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2009年10月16日 (金)

ATOM

Atom 言わずと知れた、日本漫画界の誇る手塚治虫の名作「鉄腕アトム」を、ハリウッドがフルCGアニメーションでリメイク。アトムは『奇跡のシンフォニー』のフレディ・ハイモア、テンマ博士はニコラス・ケイジ、お茶の水博士はビル・ナイといった超豪華な俳優陣が声優を務める。ちなみに吹き替え版ではアトムを上戸彩が、テンマ博士を役所浩司がそれぞれ演じた。不朽の名作が最新技術でどのように生まれ変わるのか。
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心優しい科学の子・ATOM

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本当を言えば、アトムなら日本語吹き替え版を観たほうが楽しめるかと思ったのですが、せっかくのハリウッド作品で、且つ超豪華なボイスキャストとあって字幕版を観てきました。観る前にどこかのサイトで「マツゲがないアトムなんて。」といった感想を読んでいたので注意して観ていたら確かにない。(笑)ただ、そんなことはさして気にならない程美しいフルCGアニメーションであり、スクリーンの中には確かに私が子供の時に観たアトムがいました。手塚治虫はディズニーアニメ好きで知られますが、今ハリウッドでフルCGアニメ化された本作を観たらどのように感じたでしょうか。

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物語は原作と異なる設定が取り入れられており、アトム誕生秘話も若干の変更が加えられています。空中都市メトロシティに暮らすトビー(フレディ・ハイモア)は科学省長官テンマ博士(ニコラス・ケイジ)の一人息子で、ある日博士の実験に巻き込まれて命を落とします。原作では交通事故死でしたね。悲しみに暮れるテンマ博士は、失った息子の変わりにアトムを作り上げるというのはそのままの設定でした。大きく違うのはアトムの動力源。10万馬力の源は原子力であって、それがアトムの名前の由来でもあったはずですが、本作ではお茶の水博士が開発したブルー・コアと呼ばれる究極のクリーンエネルギーを動力源としています。

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この辺り、原作当時は恐らく原子力は夢のクリーンエネルギーであり、未来の象徴だったのでしょうけども、今では違うという時の流れを感じさせられました。設定的に上手いと感じたのは、このブルー・コアと対になるレッド・コアという負のエネルギーの存在。このレッド・コアをエネルギー源として動くピース・キーパー(名前が皮肉です。)というロボットが本作のアトムの敵となります。触れるものを自分の体に貪欲に取り込み融合してしまうレッド・コアは、人の際限のない欲望の象徴でしょう。ブルー・コアのアトムは逆にそのエネルギーで廃棄されていたロボット・ゾグ(サミュエル・L・ジャクソン)を甦らせたりします。

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これは即ち人間の欲望と思いやりの心を表現したものではないでしょうか。お茶の水博士はブルー・コアとレッド・コアを近づけると爆発して両方とも消滅してしまうと警告します。さて、原作ではアトムがロボット故に成長しないため、天馬博士は自分の息子だと思えなくなるという筋書きですが、本作のテンマ博士はロボットはロボットであってトビーではないと自ら気付きます。ところが命の重さに自ら気付いた割には結局アトムを追い出してしまうのですね。このあとアトムはメトロシティから地上に降ります。

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地上でアトムは同世代のコーラたち人間の子供とのつかの間の楽しい生活を送ります。ここのシークエンスは正にオリジナルストーリーで、おかしな3人組ロボットが登場したり、ゾグを甦らせる話があったり、はたまたコーラーたちの親代わりであるハム・エッグ(ネイサン・レイン)に騙されてアトムの正体がバレ、闘技場でバトルをするはめになったりとこれが笑あり、ドキドキありと結構楽しかったりします。しかし、結局アトムは彼の持つブルー・コアを奪おうとするストーン大統領の前にアトムは囚われの身になってしまうのでした。

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1度はコアを抜かれてその動きを止められてしまうアトム。しかしここでアトムを救ったのは、彼を追い出したはずのテンマ博士でした。アトムをトビーの代わりではなく、アトムとして愛そうと決めたのです。ここに復活したアトムと、レッド・コアを体内にもつピース・キーパーとの闘いの火蓋が切っておとされました。物質だけでなく、人間である大統領までも飲み込んで巨大化するピース・キーパー。大統領は文字通り己の欲望に飲み込まれたのが皮肉です。何故かピース・キーパーの声が大統領になっているのはご愛嬌ってことで…。

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ここではアトムの両手のキャノン砲やお尻のマシンガンといったお馴染みの武器が登場するのですが、足のジェット噴射も含めてフルCGの美しさが活かせる場面。実際問題カッコいいんですね、これが。元々アニメーションだけに派手なエフェクトも全く不自然さがありません。もっともアトムの攻撃はことごとく効かないのでした。劣勢のアトムは、テンマ博士の制止も振り切って、ピース・キーパーへと体当たりを敢行!――そして大爆発。輝きを失ったブルー・コアに再び命の火をともしたのは、アトムが分け与えたブルー・コアのエネルギーで復活したロボット・ゾグでした。

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オリジナルストーリーもあり、設定も変更されていましたが、観終わって感じたのはやっぱりこれは「鉄腕アトム」だということ。子供の頃に感じた未来の世界も、今では苦もなく表現できる技術があります。技術の進歩が作品のクオリティに貢献する典型的な作品でした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:今でもアトムは私たちの夢じゃないかな…

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受信: 2010年11月 5日 (金) 22時40分

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