沈黙の逆襲/THE KEEPER
スティーヴン・セガールと言えば「沈黙」シリーズ。2年前に終了したかと思われた同シリーズが帰って来た。今回はロス市警をクビになり旧友の娘のボディーガードを引き受けるという役どころ。ちなみに同じくセガール主演の『斬撃 ZANGEKI』とは配給会社は異なるが同日公開。共演のリーズル・カーステンスは前作『沈黙の報復』から引き続いて出演。監督はキオニ・ワックスマン。 |
何だかちょっと寂しい「沈黙」だった… |
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うーん、2年ぶりに「沈黙」シリーズが帰って来たのは良いのですが、何だかやけに宣伝にやる気が感じられないです。確かに内容的に今一つというのもあるんですが、公式サイトもクロック・ワークスでペラ1ページのみだし、上映館も全国で新宿バルト9だけとは。往年のアクションスターの最新作にしては扱いがあまりにもぞんざいでちょっと哀しくなってしまいました…。やはりもうセガールではお客さんが入らないんでしょうか?とはいっても彼は今年58歳で『96時間』で派手なアクションを見せてくれたリーアム・ニーソンより1つ年上なだけですから、まだまだ頑張って欲しいのですが。
さて、作品の方ですが相変わらず武道メインのセガールアクションはカッコイイ!合気道を中心に取り入れているというだけあって、あっと言う間に敵を組み伏せる様子はもはや達人の域です。最近のアクションはリュック・ベッソン作品に代表されるようにひたすら派手で見栄えがするものが多いのですが、こうした渋い格闘アクションもアクション映画好きには堪らないものがありますね。ただ、ちょっと残念なのは総じて寄りの画像が多いこと。寄り過ぎで、なおかつセガールの動きが速すぎるため、何をしてるのかが解り難いのです。
武道の動き故に最小限の動きで敵の攻撃を捌いたり、組み伏せてしまうので広い画像だと迫力不足になってしまうのでしょうけども、もう少しバランスを取って見せて欲しかったように感じました。もう一つの得意技意のナイフ投げは今回ももちろん見せてくれます。ただこちらはもっと地味と言えば地味なんですけどね…、私は好きですが。結局観ていて思ったのは、本作はスティーブン・セガールだからこそ成立する作品で、別の人では企画そのものが成立しないだろうなということ。逆に言えばスティーブン・セガールの存在感の大きさはまだまだ世界に通用するということです。
ところが、作品自体はどうも冴えない。恐らくこれにはそのセガール自身の存在感の大きさがマイナスに働いている部分もあるのではないでしょうか。観ている人が主人公のスーパー刑事・ローランドではなく、そこに生身のセガールを観てしまっている…、リアルではありますが作品としての盛り上がりには、多少なりともフィクション的要素が必要なことは否めません。実はストーリーを良く見てみるとヒット作『96時間』とテーマ的にはとても良く似ています。シチュエーションの違いこそあれ、どちらも攫われた娘を救出に行く話しで、しかも両方とも無敵状態に強い主人公。
しかし方や娘を助けるためにアメリカからヨーロッパまで飛ぶのに対し、本作は基本的には同じ都市の中での話しとなればスケール感がいま一つ。犯人側が誘拐した理由も雇い主の持つ土地にウラン鉱脈があったから。今時それか?ってなものです。しかも問題のウラン鉱脈の映像は全く無く、唯一密閉された瓶にウランと思わしき黄色の物質が入っているものを見せられるだけ。ついでに誘拐した敵がローランドの雇い主の旧友という設定も一段と身内のいざこざ感を増加させています。
色々事情はあるとは思いますが、映画なんですからもうちょっと派手なコンセプトであっても良かったのではないでしょうか。連続ドラマのスペシャル版ならこれでも良いのかもしれませんけども。ここから更に沈黙シリーズが続くのかは解りませんが、スティーブン・セガールのアクションにおんぶに抱っこではなく、彼をもっと活かした脚本で勝負して欲しいものです。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:セガール自身は一段と貫禄がましました…
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