戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH
「呪怨」シリーズの清水崇監督の最新作。富士急ハイランドにある同名のお化け屋敷とコラボレートした企画で、3Dにより画面に引き込まれるような体感型サスペンス・ホラームービーだ。主演は「誰もしらない」でカンヌ男優賞受賞の柳楽優弥。共演に『いけちゃんとぼく』の蓮佛美沙子、『カフーを待ちわびて』の勝地涼、『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』の前田愛ら若手の演技派が揃う。
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ホラーが苦手だと公言しながら、何故か『ファイナル・デッドサーキット 3D』に続き2日連続ホラー映画、それも3D。やっぱり実写版3Dと成ると映像的にどうしても気になってしまうという職業病みたいなものもあったり。それと、日本が誇るホラー映画の天才・清水崇監督の作品ときては、とりあえず観るだけは観ておかなければなるまいという、自分の中の取り決めもあったのでした。ちなみにホームのTOHOシネマズ府中以外での3D鑑賞は初めてで、メガネの比較もできる…なんてつまらない色気も働いていたりします。ちなみに鑑賞場所は新宿バルト9。


さて、結論から言うと殆ど怖さを感じなかったなと。微妙な明かりの使い方やカメラワーク、画像のエフェクトなどは清水監督らしさが垣間見えたのですが、人間の盲点を付いた意識の外から来る驚きや、キャラクターそのものが放つ不気味さが足りなかったように感じます。ただ『ファイナル・デッドサーキット 3D』がそうだったように、3D映画である事は十分意識されていて、例えば螺旋階段を真上から映し下から人が登ってきたり、少女が画面正面に向かって手を伸ばしてくるといった、やはり私たち観客に向かって何かが迫ってくるという手法は迫力・リアリティ共に文句なしでしたし、これまで観たことのない映像でした。


コラボレート作品と言うことで舞台は当然、富士急ハイランドの“戦慄迷宮”。そこで起こった殺人事件の犯人として逮捕された青年(柳楽優弥)が10年前に起こった事件と今回の事件に関して語るという構成。10年前に「戦慄迷宮」に入り込んだ5人の子供のうち、ユキ(蓮佛美沙子)だけが行方不明になり、10年後に突如として戻ってくるというところから物語りは始まります。簡単に言うと、10年前に彼らに起こった事件に現代のユキを除く4人が関わっているというタイムパラドックスなお話しなんですね。これ、アイディアは解るんですが、この謎解きに拘りすぎてしまったのが不味かったようです。


元々グロ系なホラーではないとは思っていましたが、それにしてもホラーの醍醐味?である死に様が極普通というか、本作に比べれば今時のハリウッドのアクション映画の方が派手で凄惨な死に方を見せてくれます。ユキの妹・ミユ(水野絵梨奈)の死に方に到っては何故かマネキン人形のようにされてしまうという、いくらお化け屋敷が舞台だからといってもそれはあんまりな死に方で、軽く失笑してしまった程。一応このミユが死ぬときに、ユキが手を伸ばしてくる様子がミユ目線で見られるというのが先に書いた通り3D映像としてよかった点でした。


流れとしては、10年前に“戦慄迷宮”に置き去りにされたユキがその復讐をするという設定なのですが、このキーマンであるユキが全く怖くないのも話しとしては致命的。途中1箇所だけ、廊下を走りぬけていったユキの首が180度回転してそのまま向きを変えて戻ってくる、なんてカットもあるのですけども、それもあっという間の出来事で、しかもそれ自体で何か危害を加えられるわけではありません。そうそう、目がグリングリン回転して白目になるなんてカットもありました。ただ、幾らホラーが苦手の私でも流石にその程度じゃね…。


結局、拘ったはずの謎解きの結末もなんだか冴えないオチでしたし、とてもではないですが「呪怨」シリーズとは比べるべくも無い作品でした。あくまでも遊園地のアトラクションとのコラボレーションであることが前提ならば、3D映像を取り入れてこの程度の描き方にしておくのが落としどころなのかも知れませんね。
個人的おススメ度2.5
今日の一言:本物の最恐戦慄迷宮の方が面白いかも。
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