RISE UP ライズアップ
『風が強く吹いている』では駅伝選手を演じた林遣都と、『魔法遣いに大切なこと』の山下リオが主演。今回は林はパラグライダーに熱中している高校生役。ひき逃げで失明してしまった少女との交流を描いた青春ドラマだ。監督は商用映画デビュー作の中島良。脚本はTVドラマ『相棒(Season6)』の入江信吾。
>>公式サイト
大切な想いが詰まった御当地映画
あらすじへ
←みなさんの応援クリックに感謝デス
全編石川ロケを敢行したそうですが、パラグライダーが大空に舞う光景は、都会に住む人間からすると中々に気持ちの良いものでした。全体としても、素直に感動できる青春ドラマとしては王道といっても良い作りになっています。それにしても『バッテリー』で野球、『ダイブ!!』で飛び込み、『風が強く吹いている』で駅伝と、林遣都のスポーツモノシリーズ(勝手に命名)は遂にパラグライダーまで来ましたか。もっとも今回は実際にはやってないと思われますがテーマそのものはパラグライダーではないので、撮り方の工夫でそれらしく見せてくれていましたから問題ないでしょう。
今回も好演が光る林遣都ですが、彼は今メキメキ成長してますね。観る度に上手くなっていく感じです。微妙な表情の付け方や、セリフの発し方で感情を表現するのが実にリアルで、彼が今どんな気持ちなのかがとても良く伝わってくる演技でした。一方のヒロインの山下リオは『MW-ムウ-』に出演していたのですが、残念ながら殆ど印象にありません。ただ丸顔が可愛らしい女の子で、彼女のお芝居も中々のもの。この世代には成海璃子とか夏帆とか売れっ子が多いので大変だとは思いますが、今後が楽しみな存在ではあります。
さて、実は今回気になったのは林遣都扮する津屋崎航の親友・梶裕哉を演じた大賀。当然ながらW主演の林遣都と山下リオを中心に話は展開されていきますが、ともすれば奇麗にまとめられがちになってしまうところを、彼が上手く強弱をつけていました。主人公の親友というと大抵は埋没してしまうものですが、山下リオ演じるルイの気持ちをしっかりと理解し、だけど少年らしくストレートな感情を爆発させる演技で存在感を出しています。演出としてもその他大勢の一人扱いをしなかった中島監督のの手腕が光ります。
さて物語上ルイはとあるひき逃げ事故で光を失ってからまだ1年という設定。まだ点字も満足に読めず、突然自分を襲った不幸を呪い、人生を拗ねているところです。それがひょんなことから航と梶に出会い、少しずつ立ち直りの兆しを見せますが、その過程では本作の一つのテーマでもある“他者への思いやり”が描かれていました。劇中ではレイを助けてくれる人々が何度も登場します。障害抱えた人々に優しい世の中であるべきだと心から思うものの、受け取る側の気持ち次第では、それが親切の押し売りになってしまうこともある…。
月並みではありますが、例えそうであっても、手を差し伸べる気持ちを失ったらもう人間ではないのだと私は思います。結局レイは自分が好きだった写真を撮ることを再開し、それによって心の傷から立ち直ろうとするのですが、盲学校に向かう途中で親切にしてくれたおじいさんを撮影する時の彼女とおじいさんの絡みは人間としての優しさが溢れているとても素敵なシーンでした。当然見えない彼女はファインダーを覗きません。しかし彼女は心で撮っていました。パシャっとシャッターを切ったあとの彼女の笑顔には、なにか重いものをおろしたような安堵感が見られます。
レイが失明するきっかけとなったひき逃げ事故に航も関わっていたことが判明し、一時は疎遠になる2人ですが、ラストは2人でのタンデムフライト。ちょっとくさいベタなエンドではありますが、中盤で梶がインストラクターと共にタンデムフライトをするシーンもあり、このラストは十分に想定の範囲内。ただちょっとこのシーンがあからさまにクロマキーなのと、全く無風で髪の毛がピクリとも動かないという詰めの甘さが残念なところではあります。しかし、石川県の獅子吼高原から見る田園風景と空に浮かぶパラグライダーの光景は、爽快な後味を与えてくれました。
個人的おススメ度3.0
今日の一言:この若手3人はホント将来が楽しみです
| 固定リンク
最近のコメント