僕らのワンダフルデイズ
『まぼろしの邪馬台国』、『山形スクリーム』の竹中直人の主演作品。ガンで余命半年ということを知ってしまった中年男が、高校時代のバンドを再結成しミドルエイジのバンドコンテストを目指すヒューマンドラマだ。当然共演も宅麻伸、斉藤暁、稲垣潤一、段田安則とオヤジ揃い。オヤジの妻役として浅田美代子や紺野美沙子も出演している。監督は「世にも奇妙な物語」などTVで活躍する星野良子。
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この秋は余命モノが多いのでいい加減食傷気味だったけれど、スケジュールの都合上ピッタリだったので観て来ました。…あれ?結構いい感じ。予告編をみて判断すると勘違いする恐れがありますが、この作品は余命モノではないです。いや、正確に言えばそうなんですが、余命半年の最期に向かって感動的に仕上げている作りではありません。オヤジたちがメインの映画なんで演技力は確実なものがありますが、この作品の好き嫌いはひとえに竹中直人の芝居を許容できるかどうかにかかってくるでしょう。『まぼろしの邪馬台国』ほど真面目ではありません。しかし『山形スクリーム』ほどバカではありません。でも結構芝居がかってます。
そもそも、主人公・藤岡徹(竹中直人)が病院で医師の話す余命半年話を聞いてしまったところから物語はスタートする訳ですが、意外にもしょっぱなからこれは徹の勘違いだとバラされます。妻・章子(浅田美代子)の欠伸の涙や、福引?に外れたため息をことごとく悪い方に解釈する徹。あまりのバカバカしさにこの作品はヒューマンコメディ?と思ってしまった程です。ともあれこの後、余命半年で家族に残せて、死ぬ時に持っていけるものは「音」だと思い至った徹が、高校のときの同級生に声をかけ、バンド「シーラカンズ」を再結成し、コンテストを目指すという、予定調和でベタなお話が始まるのでした。
登場人物がオヤジたちともなると当然それぞれの家庭の事情があります。酒屋でベースの栗田薫(段田安則)の母はボケが始まり徘徊癖があり、不動産屋でキーボードの渡辺一郎(斉藤暁)は不況で会社が倒産寸前、自動車会社の部長でギターの山本大樹(宅麻伸)は息子と絶縁状態。昨今の社会情勢が反映されているあたりが妙にリアルです。そしてそんなリアルな事情を抱えるキャラクターたちの中に、一人加入してくるのが謎の資産家?ドラムの日暮圭(稲垣潤一)。稲垣潤一は歌手なんで仕方ないのですが、だとしても凄まじいまでのセリフ棒読みっぷりは、むしろそれが狙いなのではと勘ぐりたくなるぐらい。
とりあえずバンドも再結成し日々練習に明け暮れる毎日が始まります。「シーラカンズ」再結成でくたびれた中年オヤジたちがエネルギーが注ぎ込まれたかのように活き活きと演奏する様子は、世の中年男性にとっては映画と解っていても何となく自らの希望を投影できて嬉しいのではないでしょうか。社会人を三十年もやっていたら、日常を逸脱したくなる時があるものでしょうし。ちなみに演奏自体は結構上手いです。しかし竹中直人の歌が若干外れ気味なのはこれまた狙いなのか…?楽曲的には奥田民生の書き下ろしなので、みなさん良くご存知の曲調です。個人的には好きですが、まあそれこそ好き好きでしょうね。
(ここからネタバレ含む。)
さて、勘違いネタのオチは単純に訪れました。山本が倒れます。そう、医師の話していた余命半年は山本のことだったんですね。コトが判明しても変なお涙頂戴劇にならないのは、若者ではなく分別をもった大人たちが登場人物だからでしょう。更に言えば、余命半年の人間に対して全てを優先させる訳ではないところが逆に好感がもてました。コンテストのシークエンスでは出場直前に栗田の母が行方不明になる事件が起こるのですが、メンバーはコンテストよりも母親探しを優先します。山本の命を賭けたステージであっても、普通であれば母親を捜すのは当たり前。そんなところも本作が大人が主人公の物語であることを感じさせてくれます。
そしてそれはラストの徹の娘の結婚式でもそうでした。既に演奏が出来ない山本は車椅子で観ているだけ。しかも演奏の途中で去って行きます。メンバーはそれに気付きながらも、演奏を続けます。何とも切ない気持ちにさせられますが、劇中の彼らが泣いていないのに私たちが泣いちゃいけないんじゃないか、そんな風に思えてぐっとこらえる自分がいたのでした。派手な作品ではありません。ボロボロ泣ける作品でもありません。しかし「ミドルエイジを応援する映画」というコンセプトが良く伝わってくる作品でした。
個人的おススメ度3.5
今日の一言:若い人にはあまり受けないかも
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» 僕らのワンダフルデイズ [いい加減社長の日記]
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」を鑑賞
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受信: 2009年11月 9日 (月) 05時12分
» 僕らのワンダフルデイズ [いい加減社長の映画日記]
土曜日のレイトショーにしようかと思ってたんだけど。ポイントが溜まっていることに気づいて、日曜の午前中に、急遽変更。あんまり宣伝もしてないし、「どうなのかな?」と思いながら、「僕らのワンダフルデイズ」を鑑賞「UCとしまえん」は、普通の人出かな。「僕らのワンダフルデイズ」は、中くらいのスクリーンで、1割未満。あまり、人気はないようで^^;【ストーリー】「男性、53歳。末期の胆のう癌…」胆石の手術で入院していた藤岡徹は、偶然主治医の言葉を耳にして愕然とする。退院後に妻の章子と共に息子の学園祭に遊びに行った... [続きを読む]
受信: 2009年11月 9日 (月) 05時13分
» 僕らのワンダフルデイズ [あーうぃ だにぇっと]
監督: 星田良子
キャスト
藤岡徹☆竹中直人
山本大樹☆宅麻伸
渡辺一郎☆斉藤暁
日暮圭☆稲垣潤一
栗田薫☆段田安則
藤岡章子☆浅田美代子
山本美里☆紺野美沙子
藤岡和歌子☆貫地谷しほり
居酒屋マスター☆塚本高史
住職☆田口浩正
日向真帆☆賀来千香子
公証人役場の人☆宇崎竜童
湯川英生☆柏原収史
雄太☆田中卓志
雄太の友人☆山根良顕
栗田美恵子☆佐々木すみ江
他
【ストーリー】
53歳の平凡なサラリーマン藤岡徹(竹...... [続きを読む]
受信: 2009年11月 9日 (月) 06時43分
» 僕らのワンダフルデイズ [とりあえず、コメントです]
50代のおじさんたちが高校時代に組んでいたバンドを再結成して頑張るという作品です。 予告編を観て、とても楽しそうだなあと思っていました。 主演の竹中直人さんの熱演と仲間たちの楽しそうな笑顔が心に残る物語でした(^^) ... [続きを読む]
受信: 2009年11月 9日 (月) 12時43分
» 僕らのワンダフルデイズ [シネマDVD・映画情報館]
仕事と家族のことに追われている平凡なサラリーマンが、そんな日常の中でもかつての輝きを取り戻そうと奮闘する笑いと涙に溢れた感動作。しかし、本作はよくあるお涙頂戴的な単純な感動作ではない。竹中直人・宅麻伸・斉藤暁・稲垣潤一・段田安則といった個性豊かな俳優陣によって、非常に上質なコメディドラマとしても仕上がっている。劇中の演出も非常にわかり易く、さりとて決してレベルは低くないので観劇後に高い満足感も得られるだろう。音楽アドバイザーを務めた奥田民生による主題歌・劇中歌も注目だ。この不況下の日本で、元気のない... [続きを読む]
受信: 2009年11月 9日 (月) 22時06分
» 勘違いコメディはシリアスヒューマンドラマへ?!~「僕らのワンダフルデイズ」~ [ペパーミントの魔術師]
退院間近に余命半年と知った男が 家族に残せるものは「音」だと思い至り、 かつてのバンドメンバーを集めてコンテストに参加する。 ・・・簡単に言うてしまえばそれだけの話なんですが 実は話の最初から 「余命云々は竹中直人ふんする徹の勘違い」だと 観客にはバレバレな形で..... [続きを読む]
受信: 2009年11月10日 (火) 01時38分
» 僕らのワンダフルデイズ/竹中直人、宅麻伸 [カノンな日々]
劇場予告編などで目にするずっと前から私がよく聞いてたラジオ番組の中でこの映画の告知がよくあったので何気に楽しみにしてたんですよ。ラジオということもあってか奥田民生っちプロデュースという音楽面が強調されてて中年オヤジバンドを描いた音楽映画ってイメージだった....... [続きを読む]
受信: 2009年11月10日 (火) 10時03分
» 僕らのワンダフルデイズ [象のロケット]
「53歳。末期の胆のうガン患者。もって半年です。」 胆石の手術を終えたテッちゃんこと徹は偶然、主治医の話を立ち聞きし愕然とする。 ショックを受けウツ状態となった徹は息子の学園祭でバンド演奏を見て、高校時代に組んでいたバンド“シーラカンス”を再結成したいと思い立つ。 旧友たちは困惑するが…。 中年オヤジの青春ドラマ。 ≪家族に残せるもの…それは音!≫... [続きを読む]
受信: 2009年11月10日 (火) 17時46分
» 僕らのワンダフルデイズ [映画君の毎日]
<<ストーリー>>53歳の平凡なサラリーマン藤岡徹(竹中直人)は入院先の病院で、末期ガンで余命半年と偶然耳にする。落ち込む日々の中、バンド活動に夢中だった高校時代を思い出した彼は、自分が家族に残せるものは音だと気付き、バンド再結成を決意。それぞれに悩みを抱える... [続きを読む]
受信: 2009年11月11日 (水) 01時34分
» 『僕らのワンダフルデイズ』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「僕らのワンダフルデイズ」□監督 星田良子□脚本 西村沙月、福田卓郎□キャスト 竹中直人、宅麻 伸 、斉藤 暁、稲垣潤一、段田安則、浅田美代子、紺野美沙子、貫地谷しほり、塚本高史、田口浩正、賀来千香子、宇崎竜童、柏原収史、田中卓志、山根良顕、佐々木すみ江■鑑賞日 11月6日(金)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> 学生の頃、バンドを組んでいたとしたら、何十年経ち、いい大人になったとき、 ふと、想い出だ... [続きを読む]
受信: 2009年11月11日 (水) 17時42分
» その先に何が残せるのか。『僕らのワンダフルデイズ』 [水曜日のシネマ日記]
ガンで余命半年と知った中年サラリーマンが高校時代の仲間とバンドを再結成しコンテスト出場を目指す物語です。 [続きを読む]
受信: 2009年11月11日 (水) 19時06分
» 僕らのワンダフルデイズ なにかを残す必要ってあるのかな。 [労組書記長社労士のブログ]
【 57 -13- 1ヶ月フリーパスポート=5 】 今日は波乗り行ってないよ{/hamster_6/}
仕事だったんだ、でも仕事は15時からだったので、「朝一番だけ波乗りして昼過ぎには大阪に帰ってきたいけど誰か付き合ってくれない?」ってみんなにメールはしてみたんだ。
しかしやはり残念ながらみんなにふられた・・・なら「なんでひとりで行かない?」って疑問に思う人居る?
今日、朝一だけの波乗りのために行こうと思っていたのは愛知県で、大阪からの片道は260?なんだ。
長距離の運転とガス代とかの交通費、ひとり... [続きを読む]
受信: 2009年11月11日 (水) 22時24分
» 僕らのワンダフルデイズ [必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!]
[竹中直人] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ 評価:8.0/10点満点 2009年97本目(91作品)です。 【あらすじ】 入院先の主治医の会話を偶然立ち聞きしてしまい、自分が余命半年であることを知り、ショックを受ける藤岡徹(竹中直人)。 そんな..... [続きを読む]
受信: 2009年11月13日 (金) 22時04分
» 「僕らのワンダフルデイズ」 [みんなシネマいいのに!]
ガンで余命半年と知ってしまった中年男が、高校時代の仲間とバンドを再結成しコンテ [続きを読む]
受信: 2009年11月22日 (日) 16時04分
» 僕らのワンダフルデイズ [七海見理オフィシャルブログ『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』Powered by Ameba]
余命半年──、
彼が気づいた本当に大切なもの。
家族と仲間たちの、
最高に笑って泣ける感動エンタテイメント!
胆石の手術で入院していた平凡なサラリーマンの主人公・藤岡。自身が末期癌で余命半... [続きを読む]
受信: 2009年11月24日 (火) 00時41分
» 僕らのワンダフルデイズ [ダイターンクラッシュ!!]
2009年11月23日(月) 11:30~ TOHOシネマズ川崎3 料金:0円(1ヶ月フリーパス) パンフレット:未確認 『僕らのワンダフルデイズ』公式サイト フリーパス鑑賞19本目。 過剰演技の竹中のおっさんが、余命半年と勘違いし、最後の思い出にと高校生の頃のバンドを再結成、中年バンド大会に臨む。 勘違い当初の鬱状態、開き直っての躁状態と過剰演技が危惧されたのだが、今回はかなり堅実な演技である。高校生の息子がパパと呼んでいたり、歌いながらスキップして街を歩いている異常なところもあるが。 そ... [続きを読む]
受信: 2009年11月24日 (火) 16時45分
» 「僕らのワンダフルデイズ」 [お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法]
(2009年:角川映画/監督:星田 良子) ガンで余命半年である事を知った中年男が、残された人生をどう生きるか苦悶した末に、高校時代に打ち込んだバンドを再結成し、家族に“音”を残そ... [続きを読む]
受信: 2009年11月28日 (土) 16時39分
» 『僕らのワンダフルデイズ』(2009)/日本 [NiceOne!!]
監督:星田良子音楽アドバイザー:奥田民生出演:竹中直人、宅麻伸、斉藤暁、稲垣潤一、段田安則、浅田美代子、紺野美沙子、貫地谷しほり公式サイトはこちら。(TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 11本目)<Story>「男性、53歳。末期の胆のう癌…」胆石の手術で...... [続きを読む]
受信: 2009年11月30日 (月) 12時56分
» 《僕らのワンダフルデイズ》 [日々のつぶやき]
僕らのワンダフルデイズ 通常版 [DVD]/竹中直人,宅麻伸,斉藤暁
¥3,990
Amazon.co.jp
監督:星田良子
出演:竹中直人、宅麻伸、段田安則、稲垣潤一、斉藤暁、浅田美代子、紺野美紗子、貫地谷しほり
余命半年―、
彼が気づいた本当に大切なもの。
「胆石の手術... [続きを読む]
受信: 2010年11月22日 (月) 11時38分
» 僕らのワンダフルデイズ☆独り言 [黒猫のうたた寝]
末期の胆のう癌・・・胆石だとばかり思っていたのに余命わずかと生きる気力を失いかけた時思い出した高校時代の仲間と組んだバンド・シーラカンズ最後に家族に音を残したい・・・男の想いがかつての仲間を動かして・・・めざすはコンテスト出場。50歳を超えたオヤジたちに、... [続きを読む]
受信: 2011年3月 7日 (月) 21時29分
» 映画評「僕らのワンダフルデイズ」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・星田良子
ネタバレあり [続きを読む]
受信: 2011年3月16日 (水) 17時05分
» ■映画『僕らのワンダフルデイズ』 [Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>]
50代の元バンド小僧たちが再びバンドに挑戦する、ハートフルな音楽コメディ『僕らのワンダフルデイズ』。
基本的に50代のオジサンたちが主人公なので、華やかさには欠けるかも。
これが映画初監督となる星田良子さんは、これまでずっとテレビドラマの演出を手掛けてきた人とあ... [続きを読む]
受信: 2011年5月12日 (木) 13時13分
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