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2009年11月11日 (水)

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編

Photo ギャング・スター、ジャック・メスリーヌを描いたクライムストーリー。2部構成の第2部で、本作ではフランスに戻ってから銀行強盗を繰り返し、やがて社会の敵(パブリック・エネミーNo.1)と呼ばれてから、悲惨な最期を遂げるまでを描いた。晩年のジャックを演じるために体重を20キロも増やしたカッセルに注目。パート2からリュディヴィーヌ・サニエ、マチュー・アマルリックが共演に加わる。
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傍で見るには実に面白い生涯

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USC(特別懲罰刑務所)の脱獄と襲撃後、一緒に脱獄したメルシエ(ロイ・デュプイ)は別件で警察に射殺され、ジャンヌ(セシル・ドゥ・フランス)は刑期を終えて出所していました。フランスに舞い戻ったジャックですが、このパート2では銀行強盗を繰り返す彼と、パリ警察のブラサール警視(オリヴィエ・グルメ)の闘い、言い換えると国家vs個人の闘いがメインとなって進んでいきます。序盤で早速ブラサール警視に捕まるジャック。相変わらずホテルで女性と一緒なところが彼らしいです。

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この裁判の様子が結構面白い。フランスの裁判は被告人に自由にしゃべらせてしまうんですね。もともと強かった虚栄心が、更に強くなっていくのがこの時期です。如何に自分が自分は「社会の敵」ではなく「銀行の敵」などとのたまうと、傍聴席から笑いに包まれたりと、何やら裁判というよりジャック・メスリーヌショーの様相を呈していました。パート1でも書きましたが、この人つくづく子供っぽいです。またその解り易い子供っぽさが大衆には受けたんでしょうけども。極めつけはなんと脱獄宣言!しかし一体どうやって?

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収監された刑務所で出会ったのがフランソワ・ベス(マチュー・アマルリック)。何と彼も今まで3回も脱獄した経歴の持ち主でした。ここからまたしても脱獄シークエンスが始まりますが、これがまた緊張感漂うとともに、どう逃げるのかで観ている側がワクワクしてしまいます。ここから登場するマチュー・アマルリック、いい俳優です。本作ではあの大きな目がどこか頭のねじが1本飛んでるような危ない犯罪者といった面持ち。そういう意味ではジャックもフランソワもアナーキーではあるのですが、ジャックが陽ならフランソワは陰という対照的なコンビでした。

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フランスに戻ったジャックは当然当局に追われる身のため外出時は必ず変装。と言う訳でヴァンサン・カッセルの百面相はある意味見所の一つかも。特に最期の時まで共に過ごしたシルヴィア・ジャンジャコ(リュディヴィーヌ・サニエ)との出会いのシーンはサプライズ!ここでは書かないので観て驚いて下さい。20キロ増量した体はお腹がでっぷりで、それじゃ完全にヤバイオヤジでしょうがと思わず突っ込みたくなる風貌でしたから。パブリック・エネミーNo.1を謳歌しているこの時期、シルヴィアと2人で宝石や服などの高級品を買いあさる姿はなにやらラブストーリーのワンシーンのようでもあります。

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ところが、そんなジャックの転機となったのがチャーリー・ボーエル(ジェラール・ランヴァン)との再会。と公式サイトには書いてあるけれど、以前どこであっていたのかは描かれていないような…?チャーリーは筋金入りのテロリストで思想家でした。彼と行動するうちに、アナーキーではあったものの陽気なジャックが、自分を革命家呼ばわりし始めます。子供のような虚栄心で生きてきた彼は、アナーキーでもどこか愛嬌があるのですが、自分のしていることに革命家的な理屈をつけ始めた時点で、彼の人生は終焉に向かい始めたのかもしれません。

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その点、分をわきまえていたフランソワは、自分はタダの犯罪者だといって、ジャックのもとを去って行くのでした。タダの?銀行強盗ならばともかく、体制転覆を狙う革命家を名乗ってしまえば警察もこれまでとは同じ対応という訳にはいかないでしょう。しかもそんな彼が大衆に人気とあっては尚更です。どうもこのジャックの革命家気取りの根っこには、USC(特別懲罰刑務所)での拷問のトラウマが一因としてあったようで、かの私設を廃止させるなどと真剣に語ったりもします。ただ、いずれにしたところで本質的にジャックはチャーリーのような革命家である訳もなく、言ってみれば単なる“革命家かぶれ”でしかないのが哀しいところ。

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結局、自分をゴロツキ呼ばわりした新聞記者を殺そうとするも、止めを刺ささなかったため、逆に全ての新聞にその事件を書かれてしまう始末。虚栄心ゆえに革命家を気取り、それが原因で何より彼が大切にした大衆の人気を失う…結局は全て彼のつめの甘さが招いたことではありますが。自分の命が狙われていることに全く気付かない、或いはそうしたことに無頓着な彼の生き方は、彼らしくもありますが、一方で歯がゆさも感じます。文字通り波乱万丈の生涯だったジャック・メスリーヌ。駆け足とはいえそれを辿った本作は十分に見応えのある作品でした。

>>ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編

個人的おススメ度3.5
今日の一言:リュディヴィーヌ・サニエって好みのタイプ♪

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