テイルズ オブ ヴェスペリア ~The First Strike~
大ヒットRPG「テイルズ オブ」シリーズの10作目にあたる同名のゲームをベースに映画化。映画版は同ゲームの数年前の世界を描く。監督は亀井幹太。アニメーション制作をアニメ版『ラスト・ブラッド』や『BLOOD+』を始めとする質の高い作品を多数制作してきたプロダクション I.Gが担当。キャラクター原案を「サクラ大戦」シリーズや「逮捕しちゃうぞ」、「ああっ女神さま」の藤島康介が手がけている。
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オーソドックスな王道ファンタジー
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流石は大ヒットRPGをベースに制作された作品だけあって完成度がとても高く、例えこのゲームをプレイしたことがなかったり、聞いたことが無くても十分に映画だけで楽しめるだけのクオリティでした。実際、私自身はシリーズ2作目にあたる「テイルズ オブ デスティニー」までしかプレイしたことはないのですが、それでも当時としては非常に良く出来たゲームだった記憶があります。世界観がきっちりと確立されている上、藤島康介氏によるキャラクターは見た目にも性格的にも解りやすく、気分を乗せてくれる音楽も含めて正に日本のファンタジーの王道を行っている作品といってよいでしょう。


ファンタジーの基本は剣と魔法ですが、作品によってそれは様々な呼び方をされていたり、その設定に違いがあったりします。本作の場合は剣は文字通りの剣なのですが、魔法の在り方に若干の特徴があり、それは物語の冒頭で説明してくれます。簡単に言うと、この世界には“エアル”と呼ばれるエネルギーがあり、人々は様々な種類の魔導器(ブラスティア)によってそのエネルギーを利用しているけれど、ブラスティアはエアルの結晶である魔核(コア)がないと作動せず、そのコアは人工的に造ることは出来ない―、といった設定。で、本作はこの簡単な設定がほぼ全てであり、これが解ればあとは殆ど何も困らずに理解できてしまいます。


オープニングから早速そのブラスティアを発動させ大掛かりな魔方陣が空に描かれるという、ファンタジーファンの心をサクッと掴むにくい演出。しかし物語の主人公は、新米騎士故にそのブラスティアを使うことを許されていないユーリ・ローウェル(鳥海浩輔)とフレン・シーフォ(宮野真守)の2人というのが面白いです。双方とも正義感の厚い青年であるものの、ユーリは自分の考えに従い、フレンは規律に従うという正反対な性格。本作はこの2人が自分自身の在り方に葛藤しながら成長していく物語です。


もっとも、結局優先すべきは何なのかという問題な訳で、この2人にしたところで方向性が異なってはいるものの、自分の考えに固執しているという意味では同じだったりします。ただ最初ちょっと違和感を感じたのは2人の性格と外見の差。ユーリの髪型はロングでフレンはショート、外見的に性格が逆な気がして馴染むのにちょっと時間がかかってしまったり。さて、2人の赴任している街近辺はエアロが異常発生し、通常の動物までもが魔物に変わってしまう状況でした。オープニングの魔方陣はその魔物退治をしているシーンと言う訳です。


ちょっとだけ残念だったのはその魔物がややショボかったこと。生き物が魔物化したのはともかく、どことなく「もののけ姫」のたたり神を連想させるミミズのお化けみたいなものは意味が良く解らず…。もしかしたらオリジナルのゲームにはちゃんとモンスターとして登場するのかもしれませんね。それともう一点、ファンタジームービーであるからにはもうちょっと頻繁に魔法、この世界で言うところのブラスティアを使った多彩な攻撃見せて欲しかったところです。登場人物のうち紅二点のヒスカとジャスティルが回復を専門としていたせいもあるのでしょうけども、いま一つ戦闘シーンが大人しかったように見えました。


ともあれ騎士団の隊長ナイレン・フェドロック(谷口節)は帝都からの命令を無視し、街の人々を守るためにその原因の解明と排除に向かうことにします。ここら辺りから裏の動きも出てきたりして、ストーリー的には一番面白くなっていくところ。クライマックスはこの手の物語では定番ではあるものの、ちょっぴりジーンとしてしまいました。ラストに近づくにつれて、この2人の新米騎士の将来はどうなるんだろうということが凄く気になる描き方をしているのですが、嬉しいことにエンディングでその一部が観ることができますす。後で調べたところによればゲーム版のオープニングアニメーションだとのこと。


ゲームへの呼び水としてはこれ以上ないぐらい上手い締めだったのではないかと思います。ただ、正直言うともうさすがにプレステを購入してまでRPGをやる暇も根気もないんで、続編の制作をお願いしたいところなんですが…。(苦笑)
個人的おススメ度3.5
今日の一言:ラピードの仕草が可愛らしくて♪
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