携帯彼氏
身の丈にあった完成度
あらすじへ
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どうせケータイ小説原作だとたかをくくっていたのですが…これがどうして中々面白かった。そもそも「ブラッディ・マンデイ」での可憐な少女っぷりが気に入っていた川島海荷が映画初主演ということで観に行った次第なんで、ハードルが低い以前に最初から期待もしていなかったんですね。内容的な予備知識はゼロだったため、観始めてすぐにサスペンスホラーだと解った時にはちょっと驚きでした。現代に必須なガジェットである携帯電話と、ヴァーチャル恋愛という軽めの要素はいかにもケータイ小説ですが、それだけに若い人なら誰でも身近に感じられるストーリー展開です。
“携帯彼氏”というケータイゲームキャラとのヴァーチャル恋愛、ラブゲージが0%か100%になるとそのキャラクターに自分が殺されてしまうというコンセプト、えらくチープかつ小ぶりではあるけども、現代日本にはマッチしているのではないでしょうか。実際私は観ていて『ホースメン』よりドキドキしたし、『戦慄迷宮3D』より怖かったと思っています。まあ、その2作の出来が酷いっていうのもあるんですが…。この“携帯彼氏”に殺されるという噂が広まっていく様子は、一昔前の“不幸の手紙”や“口裂け女”的な雰囲気を漂わせていて、都市伝説的な面白さを醸し出しています。
さて、主人公の上野里美(川島海荷)の友達が“携帯彼氏”のキャラに殺されるというショッキングな幕開けから物語は始まります。そしてそれを皮切りに里美の周りでは“携帯彼氏”による謎の死が立て続けに起こるのでした。警察は当然彼女に事情を聞くものの、“携帯彼氏”の話など信じません。余談ですがその信じない女性刑事役に星野真理、里美の母親役に大西結花と、私が高校時代なら彼女たちが主人公であろう女優がキャスティングされているのを観て、改めて本作が女子中高生ターゲットな作品だと再認識…。
さて、サスペンスホラータッチな作品なれども、そこはケータイ小説、ちゃんとラブストーリー要素も含まれています。里美が密かに好きだった先輩・直人(石黒英雄)、ビルの火災で亡くなってしまった彼が何故か“携帯彼氏”となって里美の元にやってきます。彼が“携帯彼氏”になったのには秘密がありました。それがイコール、この一連の事件の謎解きとなります。もっとも、何故“携帯彼氏”になってしまったのかの経緯は解りますけど、理由はさっぱりなんですけどね。里美と直人のラブラブ回想シーンは、今の女子中高生の願望の映像化なんでしょうか。おやじ的にちょっと観ていてこっ恥ずかしかったり。
真剣にあら捜しをするまでもなく突っ込みどころは満載なのですが、不思議とそれ自体、物語本線にあまりマイナス要素となりません。ラストシーンの直人と里美の別れも、過剰にウェットにならず、むしろ割とあっさりとしているのも好感がもてます。しかしそこはホラー、前向きに歩き出す里美たちの前にしっかりとインパクトを残した終わり方にするのはお約束。ケータイ小説らしい脚本や演出でまとめてきた本作は、変に大上段に構えない素直さが、意外な説得力と面白さを生んでいるのでした。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:川島海荷は中学生にしか見えない…
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