理想の彼氏

４０歳、バツイチ、子供は二人そんなシングルマザーの新たな恋をオスカー女優・キャサリン・ゼタ＝ジョーンズが等身大の魅力で演じたロマンチックコメディだ。今回キャサリンのお相手となる男性は「ナショナル・トレジャー」シリーズのジャスティン・バーサ。情熱的に燃え上がる若者の恋とは違い、静かに惹かれあう２人に魅せられる。監督は女優ジュリアン・ムーアの夫・バート・フレインドリッチ。
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男って基本的に子供だよ？

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一気に燃え上がる若い情熱的な恋愛も良いですが、しっとりと惹かれあう大人の恋愛模様もまた捨てがたいもの。コメディ要素はあるけれど、それよりもお互いの本質を見詰め合う２人の姿に魅せられる、そんな作品でした。主人公サンディを演じるキャサリン・ゼタ＝ジョーンズは実年齢も４０歳。それだけに彼女の等身大の魅力と同時に、彼女が抱える悩みや不安もとてもリアルに感じられます。それにしても、キャサリン、美しさだけでなくどことなく愛嬌を感じさせる表情や、女優としての経験、歳月の積み重ねによる内面から滲み出るような人間的魅力が素敵で正直憧れてしまいます…。

さてそんな魅力的なサンディ歳の差１６歳のアラム（ジャスティン・バーサ）の出会いはニューヨークのカフェ。といっても別に“運命的な”なんて形容するほどドラマチックなものでもなく、単純に住む家を探している途中で立ち寄っただけ。いや、夫と離婚してニューヨークに出てきたシングルマザーと永住権目当てのフランス人妻に逃げられた２４歳のバツイチ男が出会う可能性を考えたらやはりここは“運命的な”と言ってもよいのか…。ともあれその時はそれだけのすれ違いでしかなかったのでした。

護身術の教室で２人が偶然再会したのを境に、アラムはサンディの２人の子供たちの子守のアルバイトを頼まれます。ここから段々と２人は惹かれあっていく訳ですが、その話の前にこの子供たち。フランクＪｒ．（アンドリュー・チェリー）とセイディ（ケリー・グールド）の２人がえらく可愛らしい！２人のガキンチョどものませた言動が実に楽しいのです。サンディとアラムがセックスしてしまった後にも子供っぽく可愛らしい生意気さでアラムにあれこれ突っ込んだりする様子は見所の一つといってもいいです。

一般的なこの手の作品ではここまで子供がフィーチャーされることはないのですが、実は本作ではアラムの人間性を現すのに子供たちの絡みを使っていました。つまり、アラムはサンディからみたらまだ子供でそれ故に子供たちと気が合う、そんな意味合いを込めていたように思います。「ハリーポッター」を読み、誕生日に母親からのプレゼントを無邪気に喜ぶ様子はマザコン気味、それそのものは直接的に恋の妨げにはならないものの、そうした様子の全てから“何か”が彼女の中に徐々に積み重なっていくのでした――。

（ここからネタバレ含む。）
静かに惹かれあっていた２人はやがて大っぴらに付き合うようになりますが、幸せ一杯の時間はごく短いのでした。サンディに妊娠が発覚します。ところが、病院で下された診断は子宮外妊娠。医者の言う「将来的に子供を作るのに何の問題もないですよ。」この言葉がサンディの中に細かく積み重なっていた“何か”を崩壊させます。そう、“何か”とは“不安”に他なりません。もちろん直接的に年齢から来る妊娠への不安もあったでしょう。しかし本質的には今の状態でアラムと付き合い続けることに対しての不安であり、出会った当初から徐々に積み重なってきた不安で、しかも実はサンディはそれに気付いていたのではないかと思うのです。

サンディがアラムと同い年ならば、その時の楽しさに任せて刹那的に恋愛を楽しむなり結婚するという選択もあったでしょう。しかし、彼女は２人の子供を抱える大人でした。お互いに愛し合っていても別れなくてはならないこともある、２人の別れのシーンはアラムもそうでしょうが、若い人には理解し難いことかもしれません。５年後のレストランでの偶然の再会、世界中を回り３０になったアラムはたくましさを増していました。変に感動的な対面し恋が燃え上がるのではなく、机の下でそっと手を重ねあう２人にとても気持ちよさを覚えました。

個人的おススメ度3.5
今日の一言：５年後のセイディが凄く可愛いです

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