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2009年12月31日 (木)

牛の鈴音/워낭소리

Photo_2 韓国での累計観客動員が300万人を突破し、自主制作映画にも拘らず興行成績第1位を獲得。当然ながら歴代最高収益率となったドキュメンタリー映画だ。監督はデビュー作となるイ・チュンニョル。韓国の田舎で頑なに昔ながらの方法で農業を営む老夫婦と牛見つめ続ける。コレといった盛り上がりがある訳ではないが、都会暮らしで失ってしまった人間の自然の営みをそこに再発見できる作品だろう。
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おばあちゃんのボヤキ

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何とも不思議な作品でした。特筆すべき何があるわけでもありません。わっと盛り上がる場面も、政治的な主張も、美しい人間愛も、そしてもちろんエンタテインメント性も。「それじゃ何もないじゃん。」と言われると返す言葉もないのですが、あるとしたらチェじいさんとイばあさんの夫婦の絆、チェじいさんと老牛との絆、そしてイばあさんのボヤキぐらいのものでしょうか。カメラはただただ静かに韓国の片田舎で頑固に昔ながらの農業を続ける老夫婦と老牛の生活を映し出すのみなのです。故に今日はあまり書くことがありません。(笑)

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ちなみに老牛は40歳、本来の牛の寿命は20歳程度らしいですから、人間の寿命を80歳とすると160歳位ということになるのでしょうか。ちなみにチェじいさんは79歳、イばあさんは76歳。とにかくチェじいさんの老牛中心の生活は徹底しています。人工飼料はやらず、朝暗いうちから起き出してエサを作るところから一日が始まるのでした。そもそも農薬を一切使わないのも、牛の食べる草が毒になるから。おかげで雑草は生え放題、コメは虫に食われ放題でイばあさんはひたすらボヤキます。そのボヤキを黙って無視するチェじいさん。

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それに対してもイばあさんは「何とかいったらどうなのさっ!」とボヤキますが、怒りながらもそれはそれでコミュニケーションなのかなと感じました。というより、こんな感じのじいちゃんばあちゃんは、昔の日本では良く見かけたような気がします。「ウチの宿六は~」とか、「ウチのろくでなしは~」とか良く聞いたものでした。そういう意味では何だか懐かしい気持ちにもさせられます。チェじいさんは子供の頃に針治療に失敗したとかで、左足が不自由。ただ、それを抜きにしても2人は腰も曲がり、手は節くれだって、これまでの苦労が想われます。

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ただ淡々と流れていく画面と時間。牛車の速度はとてつもなくスローで、恐らく足が悪いとは言え歩いたほうが早いほど。しかし田畑を撫でる風が牛の鈴を鳴らし、聞こえてくる鳥の鳴き声や、木々のざわめき、そしてラジオから流れる歌、これらが合わさった何とも言えず牧歌的な風情は、日頃都会の喧騒の中に生きる私たちを癒してくれるでしょう。さて、老夫婦には9人の子供がいました。お盆に実家に戻ってきた娘は「牛を売って、もう楽に暮らして欲しい。」とじいさんを説得します。渋々市場に売りに行くことにするものの、死ぬ寸前の老牛だけにタダ同然の値しかつきません。じいさんは結局売らないことに…。

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「牛車で居眠りをした時に、起きたら家の前だったんだ!」と如何にこの牛が優秀なのかを飲み仲間に自慢するチェじいさん。客観的に見たら酔っ払ったじいさんのたわ言なのですが、作品を通してじいさんを見てきた私たちには、その気持ちが良く解ります。若い牛にエサを取られる老牛の姿は、近代化から取り残されたじいさんたちの姿と重なるのでした。老牛の寿命が尽きる時、チェじいさんはずっとつけてきた鈴を外します。地面に落ちて鳴らなくなった鈴と息を引き取る老牛…2つのシーンのシンクロが何とも言えず印象的でした。

個人的おススメ度3.5
今日の一言:清清しい気分になれる良作です。

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