一年之初
台湾のチェン・ヨウチェ監督・脚本の長編デビュー作。本作は東京国際映画祭やヴェネチア国際映画祭に招待された。7人の男女が5つの物語に登場するという群像劇だけに主演はいない。主だった出演者にクー・ジャーヤンやモーツィイー、『ラスト・コーション』に出演したクー・ユールンらがいる。大晦日午前0時を中心にした24時間に起こった出来事をパラレルに描く。
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仕掛けが複雑すぎて話しに集中できない
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とても難解な作品でした。5つのストーリーがパラレルに展開し、それもあるストーリーが、他のストーリーの裏で起こっていたストーリーだったりする…。まず最初に思い出したのはガイ・リッチーの名作『ロックストック&トゥースモーキングバレルズ』でした。もっとも「ロックストック~」の洗練された映像や編集には到底及ぶべくもないのですけども。さて、本作に登場するのは7人の男女。元々群像劇が苦手な私としては、登場人物に魅力が感じられないと直ぐにつまらなくなってしまいます。


登場するのは映画助監督のパン、映画監督のリーシャン、謎の女性バタフライ、バタフライと親友のシャオフィ、シャオフィの恋人ハオズ、タイからの不法移民のディンアンの7人。このうち台湾裏社会でヤクザな商売を営んでいるディンアンの話が第2話。これがタダひたすら単調でつまらない。ココだけは記憶が飛びがちです。そもそも全体の中でもこの第2話だけはちょっと浮いており、彼自身のエピソードが他の6人と直接関わりません。というより彼のエピソードに登場するヤクザの親分が他のとある人物と深く関わってきます。


それでなくても5つの話がパラレルに進行しつつ、それぞれが裏表になっていることもあったりと解りにくいことこの上ないのですが、更に現実の世界なのかパラレルワールドなのかが解りにくいようなシークエンスもあり、より混乱を誘います。このあたり『あの日、欲望の大地で』とは違って観ている人間に投げっぱなしのところが多く不親切すぎ。それでも全体として、紹介するエピソードが時系列どおりに並んでいるのならまだ良いのですが、時として逆行したりするから余計始末に終えません。


それでも我慢して観続けると、「ああ、それでこうなったのか。」とか「なるほどこの時は、こういうことが起こっていたのね。」と解ってはくるものの、それだけのためならもっと解りやすい構成で十分ではないかと。そもそもこの7人の男女が何を目指しているのか、というより作品として何が言いたいのかがさっぱり解らないのです。一応解説として「再生へと向かう7人の男女」とあるのですが、再生って何が?うーん、この手の映画を素晴らしいと絶賛出来れば映画通なのかもしれませんが、やっぱり私には解らないとしか言えません。


(ココからネタバレ含む。)
最終的にどうやって話を収斂させるのかと注目していたら、実はこれまでの話は全て監督リーシャンの作った映画の中での話で、監督が「一年之初」という映画を撮っていたのでした、というオチ。ハッキリ言って夢オチ並みにどうかと思います。道理で散々観ている側に投げまくった謎を回収しないはずです。これなら何をやっても映画の中のお話でしたの一言で済んでしまいますし。というより、このオチありきで企画を立てたんではないでしょうか。
バタフライ役のクー・ジャーヤンと女優役のシュー・アンアンという美人女優2人を知ることが出来たのが一番の収穫でした。
個人的おススメ度2.0
今日の一言:どこかに救いがないと観られない。
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