）に電話したつもりが、相手は弟の達也（新井浩文）。流暢な英語で返されるもさっぱり解らないクヒオ大佐の言ったセリフが「日本語で話してもいいよ、解るから。」。

ことほど左様に間抜けなクヒオ大佐。大体、アメリカ人訛りの日本語といっても、クヒオ大佐のそれは、つけっ鼻と合わさって殆ど７０年代コントのネタのように聞こえます。しかも彼のペースでしゃべっているうちはいいものの、自分のペースを崩されるとひたすら脆い。既に騙されているしのぶはともかく、特に恋に盲目な訳でもない春（満島ひかり）までもがころっと騙され一夜を共にしてしまうのはどういう訳なんでしょう。確かに女心を掴むトークテクニックは色々と披露してくれましたが…。

もっともそのテクニックが通じるのも素人女性だけのようで、銀座ナンバー１ホステスの未知子（中村優子）には全く通じず。何故通じなかったのかは後々判明しますが、これもクヒオ大佐の間抜けさが原因だったりします。本来であれば、ホステスとの化かしあいに期待をかける所なのだけれど、ここまでの彼を見ると、どう考えても海千山千のホステスを騙せる訳がないことは自明の理。というよりむしろ逆に騙されそうになってますし…。解っていても逃れられない銀座のナンバー１ホステスの話術にちょっと感心です。

途中何度か出てくるクヒオ大佐の生い立ちに関する回想シーンから、どうも彼は直ぐに暴力をふるう父親の元で育ったらしい…。必然的に幼い時からこうであったらいいな、という願望が強くなった結果、全てを妄想しそれを現実のものとして話す彼が出来上がったのではないでしょうか。騙すというより、ただ単に自分の理想の中に生きているだけなのではないか、そんな風にも思えました。

個人的おススメ度3.0
今日の一言：ラストの妄想は意味が解らない…

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