キッチン ~3人のレシピ~/키친
主演のチュ・ジフンの不祥事で公開が延期されていた作品。新婚1年目の妻がひょんなことから一人の青年と関係をもち、夫も含めた三角関係に陥ってしまうというラブロマンス。主演は前述どおり『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』のチュ・ジフン。共演は『最強☆彼女』のシン・ミナ、『女は男の未来だ』のキム・テウ。監督のホン・ジョンはこれが長編デビュー作。 |
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『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』と同時期に公開予定が、チュ・ジフンの不祥事で延期になっていた作品、やっと観ることができました。が…先日観た『妻が結婚した』じゃないけれど、最近妻が浮気する作品って流行なんでしょうか?天真爛漫なモレ(シン・ミナ)と優しい夫サンイン(キム・テウ)、そしてハンサムで天才料理人のドゥレ(チュ・ジフン)の三人はキャラクター付けがしっかりしており、その意味では話自体は上手くまとまっていて観易いし、三人の心理描写も的確に描けているとは思います。従って映画としてのクオリティとしてはなかなかの良作と言えるのかもしれません。が、個人的にはこの設定はどうにも苦手です。
モレとサンインの新婚一年目も熱々カップルぶりは傍で見ても幸せそのもの。この幸せっぷりを見せ付けておきながら、次のシークエンスでは成り行きとはいえモレとドゥレの情事が描かれるます。子供っぽくて純真で天使のようなモレと肉感的で情熱的な女性としてのモレ、1人の人間の中の2面性をシン・ミナがきっちり演じ分けてくれました。意外とバストが大きいのが嬉しい驚き。それはさておき、どうしてこうなってしまうのか。人を好きになる心は止められないということ、それは理屈としては解ります。しかしこの作品を観ていると改めて結婚って何だろうと思わずにはいられませんでした。
『妻が結婚した』でも書きましたが、きつい言い方をすれば結婚は「お互いをお互いだけのものとする契約」です。もっと直接的に言えば「他の異性とSEXしてはいけません。」そういうことです。本気で好きになっても、その気持ちを無理矢理にでも抑える、まして肉体関係などはありえない、それでなければそこらの盛りのついた動物と同じじゃないですか。本作ではモレがドゥレと出会い、自宅にやって来て住み込み暮らしていく過程で、彼女がだんだんとドゥレに惹かれて行く様が丁寧に描かれています。残念ながら私はそれを観て非常にイラつきました。結婚しているということは、惹かれあってしまうような状況に身を置くことすらしてはいけないと思うのです。
サンインのパジャマを着ていたドゥレをサンインと間違えて抱きついたり、シャワーを浴びているドゥレをサンインと間違えたり…。最初はサンインを愛するが故の可愛らしい間違いだったのが、次第に自らドゥレに関わっていくモレ。それは正に物語冒頭で見せてくれた天真爛漫な子供のモレが女性としてのモレにゆっくりと変わっていくかのようです。サンインは、モレを含めて幼馴染から「兄貴」と呼ばれていますが、結局彼女は優しい兄貴が好きであってサンインを一人の男性として観ていなかったのではないか…。劇中で彼女はそれが私の愛だと言っていますが、行動が伴っていないだけに虚しく響きました。
ドゥレも劇中でモレに惹かれて行く自分を抑えられません。しかしこれはルール違反です。何のためにサンインは彼を家に呼んだのか。レストランをオープンするに当たって、料理の教えを請うためです。つまりこれはビジネス。ドゥレは料理の腕は天才的かもしれないけれど、プロではないとしか言いようがありません。自由な恋愛なのか、運命の出会いなのか知りませんが、綺麗な言葉で飾っても、やっていることは雇い主の妻を寝取ろうとしているだけです。コピーには「彼らだけの愛のレシピ」とありますが、本来その中に何故ドゥレを入れる必要があるのか。
(ここからネタばれ含む。)
本作で唯一納得したのはモレの行動でした。ドゥレの「選ぶのはモレだ。」の言葉に従いサンインはモレにどちらかを選ばせようとします。しかしどちらも愛していることの証に彼女は姿を消し、サンインと離婚します。これは結婚していながら他の男性を愛してしまった女性がその愛を終わらせる以外では許される唯一の行動です。
実は本作のもつ雰囲気や、例えば街の様子、モレの店、家の中のインテリア、市場の様子など清清しくて気持ちの良い映像がとても好みです。それだけにこの話のテーマが残念です。結婚は恋愛とは違うし、綺麗ごとじゃありません。「結婚」はいつからそんなに軽くなってしまったんでしょうか。作品の質としての評価ならもう少し上でしょうけども、個人的にあまり人に、特に若い人に薦めたくない作品でした。
個人的おススメ度2.0
今日の一言:韓国の常識ではこれがアリなの?
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